2018.03.21

チーム愛を貫き東京五輪挑戦へ、信州ブレイブウォリアーズの齊藤洋介が抱く決意

今季限りでの引退を発表した信州の齊藤 [写真]=B.LEAGUE
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

 B2中地区の信州ブレイブウォリアーズで主将を務める齊藤洋介が今季限りでの引退を発表したのは、レギュラーシーズン22試合を残した3月1日。同5日の記者会見で語った引退の契機は、3x3のチームからオファーがあったこと。そこでのプレーを経て、2020年の東京オリンピック出場を目指すというのだ。

 2010年にプロ選手となり、翌年に当時bjリーグの信州に移籍。横浜ビー・コルセアーズでもプレーしたが、すぐに信州に戻ってチームの顔にもなった。今回のオファーは齊藤自身にとっても青天の霹靂だったが、決断は早かったという。「年明け早々に話をいただいたんですが、それまではオリンピックのことは全く想像していなかった。でも僕の性格上、思い立ったらすぐ行動に移すので(笑)。もちろんまだ優勝してないので悔いがないわけではないですが、迷いはなかった。自分が現役でいられる間に自国開催のオリンピックがあるのは奇跡に近い。そのチャンスにトライもしないでバスケット人生を終わらせたくなかったんです」

 3x3の活動を並行させている現役Bリーガーもいることを考えると、必ずしも引退する必要はない。それでも引退を選んだのは、並行の負担があること以上に「他のチームでプレーする気はなかった」からだ。信州というチームへの思い入れを、齊藤はその言葉に強くにじませた。

信州でプレーするのは今季で計6シーズン目 [写真]=B.LEAGUE

「横浜のブースターさんも本当に温かくて、今でも応援に来てくれる人もいます。でも、今の自分を育ててくれたのは信州のブースターさん。その人たちと、拾ってくれたチームに恩返ししたい。ただ、僕がこのチームに居座り続けるのもいい影響を与えないんじゃないかというのを感じていて、それなら世代交代してチームがどんどん生まれ変わってほしい。オリンピックを目指すことは自分のためでもありますが、このチームからオリンピック選手が出れば地域が盛りあがってくれるという思いもあります。早く引退を発表したことで観客動員が増えたりグッズが売れたりするのであれば、それも貢献になると思います」

 もとは『YOSK』としてストリートボールの世界で名を馳せた過去があり、「その経験値は活きる」としながらも「3x3のルールでプレーした経験がないので、上から目線でコートに立つつもりもない。自分はチャレンジャー」と語る齊藤。そして「次のことは終わってから考える。今はキャプテンとしてできることを何でもやっていきたい」と、残り試合にすべてを注ぎこむ決意だ。

文=吉川哲彦

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