1年生奥山理々嘉が29得点9リバウンドでチームをけん引、八雲学園がベスト16へ

攻守で存在感を示した八雲学園の奥山理々嘉

 2年ぶり3回目の出場となった東京都代表、八雲学園高校で1年生ながら、背番号5を背負いチームをけん引するのは奥山理々嘉。2000年生まれの16歳だ。軸のブレない美しいシュートフォームで内外角を問わず勝負ができ、また、一度ボールを預けてのポジション取り、ボールハンドリング、ゴール下でのステップワークなど総合力の高い選手だが、それもそのはず。彼女はU-17女子日本代表に唯一高校1年生から選ばれた、今大会の若手で最も注目を集める選手の1人なのだ。

 奥山は横須賀市立坂本中学校時代にチームの攻撃の核を担い、全国中学校バスケットボール大会で3位の好成績を収めると、越境入学で東京の八雲学園に進学した。奥山が加わった八雲学園は、インターハイ出場6回、ウインターカップ出場3回(最高成績はベスト8)の実績を持つ東京の強豪校の一つ。今大会はU-18代表の佐藤由璃果、吉田舞衣を擁し、奥山を加えた3人の高さとスピード感溢れるバスケットボールで上位進出を目指している。

 奥山は、自身のウインターカップのデビュー戦となった24日の2回戦、愛媛県代表の聖カタリナ学園戦でも、15年連続20回目の出場を誇る実力校を相手に堂々としたプレーを見せ、26得点14リバウンドの“ダブルダブル”を記録。日本のバスケットボール界からの期待に違わぬ結果を残した。

 上々のデビューを果たしたのちの3回戦、相手は一関学院高校(岩手県)、鵬学園高校(石川県)を下して勢いに乗る県立旭高校(神奈川県)だった。序盤から、奥山、佐藤、吉田を中心に高さとスピードを活かしたバスケットで県立旭を圧倒する八雲学園だったが、要所で強引な1on1を仕掛ける場面も目立った。第2ピリオド残り4分で意地を見せる県立旭に追いあげられると、奥山自身もローポストで強引に体を入れ替えにいきオフェンスファウルを取られる場面や、速攻からのジャンパーを狙いにいってトラベリングを犯すなど、精彩を欠くシーンも散見された。

 県立旭のオールコートプレスとスクリーンプレーをうまく使ったアウトサイド中心のオフェンスに最後まで手を焼いた八雲学園だったが、高さとシュート力の差を見せつけ、99-89で粘る相手を振りきった。奥山はこの試合、不用意なファウルもあり、5ファウルで退場となるなど、課題も残った。それでも、終わってみれば29得点9リバウンドを記録し、チームの勝利に貢献した。

 準々決勝で待ち受けるのは昨年度女王の岐阜女子高校。セネガル人留学生で前回大会のベスト5にも選出されたディヤイファトーを擁する優勝候補の一角だ。日本女子バスケットボール界が期待する新たな才能が、前回女王に対しどのような戦いを挑むのか。奥山にとっての初めてのウインターカップが、彼女をどこまで成長させるのか注目したい。

文=村上成

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