2018.05.15

“CSスタイル”に進化したシーホース三河、昨季王者の栃木ブレックスを振り切り準決勝進出

第2戦で21得点7アシストと勝利に貢献した比江島[写真]=B.LEAGUE
バスケットボールキング編集部。取材歴は20年を数え、これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、今年も氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

栃木の猛追を振り切り第2戦も三河が勝利

 5月13日、ウィングアリーナ刈谷で行われた「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2017-18」クォーターファイナル第2戦、シーホース三河栃木ブレックスが相まみえた。前日の第1戦は三河が第4クォーターにスパート、粘る栃木を振り切った。

 迎えた第2戦、スタートダッシュに成功したのは三河だった。コートニー・シムズをスタートに戻した三河はインサイドにボールを集めてペースをつかもうとする。さらにベンチスタートとなったアイザック・バッツもコートに入れば、リング下で体を張る。この試合、シムズとバッツがともに2ケタ得点2ケタリバウンドの“ダブルダブル”を達成しゴール下を制圧した。

 第3クォーターにはこの日最大となる21点のリードを奪った三河。ゲームの行方はほぼ決したかに思えたが、栃木は諦めていなかった。逆に、栃木のセカンドユニットが投入された時点から、試合は大きく動き出していく。安齋竜三ヘッドコーチは選手をコートに送り出す際、特に指示をしなかったという。

「それはレギュラーシーズンでもこのような場面は何度も経験してきたから。今季、改めてチーム作りをしてきた時、チーム全員がいつも同じ方向を向くことを徹底させた。仮にプレイングタイムをもらえなかったとしても、下を向いてはダメ。チームスポーツとして、自分が何をすべきかを植え付けさせた」

 チームに浸透したケミストリーの下、強度が増したディフェンスを前線から繰り出し、栃木はリズムと勢いを蘇らせた。点差はじりじりと縮まり、第4クォーター残り31秒には田臥勇太が2本のフリースローを決め、1点差まで三河を追い詰めた。

 この場面、オールコートで当たる栃木に対し、三河は比江島慎にボールを託し、1対1の状況を作った。トップでボールをキープした比江島は左に移動。ディフェンスが少し下がったところを見逃さずシュートを放つとボールはリングを通過。結果的にこのシュートが三河に勝利を呼び込んだ。

自分たちの強みを発揮した三河、それを封じられた栃木

 三河は桜木ジェイアール橋本竜馬が第4クォーターでファウルアウトするという局面を切り抜け、第2戦も勝利。セミファイナル進出を決めた。この2試合で目立ったのが、レギュラーシーズン以上に際立ったディフェンスの強さだ。特にオフェンスの起点となる司令塔、田臥へのプレッシャーが強く、思いどおりの組み立てをさせなかった点が大きな勝因となった。

橋本は激しいディフェンスで田臥を止めた[写真]=B.LEAGUE

 さらに持ち前のインサイドの強さも見逃せない。2試合を通じてリバウンドの総数は三河が84本に対し、栃木は63本。セカンドチャンスでの得点は三河の20点に対し、栃木の12点と大きく上回った。またフリースローは三河が34本のアテンプトがあったのに対し、栃木は18本。約2倍の差は、三河がゴール下までしっかりと攻めていたのに対し、栃木はそれができなかったとも言うことができる。

 データ的には勝った三河を証明する数字が出ているが、内容的にはほぼ互角だったとも言える。“たら・れば”だが、もし第2戦を栃木が取っていれば、どのような結末を見せたかは誰も想像ができないだろう。

 栃木の猛追を受けていた時、三河のメンバーは大きなプレッシャーを感じていたという。しかし、それを振り切ってシュートを決めた比江島は、「ホームコートの後押しが力になりました」と、試合後のヒーローインタビューで感謝の言葉を述べた。そして、「皆さんを絶対ファイナルへ連れていきます!」と宣言。今週末に行われるアルバルク東京とのセミファイナルへの強い気持ちを発露させた。

 三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは「これまでは栃木さんの準備しかしてこなかったので、この1週間で次の対戦(この時点ではA東京か京都の勝者が決定しておらず)チームのスカウティングを行う」と、記者会見の最後で語った。ベンチの采配、さらには選手たちの強い気持ち、そしてホームコートアドバンテージとなるサポーターの大声援、これらが見事にミックスされた時、三河は盤石の強さを発揮するだろう。

セミファイナルへの意気込みを語った鈴木HC[写真]=B.LEAGUE

文=入江美紀雄