2017.01.02

“黒子のキャプテン”正中が新年の抱負「爺さんになった時に特別な年と言えるように」

タレントがそろうA東京で主将を務める正中岳城[写真]=B.LEAGUE
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 元旦と言えば、サッカー天皇杯やニューイヤー駅伝の印象が強いが、昨年、新たに開幕したBリーグも新年のスポーツカレンダーに仲間入りを果たした。まだまだ試合自体が行われているという認知も低いことから、元旦開催の集客も不安視された。しかし、ふたを開ければ、新潟アルビレックスBBの庄司和広ヘッドコーチが「正月にたくさんの方々の前で試合をさせていただき光栄に思う」と語ったとおり、アルバルク東京vs新潟が開催された国立代々木競技場第二体育館には、2188人の観衆が詰めかけた。

「新潟も調子の良いチーム。手強い相手だった。イメージどおりにはならなかったが、勝てて良かった」。試合後にキャプテンの正中岳城が語ったように、A東京は新潟の仕掛けるタフでフィジカルなバスケットに苦しめられた。それでもA東京は、ディアンテ・ギャレット田中大貴の両エースを含む4人が2ケタ得点を挙げ、粘る新潟を77-68で退けた。

 勝負を分けた要因の一つが第2、第3クォーターに見せた厳しいディフェンスで、この中心にいたのがキャプテンの正中だ。昨年9月22日、日本中の注目を集めたBリーグ開幕戦で正中に与えられたプレータイムは、わずか1分24秒。その後もタレントがそろうチームの中でプレー機会に恵まれなかった。だがバランサーとしての視野、持ち前の厳しいディフェンスとルーズボールへの執念、正確なアウトサイドシュートを武器に、12月あたりからプレータイムを確保し始めた。

 試合後にシュート練習を行なってミックスゾーンに現れた正中は、したたる汗を拭いながら「アルバルクは個々の能力でリーグのトップレベルにあるチーム。タレントがいかに能力を発揮できるかを意識してプレーしている」と話し、「黒子のように全体のバランスを取って、チームとして勝つ瞬間のためにプレーする」と力強く語った。

 元旦の試合らしく、新年への想いを問われると「バスケットボール界にとってかけがえのないシーズン。2017年はオールジャパンとリーグで優勝する瞬間が用意されている。いつか歳を重ねて爺さんになった時に特別な年だったと語れるような、忘れられない年にしたい」と抱負を話した。また、「初夢はまだ見ていないが、パっと明るくにぎわいのある夢がいい。悪夢は勘弁してほしい」と笑った。

 決してスター選手としてキャプテンに選ばれたわけではない。しかし、チームを支える気持ちと、力のあるチームメートを気持ち良くプレーさせるためにキャプテンシーを発揮する正中の初夢は、きっとチームを“黒子”として支えながらの栄冠にまつわるものに違いない。

文=村上成

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