2016.12.26

スターター全員が160センチ台、「やりきった」浜松開誠館が「100点満点」の清々しい大敗

浜松開誠館(白ユニフォーム)は身長差もあり大阪薫英女学院のオフェンスを防ぎきれなかった [写真]=大澤智子
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

 準々決勝に勝ち進んだ女子8校のうち、180センチ超の選手が1人もいないチームが2校ある。準々決勝で相まみえた、大阪薫英女学院高校(大阪府)と浜松開誠館高校(静岡県)だ。とはいっても、両校は対照的。この日のスターターは、全員170センチ台の大阪薫英女学院に対し、浜松開誠館は全員160センチ台。ベンチにも170センチ以上は1人しかいない。

 立ちあがり、インサイドとアウトサイドの両方で失点を重ね、必ずしもサイズの不利を突かれたわけではなかったが、「強い気持ちで入ることができなくて、相手の高さにのまれてしまった」(陽本麻優)と、やはりサイズへの意識が働いてしまったようだ。

 しかし、前日までの3試合で平均約45失点というディフェンスが、第2ピリオドから機能し始める。第2ピリオドだけで24秒バイオレーションを3回取り、オールコートプレスも成功。相手ボールにも果敢に食らいついて、幾度となくヘルドボールに持ちこんだ。

 第3ピリオドには積極的にドライブを仕掛けてファウルを誘い、石牧葵が24秒ギリギリで3ポイントを決めるなど、流れを引き寄せる場面も多く見られた。だが、大阪薫英女学院も高原春季のハイポストを起点に着実に得点し、点差は縮まらない。そして第4ピリオド、疲れで足の止まった浜松開誠館は8点しか奪えず、最終スコアは44-71。浜松開誠館の冬はベスト8で幕を閉じた。

「100点満点です。小さくてもがんばれることを証明してくれた。終わりは始まり。チームも、卒業する3年生たちも、ここからまたスタートです」(三島正敬コーチ)

「やりきったという気持ちはあります。市の大会で負けて、先輩たちが作ってきた伝統を途絶えさせたところから、よくここまで来たと思います。後輩たちも、今日の試合の経験を活かしてほしいです」(陽本)。ベスト8進出はインターハイを上回る結果。来年はさらに進化したチームになっているかもしれない。

文=吉川哲彦

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