2022.10.13

ナイキが転売撲滅へ向けて販売規約を更新…返金の拒否やアカウント停止処分も可能に

ナイキが転売対策のため販売規約を更新[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 ストリートウェアの猛烈な隆盛に伴い、スニーカー産業は未だかつてないほどのビッグビジネスへと成長を遂げた。

 それはブランドの発展はもちろん、需要と供給の不均衡に目をつけた転売目的の個人にまで大きなチャンスを与えている。例えば、スニーカーの王様と称される『エア ジョーダン 1 “シカゴ”』の2015年モデルは、二次流通のマーケットプレイスで定価の10倍以上の価格で取引されている。

 一方で、本当にそれらを欲している人が定価や適正価格で購入できない事態は兼ねてから問題視されており、ファンは絶えずブランド・メーカーサイドに対応策を求めていた。

 しかし、転売屋たちはまもなく、甘い蜜を吸えなくなるかもしれない。スポーツカンパニーの最大手であるナイキは、絶えず発生するボットや転売市場に対し、遂に対応策を講じるようだ。

『CNBC』によれば、ナイキは今月、米国内のオンライン販売において転売業者が自動化された技術やソフトウェアを使って同社の製品を購入し、二次市場での転売を防止するべく、販売規約を更新したという。

 以前の規約から転売目的での商品購入は禁止されていたが、新たな規約ではボット経由の注文を取り消すことができるほか、返金の拒否、返品手数料の請求、転売疑惑があるアカウントの停止まで可能に。さらに、アカウントからの過剰な返品や購入条件の超過でも、注文を拒否できる。

 ナイキの転売防止策は、個人単位に止まらない。“モノの株式市場”を謳うStockXに対し、同社のスニーカーの偽造品販売を許可したとして、法的措置を取った。ナイキは5月、StockXがシューズの真偽鑑定を経て本物であると認証しているにもかかわらず、同サイトから4足の偽造品を購入したと発表していた。

 また、『HYPEBEAST』は、同様の規約更新がナイキ コリア(韓国)でも施行されたと報道。スニーカー産業のとある関係者は、このナイキの施策が転売対策の手本となり、今後のスニーカー売買をより円滑なものにする可能性があると考えているようだ、

 転売を生業としている業者にとって、ナイキのアクションは大打撃を与えること必至。その反面、これまで苦しくも欲しいシューズを買い逃していたファンにとっては、購入のチャンスが広がる朗報と言える。

 果たして、ナイキの販売規約更新は、スニーカー産業にどのような影響を及ぼすのだろうか。

 文=Meiji

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