アウェイ富山市総合体育館で行われた5月12日の第1戦で、90-70と富山グラウジーズを圧倒。B1昇格初年度で苦しみ抜いた島根スサノオマジックが、決戦の舞台で大きな1勝をもぎ取った。
島根はまず試合の入りに成功した。相馬卓弥が外角からリングを射抜くと、山本エドワードと佐藤公威も続く。ジョシュ・スコットは力強いアタックで相手のファウルを誘い、フリースローで加点。対する富山は宇都直輝がチームの最初の9得点のうち7点を稼ぐが、その他の選手がフィニッシュの精度を欠く。島根は波多野和也が開始3分25秒で3つ目のファウルを犯すが、鈴木裕紀ヘッドコーチは波多野を下げずに10分間を乗りきり、20-16とリード。
第2クォーター、宮永雄太をコートに送り出した富山は速攻が出始め、セットオフェンスでもデクスター・ピットマンのインサイドアタックが効果的に決まる。さらにクリント・チャップマンの連続得点で波に乗りかけるが、ジーノ・ポマーレの積極的なシュートでつないでいた島根がここからスパーク。このクォーターだけで10得点を挙げた山本の外角シュートで、48-38と島根が10点差をつけて試合を折り返す。
後半に入り、開始1分31秒で波多野が4つ目のファウル。しかし鈴木HCはここでも「一度モメンタムが相手に行ってしまうと、富山は一気にビッグタイムを持ってくる力がある。ここが勝負どころだと思った」と波多野をコートに残す。富山のオフェンスの起点となる宇都をマークした波多野は、その役割を忠実に実行。後藤翔平の巧みなカバーディフェンスもあり、富山はこのクォーターで10得点に封じられる。
67-48の19点差で突入した第4クォーターも島根はアグレッシブさを失わず、渡邊翔太やポマーレが攻め続ける。富山は残り5分頃から宮永のアシストで外角シュートが入り始めるが、島根のセーフティーリードを崩すには至らず、20点差でタイムアップとなった。
B1残留の懸かった重要な試合で、島根はすべての選手が攻める意識と冷静さを持ち続けた。鈴木HCも「この1週間準備してきたことを選手たちがしっかり表現してくれた。苦しいシーズンだったが、ここまで誰も下を向かずにやってきてくれたことで、こういうビッグゲームでもいい精神状態でやれたのかなと思う」と選手を称賛。そして、「1勝しても意味はない。明日も出だしからエナジーを持って戦いたい」と、“2勝”を島根に持ち帰る決意を示した。
文=吉川哲彦