2017.09.15

今シーズンの注目は東だけではない! 西地区だって面白い!!

西地区をリードすると目される琉球。新加入の二ノ宮康平にも注目だ[写真]=B.LEAGUE
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

Bリーグ2シーズン目の開幕を前に、栃木ブレックス、川崎ブレイブサンダースなど、強豪がひしめく東地区に注目が集まっている。「東地区を制するチームがリーグも制する」という前評判が高い中、それに待ったをかけるチームが「西地区にいるのでは!?」と指摘するのが鳴神富一氏。関西アーリーカップから見えてきた今シーズンの展望を鳴神氏がレポートする。

 2シーズン目を迎えるBリーグは、強豪ぞろいのB1東地区に注目が集まっている。しかしながら、「西地区だって面白い!」と断言していい。その理由は、このオフシーズンの移籍市場を騒がせた日本最南端の琉球ゴールデンキングスと、彼らに負けない大胆な補強を行った大阪エヴェッサが存在しているからだ。

 西地区の中心になるであろう琉球と大阪に加え、ライバルである滋賀レイクスターズ、西宮ストークス、さらにはB2の西地区に所属するバンビシャス奈良熊本ヴォルターズの計6チームで開催されたのが、関西アーリーカップだ。

 チーム練習が始まったばかりで、コンディションやチームでのコンビネーションなどがまだまだ発展途上であった。しかし、その状況下で各チームの戦術や現場での仕上がり具合などが公式戦として確認できる絶好の機会となったのである。

 新シーズン開幕を前に、今季から新たに行われたトーナメントの王者に輝き、期待に応えたのは琉球だ。多くのタレントがそろったら当然結果もついてくるであろうというプレッシャーの中、しっかりと「優勝」という結果を残したあたりは、シーズンに期待が持てる内容であったと言える。

 オフェンスでなかなか流れをつかめない時間帯が垣間見えたが、そのタイミングで光ったのがチームディフェンス。激しいローテーションで相手にスペースを与えないだけでなく、主導権を握らせず徐々に自分たちへゲームの流れを取り戻す形は、今シーズンの戦い方が見えたような気がした。

 そして、新加入のハッサン・マーティンは期待どおりのディフェンスセンスを披露。彼の存在は琉球に大きな力をもたらしそうだ。このディフェンスを見てしまうと、優勝候補の一つに挙げざるをえなかった。

 また、オフェンス面では岸本隆一が持ち味の「得点を取ること」に集中できていた。昨シーズンはゲームコントロールにフォーカスしすぎ、戸惑いながらプレーしているようにも見えた。しかし、ゲームコントロールに定評がある司令塔、二ノ宮康平石崎巧が今季から加わったことで、岸本自身の良さでもある思いきったプレーが期待できる。

 一方、大阪は攻守においてまだまだこれから。特にオフェンス面では、選手たちが連動性を持って相手ディフェンスを混乱させ、得点を挙げていく昨季のようなプレーがあまり見られず、ボールが止まってしまうタイミングもあった。さらに、連携や意思疎通の不足をディフェンスでも引きずってしまい、簡単に得点を与えていた。

 それでも、様々なプレーヤーをコート上に立たせ、いろいろなパターンを試しており、今はシーズン前の準備段階というメッセージを感じた。そういう意味では、このトーナメントはシーズンを迎える前に、チームにとっては大きな財産になったのではないだろうか。

 今シーズンから加入した日本人フォワード陣トリオ、熊谷尚也、藤高宗一郎、寒竹隼人には注目だ。彼らの実力の片鱗がこの大会ではあまり見られなかったが、開幕の時には強力な“ビッグスリー”になっているはずだ。

栃木から移籍の熊谷尚也をはじめとするフォワードトリオがカギを握る大阪エヴェッサ[写真]=B.LEAGUE

 そして、このトーナメントでの驚きは滋賀の変貌ぶりだ。

 昨シーズンまでの激しいチームディフェンスとタフに粘って戦う姿は記憶に深く残っていたが、それを超える戦いを見せた。オールコートで常にプレッシャーをかけ続け、相手のターンオーバーを誘い、そこから音速のスピードでオフェンスを決めていく。タフなプレーヤーたちが昨季からそろっていたが、彼らの特徴を完璧に活かしたバスケットは西地区に限らず、リーグ全体の脅威となる。

 また、センセーショナルな活躍を見せ、注目プレーヤーの一人に挙げられるオマール・サムハンは、攻守において力強さとしなやかさを兼ね備えている。リーグの中で無双な存在になるかもしれない。そこに日本バスケ界のファンタジスタ、並里成とのコンビネーションに磨きがかかれば、滋賀は面白い存在になるだろう。

 B2チャンピオンの称号を獲得して、今季からB1の舞台で戦う西宮。ロスターが大きく変わらなかったこともあり、昨季に引き続き安定感のあるバスケットを展開し、2勝を挙げて3位という結果を残した。チームの中心である、谷直樹道原紀晃は期待どおりの躍動。そして、何と言ってもドゥロイレン・バーンズは“KING”という名のとおりの大活躍を見せ、チームの大黒柱らしい働きだった。

 すでにチームの戦術が浸透しているからこその強みを、しっかりとこのトーナメントでも発揮した部分は期待感が持てる。

 それぞれのチームの状況や戦い方が垣間見られた、3日間。B1の4チームに加え、京都ハンナリーズ島根スサノオマジックの2チームが加わるB1西地区は、激戦必至だ。

 しかし、一つだけ言えるのは「シーズンは始まってみないとわからない」

 いよいよ9月29日から激戦がスタートする。

「無双な存在になるかも!?」と鳴神氏の評価が高い滋賀レイクスターズのオマール・サムハン[写真]=B.LEAGUE

BASKETBALLKING VIDEO