Bリーグ2017－18レギュラーシーズンは第15節までの28試合を消化し、残すところ32試合となった。前評判どおりの安定した戦いを見せるチームや、指揮官交代や外国籍選手獲得などで巻き返しを図るチームなど様々だ。そこで今回、元日本代表ヘッドコーチで、現在は早稲田大学スポーツ科学学術院教授を務める倉石平（くらいし・おさむ）氏に、B1西地区に所属する6チームの戦いぶりを評価してもらった。（12月9日取材）

インタビュー＝村上成

――大補強を敢行した琉球ゴールデンキングスが首位に立ち、2位の京都ハンナリーズが健闘しています。
倉石　　琉球は早い段階からチーム作りをスタートしました。佐々（宜央）HC就任を早めに決め、彼が思うようなチーム作りができたのではないでしょうか。それでも開幕当初はもたついた印象があります。

――出足が良くなかったと？
倉石　　もったいない負けがあったのがつまづきの原因です。最近は良くなりましたが、ケガで離脱していた古川（孝敏）が開幕からいればもう少し勝率が高かったかなと思います。西地区にいるのならもっと上を目指してほしいですね。

アイラ・ブラウンを獲得するなど大型補強が目立った琉球 [写真]=B.LEAGUE

――2位の京都はいかがでしょう？
倉石　　外国籍選手がすごくいいです。インサイドだけではなく、バランス良くてボール運びまでできます。厄介な存在になると思ったら案の定。例えば、A東京、千葉にはあそこまでボール運びができる外国籍選手はいないと思います。

208センチ138キロのスミス [写真]=B.LEAGUE

――外国籍選手のチョイスが良かったということでしょうか？
倉石　　彼らは京都のスタイルに合っています。あとは、岡田優介だけでなく、周りの選手もシュートを決めていますので。天皇杯ではA東京に勝ちましたし、高いモチベーションを持っているなと。大物食いもできますし、可能性はあると思います。リーグ全体としても危険な存在で、ハマった時にはとんでもないチームです。

――滋賀レイクスターズは昨季に比べて良くなっていると思います。
倉石　　がんばっている印象はありますけど、下位のチームには強いけど、上位のチームにはうまくいっていないと思います。ポイントガードやシューティングガードを3、4人で回していますが、当たればすごいという印象を持っています。

滋賀の司令塔は“ファンタジスタ”並里[写真]＝B.LEAGUE

――大阪エヴェッサもかなり補強をしましたが。
倉石　　大阪は出遅れたような気がします。開幕戦でA東京に2連敗を喫して、その後のきっかけ作りを逃してまったのかなと。それがうまくハマれば相乗効果で勝っていって、ますます強くなるのですが。今は逆で、なすことがすべて裏目に出ていると思います。今日の試合（12月9日）もA東京にプレッシャーを掛けられたら、その瞬間からリリースできなくて後手に回っていました。熊谷尚也が中心選手、得点源ですが、そこを止められてしまうと厳しいですね。

――今日も菊地祥平（アルバルク東京）選手にマークされ、良さが出せていなかったように見えました。
倉石　　かなり嫌がっていましたね。熊谷の方がサイズがあるので、もう少し何かできないかと思いますが、あれだけコントロールされるとボールを触る機会が減ってしまいます。ただ、清水（良規／ゼネラルマネージャー・アドバイザリーコーチ）さんがベンチ入りすることで、チーム全体として変化すると期待しています。今日の試合では外国籍選手が苦戦し、馬場雄大（A東京）に上からダンクを叩き込まれるほどでしたが、あれはお手上げと言っているようなものかなと。やられた時、踏ん張って、立ち直るくらいの力ないとダメです。そこは清水さんに期待を掛けたいし、何かしてくれるだろうと思っています。

栃木から加入した熊谷。開幕から先発出場を続けている [写真]=B.LEAGUE

――B2から昇格した西宮ストークスと島根スサノオマジックはいかがでしょうか？
倉石　　2チームともメンバー的に厳しい中、よくやっているなと感じます。メンバー、スタッフ、ホーム会場の条件など決していい条件とは言えませんが、かなりがんばっているように見えます。

初参戦のB1で7勝21敗と苦しむ島根 [写真]=B.LEAGUE

――ある程度、チーム相応の試合ができているということですか？
倉石　　いきなりゾーンプレスをしたり、最初から奇襲攻撃をするなど、予想外な戦術をとることも事実です。しかし、西宮のように負けながらも競るゲームをしていけば、自分たちの血となり、肉となりますので。B1での60試合は伊達じゃないですし、大きな経験になっていて、自分たちの勝ちパターンを見失わずにいてほしいです。

B2王者として挑む西宮。わずか6勝と苦戦を強いられている [写真]=B.LEAGUE

■西地区（第15節終了時点勝敗／勝率／得点／失点／得失点差）
1位：琉球ゴールデンキングス（21勝7敗／0.750／2119／1866／253）
2位：京都ハンナリーズ（16勝12敗／0.571／2115／2168／－53）
3位：滋賀レイクスターズ（11勝17敗／0.393／2039／2144／－105）
4位：大阪エヴェッサ（8勝20敗／0.286／1967／2135／－168）
5位：島根スサノオマジック（7勝21敗／0.250／2034／2202／－168）
6位：西宮ストークス（6勝22敗／0.214／2018／2238／－220）