2018.06.11

名作映画『ベン・ハー』さながら!? 大迫力の車いすバスケットボールに注目!!

前回王者の強豪オーストラリアに勝利するなど、4連勝で見事優勝した日本代表[写真]=山口剛生
バスケットボールキングプロデューサー(事業責任者)。学生バスケをテーマにしたCM制作に携わったのがバスケに関する初仕事。広告宣伝・マーケティング業務のキャリアが一番長いが、スポーツを仕事にして15年。バスケどころの福岡県出身。

 6月8日から10日の日程で、武蔵の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)にて、車いすバスケットボール男子日本代表国際強化試合「三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2018(ワールドチャレンジカップ2018)」が行われた。武蔵の森総合スポーツプラザは東京2020パラリンピック本番でも会場として使用されることが決定しており、メダルを目指し強化に励む日本代表にとって、本番と同じ施設でオーストラリア、カナダ、ドイツといった世界の強豪と真剣勝負を経験する貴重な機会となった。

 10日に行われた決勝で、日本は昨年の同大会チャンピオンでリオ2016パラリンピック競技大会6位の強豪オーストラリアに65-56で快勝し、総当たりの1次リーグから決勝まで4戦全勝。強いフィジカルとアグレッシブなバスケットボールを誇るオーストラリアに、スピードとクイックネスで対抗した日本。自分たちが目指すバスケットボールが世界に通用するかどうかの試金石となる重要な大会で見事勝利を収め、2020年の本大会に向けて大きな弾みとなる経験と自信を得ることとなった。

代表最年少、19歳の鳥海連志[写真]=山口剛生

 この日、訪れた大勢の観衆は、中高生や家族連れなども多く、初めて目の当たりにする車いすバスケットボールのあまりの迫力に、ため息と驚きの様子を見せ、意地と意地のぶつかり合うレベルの高い攻防に大歓声を送り続けた。

 車いすバスケットボールは、往年の名優チャールトン・ヘストンが主演を務めたアカデミー受賞の名作『ベン・ハー』の戦車競走さながらの大迫力に加え、バスケットボールの持つ高い戦略・戦術性が組み合わされた観るものを虜にする素晴らしい競技だが、まだまだパラリンピックの一競技としての認知に留まり、その魅力を十分に知られていない現状もある。

激しいぶつかり合いは車いすバスケの魅力の一つと言える[写真]=山口剛生

 日本代表の京谷和幸アシスタントコーチは、初めて車いすバスケットボールを観る人に、その見どころを語るにあたり「車いすのスピード感と、車いす同士がぶつかり合うコンタクトや激しさが魅力ではあるのですが」と述べた後に、「車いすは障がいを持っている人がやるスポーツですが、競技制の高い種目であり、パラスポーツじゃなくてもいいのではないかと思うくらい世界的に競技レベルの高いスポーツだと思います」とスピードやコンタクトというシンプルな魅力に加え、成熟された戦略性や世界的なレベルの高さも大きな競技の魅力であると答えた。今後の男子代表については「トランジッションやクイックネスは、日本のバスケットボールが掲げていることではあるのですが、まだまだ判断のミスが多いので、トランジッションの中でも判断スピードの速さを身に着けていく必要があるのかなと思います」と一定の成果を得ることができた今回大会の課題を語ると、「もっと質の高いバスケットを見せることができるようになりたいですね」と続け、「(2020で結果を残すために)できなかったことを練習で改善していくのがコーチの役目ですから」と笑顔で締めた。

日本代表の中心選手である香西宏昭[写真]=山口剛生

 2020年への機運が高まる中、協会関係者、スタッフ、ボランティアそして大会スポンサーやオフィシャルパートナーの協力も得て、多くの観客に車いすバスケットボールの魅力を届けることができた今大会。古代オリンピックでも人気を博したという戦車競走さながらの大迫力を要する車いすバスケットボールから目が離せない。

文=村上成

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