2018.11.09

プレーだけでなく精神面でもチームをけん引する中山拓哉

攻守にわたってチームを引っ張る秋田の中山 [写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 フィジカルを活かしたハードなディフェンスと鋭いドライブを持ち味としている秋田ノーザンハピネッツ中山拓哉。チームは第8節終了時点で3勝10敗と苦戦が続く中、存在感を示しながら攻守にわたってチームをけん引している。その裏付けとして出場時間が1試合平均30分以上と大幅に伸び、昨シーズンのB2でタイトルに輝いたスティールはもちろん、得点やアシストといったオフェンス面のスタッツも伸ばしている。

 再びつかみ取ったB1というトップレベルでの戦い。11月7日に行われたアルバルク東京戦では45点差敗戦という厳しい現実を突きつけられた。

「まだチームの連携が良くなく、コート上で意思統一できていないから、今日のような結果が出ていると思っています。まずはチームで守るというよりも1対1で負けないというのがチームのコンセプト。自分自身もそうですけど、相手についていけず、簡単に抜かれてしまうところがありました。それを個人として考えていかないと、今後、B1の舞台で勝てないと思っています」

 ディフェンスの部分では、今シーズンは相手ガードはもちろん、局面でインサイドの外国籍選手とマッチアップするなど幅広い動きを見せる。「自分の主軸はディフェンスです。今シーズンはインサイドの選手にもディフェンスしますし、外国籍選手ともマッチアップしています。彼らにフィジカルで負けたくないと思い、オフシーズンから継続的に強化しています」と、B1で戦うための体作りを行い、ディフェンスで常に準備していることが、ドライブからの得点などオフェンス面につながっている。

第8節を終えて1試合平均9.3得点4.8アシスト2.5スティールを記録 [写真]=鳴神富一

 攻守にわたってプレー面でチームをけん引しているだけではなく、精神的な部分でもチームを引っ張ろうと意識している。その理由は秋田の顔でもあった、ある選手の移籍がきっかけだった。

「昨シーズンは田口成浩(現千葉ジェッツ)選手に頼ることが多かった。彼が移籍して、その中で今は自分が一番試合に出ています。プレーでもそうですけど、コミュニケーションの部分でも、もっと自分がやっていかなくてはいけないと感じています。それでも、もっともっとチームを引っ張っていかないといけないと思っています」

 それでもまだ結果がついてきていない。苦しみながらも自分自身のプレーや姿でチームを鼓舞し続けるしかないだろう。チームの現状について中山はこう語る。

「負けていますけど、B1でいろいろな選手と対戦できて楽しいです。でも、やっぱり“勝ってなんぼ”だと思っています。今は(ジョゼップ・クラロス・カナルス)ヘッドコーチの求めているレベルにまだ追いつけていないので、まずは追いつかないと次の戦術などを展開できないと感じています。求められているものを体現できるように、選手は必死になって、がんばっていかないといけないなと感じています」

 勝利への意欲、それこそが今のチームに必要なことかもしれない。彼が抱いている気持ちがチーム全体により浸透すれば、若さを武器にB1の舞台で旋風を巻き起こせるだろう。中山の存在感がチームをより上に引きあげる、そう言っても過言ではない。

文=鳴神富一

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