2018.03.12

ポーカーフェイスを貫く池田雄一、34歳の主将として「若手の方向性を定めてあげたい」

11日の横浜戦では、試合を決めるビックショットを沈めた新潟の池田(左)[写真]=B.LEAGUE
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

 3月11日に横浜国際プールで行われた横浜ビー・コルセアーズ戦で、前日に続く勝利を挙げた新潟アルビレックスBB。1点リードの残り3.2秒で横浜にとどめを刺したのは、ファウルを受けて体勢を崩しながらねじこんだ池田雄一の3ポイントだった。歓喜に沸くチームメートやブースターを尻目に、池田自身は派手に喜ぶことなく控えめに、しかし力強く拳を握ってガッツポーズ。常日頃から黙々と自身の仕事を遂行する池田らしいアクションと言っていいだろう。

 その池田について、庄司和広ヘッドコーチは「彼には常に『このチームでピュアシューターはお前だけ。しっかり自分のタイミングで打ちきりなさい』と言っている。ベテランで状況を見極めることもできるし、良い意味でのずる賢さも持っている。チームにとって良いアクセントになる仕事をしてくれている」と高く評価。チーム一筋12シーズン目の今季はキャプテンも任されているが、決して重荷を背負いこまず、マイペースな中に責任感をのぞかせる池田流のキャプテン像を表現している。

「キャプテンとしてチームに良い影響を与えているかどうかは周りが判断することだと思うし、僕は僕でできることを練習から常にやっていますが、この歳(34歳)でキャプテンになって、見えていることも若い頃とは違うので、みんなが同じ方向に向かえるように、特に若手の方向性を定めてあげたい」

今季はキャプテンとして新潟を支えている[写真]=B.LEAGUE

 試合後の取材対応でも、コート上と同じポーカーフェイスを貫く池田。その彼が唯一笑みを浮かべたのは、自身が出演したテレビ番組に話が及んだ時だ。1戦目と同じ時間帯に放映されたTBSテレビ系『炎の体育会TV』に、チームメートの五十嵐圭森井健太(サポート役)とともに登場。100秒間に20カ所からシュートを決める種目にチャレンジし、五十嵐が見事にパーフェクトを達成した一方で、池田は最後の1カ所(ハーフコートシュート)をクリアできずパーフェクトを逃した。しかし、その日の試合では3本の3ポイントをすべて成功させ、翌日には冒頭で触れたビッグショットを披露している。

 「試合でも、ああいうゲーム性のあるものでもパーフェクトは常に狙っています。でも、試合で決めたい気持ちのほうが強い。テレビはテレビで楽しんで、結果を出すべきはコート上なので、決め続けられるように練習していきます」

 キャプテンとして、シューターとしての役割を全うしようとする池田。その淡々とした姿勢の中に垣間見えるのは、もちろん勝利への欲求だ。

文=吉川哲彦

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