昨年度のウインターカップで準優勝に輝いた土浦日本大学高校(茨城県)。エースの杉本天昇以外の今年のメンバーは、控え選手としてこの大会を戦っていた。杉本をU-18アジア選手権で欠いた夏のインターハイでまさかの1回戦敗退。キャプテンの菅原暉は「自分が空回りしてしまって何もできなかった」と振り返る。
しかし、この大会はエース頼りから見事に脱却した。杉本が抑えられた時は菅原がつなぎ、2年生の高原晟也は“第2のエース”として得点を稼いだ。シックスマンの新山航希や高橋優人、1年生センターの吉田崇紘は試合を経るごとに頼もしさを増した。
東海大諏訪高校(長野県)、高知中央高校(高知県)、正智深谷高校(埼玉県)を倒し、3年連続でやってきた東京体育館のメインコート。対戦した北陸学院高校(石川県)は強かった。土浦日大は北陸学院のハイピックという戦術にハマり、幾度となく活路を開いてきたディフェンスを思うように展開することができなかった。高原が22得点と気を吐いたが杉本はリズムに乗りきれず18得点。最後は杉本と菅原が下がり、来季を見越したメンバーでタイムアップを迎えた。
菅原は試合後、「自分の力不足でした」と短く答えた。「今回こそは絶対勝とうと思っていていたんですけど……。やっぱり自分がチームを引っ張れなくて。周りの人ががんばってくれたし、晟也もシュートを決めてくれたのに、本当に申し訳ないです」
キャリアの浅いところから出発したチームが1年間で見事に成長した。杉本だけのチームではないということも選手それぞれが見せつけることができた。しかし、それでも全国制覇は遠かった。3年生の苦しさや悔しさを一番近くで見ていた下級生たちが、来年こそはと思いをつないでいく。
文=青木美帆