毎節、Bリーグのタフショットを厳選してピックアップする「BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK」。華々しく開幕したBリーグ2017－18シーズンの第1節から選ばれたタフショットトップ5を大塚商会アルファーズ（B3所属）の青野和人ヘッドコーチに解説してもらった。

解説＝青野和人（大塚商会アルファーズ ヘッドコーチ）

【5】富山#11宇都直輝　富山グラウジーズvsレバンガ北海道 Game1

　前半はチームプレーがさえた北海道がリードするも、後半に入ると富山も爆発的なオフェンス力を発揮して、一進一退の好ゲームとなる。流れを一気に引き込んだのが富山#11宇都直輝選手。北海道#11桜井良太選手の厳しいディフェンスを受けながらハンドオフ（手渡し）パスを受け、ゴール下へ切れ込む。本来右利きの選手が左ドライブをする場合、ディフェンスに当たられながら行うランニングステップは難しいものだが、そんなタフな状況の中で、気迫でシュートをねじ込んだ。さらに注目したいのがその後の対応。特に勝ち誇ることもなくすぐにチームメートを鼓舞する姿は、彼がリーダーとしての今シーズンへの想いがしっかりと印象付けられたシーンだったとも言える。

【4】琉球#12ハッサン・マーティン　琉球ゴールデンキングスvsサンロッカーズ渋谷 Game1

豪快なダンクを披露したマーティン

　タイムアウト後に代わって出てきたメンバーに対し、SR渋谷は高い位置からゾーンプレスを引いて簡単にオフェンスセットを作らせないようにプレッシャーを掛ける。急に変わったディフェンスの温度にパスコースが外れて床にボールが転がった。こぼれ球を琉球#12ハッサン・マーティン選手が取り、#33アイラ・ブラウン選手へ飛び込みながらパスを出す。＃33ブラウン選手はキャッチ後、SR渋谷#6ロバート・サクレ選手にぶつかりながら滞空時間の長いシュートを打つ。惜しくもシュートは外れたが、#12マーティン選手はディフェンスの上からリバウンドをもぎ取り豪快なダンクを決めた。琉球は#33ブラウン選手と#12マーティン選手が一緒にコートに立つとどちらも機動力と体の強さがあり、マッチアップしにくいセットになることを証明できた場面となった。

【3】北海道#8多嶋朝飛　富山グラウジーズvsレバンガ北海道 Game1

ファウルを受けながらもシュートを決めた多嶋 [写真]=B.LEAGUE

　第3クォーター残り26秒。最後の富山のオフェンスでミオドラグ・ライコビッチヘッドコーチの采配が光る。タイムアウトを使わずに組織だったオフェンスの指示を出す時間作りと、主力を1分でも長く休ませるため富山のメンバーチェンジが行われた。ショットクロックと試合時間の差は2秒。ギリギリでシュートを打てばリバウンドなどで北海道にシュートのチャンスはなくなる場面。残り10秒を切ったところでスクリーナーが来る前に裏をかいた#2橋本尚明選手のドライブはシュートまではいけたがミスとなる。もつれたボールは6.8秒で北海道ボールに。ベースラインから出されるボールをカールしながら#8多嶋朝飛選手がもらうと、トップスピードでたった4秒でレイアップまで持ち込む。そのスピードに誰もついていけず伸ばした手はファウルとなったが、#8多嶋がもがきながら放ったボールはネットを揺らした。数秒で何が起こるかわからないバスケットボールの深いところが見れた瞬間となった。

【2】琉球#33アイラ・ブラウン　琉球ゴールデンキングスvsサンロッカーズ渋谷 Game1

身体能力の高さを見せつけたブラウン [写真]=B.LEAGUE

　次々と高確率で決まるSR渋谷のシュートに対し、琉球#33ブラウン選手の目の覚めるリバウンドダンクシュートが生まれた。208センチの#6サクレ選手はリバウンドの名人であり、ポジション取りはお手の物。それに対して＃33ブラウンは、#12マーティン選手が打ったシュートの反対側でいいポジションを取り、リングに弾かれたシュートをダンクで抱き込んだ。#6サクレ選手とは身長で15センチも差があるにもかかわらずだ。飛び込みリバウンドは本来ボックスアウトがしにくいのだが、#33ブラウン選手のように最高到達点に早く行ける選手は特に難しい。今回ばかりは彼の驚異的ジャンプ力に圧倒された。

【1】名古屋D#24ジャスティン・バーレル　川崎ブレイブサンダースvs名古屋ダイヤモンドドルフィンズ Game1

バーレルの決勝弾が第1位に [写真]=山口剛生

　後半川崎は、#0藤井祐眞選手と#7篠山竜青選手の超攻撃型2ガードの活躍で一時16点もあった差を詰めて#22ニック・ファジーカス選手の3ポイントシュートで逆転に成功。その後、川崎は#0藤井選手と#7篠山選手、名古屋Dは#24バーレル選手がシュートを決め、互いに逆転を繰り返す一進一退の展開となっていった。その状況の中、川崎はゴール下でディフェンスが目を切っている間に裏をついた#7篠山選手のハンドオフからの左ドライブで逆転。直後、会場全員が「あとはバーレル選手を止めよう」という空気の中、ベースラインは#7篠山選手、ミドルレーンは#22ファジーカス選手がプレッシャーを強めて、インサイドを固める。しかし、1点ビハインドという落とせば負けるという緊張感があった中でも、残り3秒で確率の低いベースラインにターンして後ろに下がりながらのシュートを決めた#24バーレル選手。ファウルトラブルのために残り1分44秒までコートに立てなかったが、最後はエースの意地でねじ伏せた。