「雄太の活躍を刺激に高みを目指す」、25歳のルーキー笠井康平がBリーグデビュー

6日の三河との開幕戦でBリーグデビューを飾った笠井[写真]=B.LEAGUE(写真は9月9日のもの)

 2016年9月22日に産声をあげたBリーグも、早3年。10月4日に先行して開催された千葉ジェッツvs川崎ブレイブサンダースの試合に続き、2018-19シーズンのB1開幕が本格的に到来を告げた。昨シーズンチャンピオンシップに進出も、琉球ゴールデンキングスに僅差で敗れた名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、持ち前のトランジションオフェンスにさらに磨きをかけ、昨季以上の高みを狙う。開幕節の相手は同じ愛知県に本拠を構え、Bリーグ以前から戦ってきたシーホース三河。同県勢とはいえ、実績では三河の後塵を拝する名古屋Dはこの難敵をホームのドルフィンズアリーナで迎え撃つ。

 今シーズンの名古屋Dは競技面の向上に加え、興行面でもステップアップを目的に『ケイゾク』、『トリック』など数々のヒット作品を生みだしてきた日本有数のヒットメーカー堤幸彦氏が演出を手掛けることでも注目を集める。名古屋Dとしては、毎シーズン優勝候補に挙げられる強豪を退け、勝負の3シーズン目にしっかりとスタートダッシュを決めたいところだ。

 試合は、一進一退の攻防が繰り広げられる好ゲームとなったが、新加入のマーキース・カミングスが27得点、チームの大黒柱であるジャスティン・バーレルが21得点を挙げた名古屋Dが、80-75で強豪三河を退け、見事開幕戦勝利を収めた。この試合でBリーグデビューを果たした名古屋Dのオールドルーキー笠井康平は、15分弱の出場時間ではあったものの、4得点2アシストを記録。重要な第4クォーターでプレータイムを得るなど、持ち前の粘り強いディフェンスでチームの勝利に貢献した。奇しくも、同日にNBAプレシーズンマッチでのデビューを果たした尽誠学園高校時代の後輩、渡邊雄太(メンフィスグリズリーズ)と同じタイミングで自身もプロデビューを果たした。

笠井は笹山貴哉同様、得点力も兼ねそろえるポイントガードだ[写真]=B.LEAGUE(写真は9月9日のもの)

 試合後の取材に応じた笠井はデビュー戦の感想を問われると、「チームメートみんながいじってくれたので、気は楽でした」と話しつつも、序盤は力が入ってしまい、余裕がなかったことを明かした。プロの試合での一番の違いにディフェンス時のフィジカルコンタクトの強さを挙げた25歳は、「徐々にフィジカルコンタクトに慣れていけば、持ち前のシュート力も発揮できると思う」と課題解決と、さらなるチームへの貢献を口にした。

 チームへの入団、そして試合でのデビューも、NBAに挑戦する渡邊と同じタイミングとなった感想を問われると「不思議な縁ですね……。もちろん挑戦するレベルが全然違いますが、彼の活躍はとても刺激になります。」と語り、「いい意味でうまく彼の活躍を利用して、自分に刺激を与えていきたい」と前を向いた。

同日、渡邊は本格的なNBAデビューへまた1つ階段を上がった[写真]=Getty Images

 名古屋Dにとっては、大事な開幕戦で司令塔の笹山貴哉をケガで欠く不運となったが、遅れて来たルーキーが十分に戦力として計算できることがわかったことは、長いシーズンを戦う上で大きな収穫となった。アメリカで夢を追いかける渡邊の活躍を見守りつつ、その活躍に刺激を受ける笠井の成長も見逃せない。

文=村上成

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