2018.07.25

『switch』作者、波切敦氏インタビュー「渡邊君や八村君に負けないぐらい夢のある世界を描きたい」

『switch』は週刊少年サンデーで連載中©波切敦/小学館 少年サンデー
バスケットボールキング編集部。取材歴は20年を数え、これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、今年も氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

週刊少年サンデーにバスケットボールを題材としたマンガ『switch』が連載されているのをご存じだろうか。バスケットボールキングでは早速編集部にコンタクトを取り、作者の波切敦先生へのインタビューをリクエスト。週刊誌への執筆ということで非常にタイトなスケジュールをこなす波切先生だったが、貴重なお時間を割いていただき、無事インタビューがスタートした。

取材・文=入江美紀雄
写真=小沼克年
取材協力=週刊少年サンデー編集部

体の動きや体育館のディティールにもこだわりたい

マンガへのこだわりを語る波切先生[写真]=小沼克年


――最初にバスケットボールを題材に取り上げた理由を教えてください。
波切 編集担当と相談して、スポーツのマンガを描こうという話になって、それではバスケットにしましょうという感じでスタートしました。

――サッカーや野球を選ばなかったのはどうしてですか?
波切 中学校の休み時間によくバスケはしていました。他のスポーツに比べて、自分としてはバスケがうまくできたほうなので。サッカーはうまくできなかった記憶が(笑)

――どちらかといえば文科系?
波切 そうですね。クラスに必ず1人いる絵がうまい子みたいなポジションでした。授業中も落書きばかりしていて。そんな経緯があって漫画家を目指したのですが、元々動きのある絵が好きだったので、スポーツマンガは描きたいと思っていました。

――バスケットボールを描くことの難しい面は何ですか?
波切 ジャンプするシーンはカッコいいですね。以前から筋肉を描くのが好きで、バスケのユニフォームは肩や胸の筋肉が露出しているため、描きやすいとも言えます。バスケ特有の接触のシーンも嫌いではありません。ただ、1つのシーンで描かなければいけない人の数が多いので、それは大変ですね(笑)

――実写でもバスケのシーンを表現するのは難しいと聞きます。ボールの持ち方ひとつでその人が、バスケがうまいか下手かがわかるとも言われています。
波切 確かにそのとおりです。シュートを描いても担当から修正が入る時があります。それにバスケではオフェンスもあればディフェンスもいます。特に3対3の局面では、ディナイや3線のディフェンスのいる位置や動きも注意しなければなりません。実際にプレーすることと同じで、突っ立っていてはリアリティがないですからね。

――やはり読者にはバスケ経験者が多いので、チェックをするのではないでしょうか。
波切 はい、読者の方々の目はシビアなので、譲れない部分がたくさんあります。細かく言えば、シュートを打つ時の左手のそれぞれの指がどうなっているかも大切です。

高校からBリーグ、そして世界へ。描く世界の夢が広がっていく

ストリーはすでに高校編がスタート。その後はまだ決まっていないが、夢のある世界が広がっている[写真]=小沼克年


――これまで小学生を描かれてきましたが、そこでも苦労はありましたか?
波切 子供を描くのは難しいですね。ネットでも頭が大きすぎるなど指摘をいただいたりしました。小学6年生を描いていたのですが、バランスに注意しながら。

――ストーリーは中学に移るのですか?
波切 中学生はダンクができないので飛ばすことにしました(笑) これから高校編がスタートします。むしろ高校からストーリーが本格的になっていくと思ってください。

――となると、これからはインターハイやウインターカップに出場を目指していくわけですね。会場に行かれることもあると思うのですが、体育館のディティールなどもこだわるほうですか。
波切 都内の小学校や高校にお邪魔して体育館の細かい部分までチェックしています。あとはアルバルク東京さんの練習場にもうかがいました。Bリーグの試合も観戦しましたし、ウインターカップが行われていた東京体育館も行っています。

――なるほど。
波切 実は『黒子のバスケ』や『ハイキュー!!』のアシスタントをしていたので、体育館のシーンは得意なのです。よく担当していました。

――最後にお話しいただける範囲で構わないのですが、今後のストーリーの展開を教えてください。
波切 本当に今後の展開は決まっていません(笑) 最初にアメリカの絵を描いていますが、とりあえず行けたらいいなという感じです。とてもラッキーだと思うのは、渡邊雄太君(ジョージ・ワシントン大学卒)や八村塁君(ゴンザガ大学)のように世界で活躍する選手が出てきたことです。Bリーグが誕生したことで、バスケットボールに興味を持つ読者も増えてきました。これからは高校を卒業してBリーグに進んで、その後、NBAへ挑戦する選手が出てくるかもしれません。バスケットをする子供たちの可能性が大いに広がったので、ストーリーもそれに負けないぐらい夢のあるものにしていきたいと思います。

「Bリーグが誕生してバスケットをする子供たちの可能性が広がった」と語る波切先生[写真]=小沼克年

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