2018.06.18

九州大会は精華女子が5年ぶり2回目の優勝、決勝で東海大福岡に競り勝つ

決勝で東海大福岡を破った精華女子[写真]=青木美帆
大学時代より取材活動を開始し、『中学・高校バスケットボール』編集部を経て独立。メインフィールドである育成世代から国内バスケット全体を見つめる"永遠のバスケ素人"。

 6月15日から17日の3日間、大村市体育文化センターにて「第71回全九州高等学校バスケットボール競技大会」が開催された。女子決勝は17日に行われ、精華女子高校(福岡1位)が東海大福岡高校(同2位)を67-64で破り、5年ぶり2回目の優勝を果たした。

 決勝戦の主導権を先に握ったのは東海大福岡だった。粘り強いディフェンスからリズムを作り、内藤唯を軸にバランスよく加点していく。精華女子は、5月の福岡県大会(精華女子が83-47で勝利)とはまったく異なる東海大福岡の戦いぶりに対応が後手に回り、得点源の樋口鈴乃と三浦舞華のシュートも決まらない。それでも前半は膠着状態が続いたが、第3ピリオドに藤井愛理(東海大福岡)の3ポイントシュートが連続で決まると、流れは徐々に東海大福岡に傾きだす。

内藤唯は試合をとおしてチーム最多得点をマーク[写真]=青木美帆

 しかし、精華女子は2枚看板以外の選手たちが踏ん張った。シックスマンの那須楓がアグレッシブなプレーでビハインドを7点から2点に縮め、最終ピリオドに望みをつなぐ。第4ピリオドは木村瑞希がインサイドで力強く得点を重ね、逆転の足がかりを作った。第3ピリオド終盤に4つ目のファールを宣告されたキャプテンの矢野聖華も「この状況で5つ目のファールをするような子ではない」という大上晴司コーチの期待に応え、最後までチームを盛り立てた。

矢野は2本の3ポイントを沈めた[写真]=青木美帆

 東海大福岡もファールトラブルに苦しみながら、途中出場した岡崎桜の連続得点などで追随したが、最後は精華女子が三浦と樋口の両エースで得点を伸ばし、勝負あり。大上コーチは「苦しいときに選手自らで考えるクセをつけてきたことが、この試合に生きた」と選手たちのがんばりを称えた。

17得点を挙げて勝利に貢献した三浦[写真]=青木美帆

 準優勝の東海大福岡は、2010年に宮崎優介コーチが就任して以来初の九州大会決勝進出。今大会はメインガードの吉末菜桜を故障で欠き、内藤がポイントガードにコンバートという苦しい状況ながら、開催権代表の長崎女子高校(長崎1位)、新人九州大会で敗れた県立小林高校(宮崎1位)を倒して決勝に進んだ。中学時代に県選抜を経験した選手は2人しかいないが、「高さがないぶん平面でフィジカルに戦う」(宮崎コーチ)という方針で練習を積み重ね、精華女子の大上コーチいわく「脚力と球際の強さは九州ナンバー1」というチームを作り上げてきた。

 準決勝で精華女子相手に好ゲームを演じ、シード決定戦で県立小林に92-78で勝利した県立西原高校(沖縄1位)は、6年ぶり5回目のインターハイ出場となる。沖縄県の有望選手は県外に進学する傾向が強い。「いい選手は外に出てしまうけれど、沖縄でがんばりたい。だからこそ精華には勝ちたかった」と崎浜秀勝コーチは落胆を隠せなかったが、ガードの知名祐里、センターの宮里雅ら個性的なメンバーの伸びしろは大。シーズンをとおしての成長が楽しみなチームだ。

県立西原の宮里雅[写真]=青木美帆

文・写真=青木美帆

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