2017.04.10

【比江島慎 短期集中連載第1回】比江島が持つドライブやピック&ロールへのこだわり

国内外のバスケ情報をお届け!

シーホース三河比江島慎は洛南高校、青山学院大学とバスケットボールのエリートコースを歩き、2013-2014シーズンに三河に加入しNBLのルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。そのキャリアは右肩上がりを続けるも、迎えたBリーグ初年度の今季は「満足できていない」と言う。日本代表のエースとしても活躍する比江島が追い求める高い理想とは。連載第1回目は、自身のプレースタイルや参考にしている選手などについて聞いた。

インタビュー=武藤仁史
写真=本美安浩、Bリーグ

――2016年9月にBリーグが開幕し、バスケットボールがメディアに取りあげられる機会が多くなりました。周囲の環境も大きく変わったと思いますが、どのような印象をお持ちですか?
比江島 僕自身の生活や環境はそんなに変わったと感じませんが、確かに取材される機会は増えています。1週間に1度は必ず取材が入っていますし、クラブのSNS配信用も含めて、毎日何かしらの動画を撮影しています。徐々に取材の対応にも慣れてきましたけど、今でも動画撮影だけは苦手ですね。どうしても緊張してしまいますし、プレーするよりも疲れます(笑)。また、「テレビを見てファンになりました」、「テレビを見て試合に来てみました」と言われることも多くなりましたし、バスケットボール界全体のファンが増えてきているように思いますね。

――Bリーグが始まったことは、バスケットボール界にどのような影響があったと感じていますか?
比江島 Bリーグは日本代表を強くするために本気で動いていると思いますし、特別指定枠を設けて育成にも力を入れています。バスケットボールの普及という意味でも、Bリーグができて良かったと思います。

――Bリーグがスタートしたことで、比江島選手のプレー面での変化はありましたか?
比江島 Bリーグの試合中継も始まって、「常に見られている」という意識を持ってプレーするようになりました。ただ、昨シーズンよりも自分のバスケットの質が落ちているので満足できていません。

――今シーズンはエースとしてチームをけん引し、日本代表でも活躍しています。そんな中でも具体的にどういった点で満足できていないのでしょうか?
比江島 例えば、自分の持ち味であるドライブをうまく仕掛けられていません。相手チームに警戒されているからかもしれませんが、その中でも得意なプレーを出していかなければいけないと思っています。

――プレーの質が落ちている要因はどのあたりにあるのでしょうか?
比江島 疲労やプレッシャーなど、様々な理由があると思いますが、自分の中にある理想に追いついていないとことが一番の要因かなと。日本代表で悔しい思いをした分、自分の理想が高くなっているという側面もあると思いますけど。シーズンはまだ続いていくので、修正していかなければいけないと思っています。

――日本代表の話が出ましたが、チームと日本代表ではご自身の役割が異なります。求められることの違いに戸惑うことはありますか?
比江島 シーホースでプレーする時は、自分の役割を体で覚えているというか、慣れているので考えなくてもプレーできます。一方で日本代表はある程度動きが決められているので、それに捕らわれすぎて持ち味が出せないという戸惑いがありますね。代表でもドライブで突破することが自分の役割だと思っているのですが、そこができていないと感じています。

――日本代表のヘッドコーチが変わり、戦略面や環境面での変更点はありましたか?
比江島 ディフェンスの動きやオフェンスへの移行など、「こうなったらこう動く」というのがすべて決まっているので、10センチや20センチずれていただけで指摘されています。

――そういった指導を受けて、新たな刺激や発見はありましたか?
比江島 ディフェンスに関しては改めて考えさせられましたね。プレッシャーの掛け方やポジショニングはチームに戻ってからも意識するようにしています。なので、代表ではもどかしさというよりも、「もっとできる」という気持ちがあります。

――Bリーグに加えて日本代表でも活動するとなると、年間でこなす試合数が非常に多くなります。コンディション維持に難しさは感じますか?
比江島 やはり難しいですね。ケガにも気をつけないといけないですから。

――今後、プレーヤーとして向上させたいプレーはありますか?
比江島 ピック&ロールの使い方をもっとうまくしたいですね。この前の最終予選(リオデジャネイロ・オリンピック最終予選)では、ダブルチームでのピック&ロールをうまく使えなかった。代表戦になると体の大きい選手とマッチアップすることが多いですから、レパートリーを増やして余裕を持ってプレーできるようになりたいです。

――比江島選手の場合、どのような方法や手段でピック&ロールのレベルを向上させるのですか?
比江島 まさに研究しているところです。相手が仕掛けてくる角度だったり、相手の守っている位置を見てどのように仕掛けるかを考えることで、プレーの精度が上がっていくと思います。

――憧れている選手や参考にしている選手はいますか?
比江島 セルビアのミロシュ・テオドシッチ(CSKAモスクワ)は好きな選手の一人です。プレースタイルやリズムが自分に似ているので、参考にしていますね。NBAだとデアンジェロ・ラッセル(ロサンゼルス・レイカーズ)。彼は足が速い方ではないんですけど、技術でディフェンスを抜くことができるんです。僕も足が速くないので彼のプレーも参考になります。

――国内でうまいと思う選手はいますか?
比江島 アルバルク東京田中大貴選手や横浜ビー・コルセアーズ川村卓也選手はやはりうまいなと思います。

――バスケットボールの楽しさや醍醐味を感じるのはどういう時ですか?
比江島 試合に勝った時ですね。みんなが活躍して試合に勝った時はなおさらうれしいです。自分よりもチームメートが活躍した時の方がうれしく感じます。

――プレーヤーとしての目標を教えてください。
比江島 そうですね……。やはりオリンピックに出て活躍するのが、プレーヤーとしての最終目標です。

BASKETBALLKING VIDEO