2019.03.07

自身の役割を全うする柏木真介「楽しむことを第一にプレーしている」

五十嵐とともにベテランとしてチームをまとめる柏木 [写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 現在中地区首位をひた走る新潟アルビレックスBBは、Bリーグがスタートして3シーズン目にして初のチャンピオンシップ進出への期待が懸かっている。好調な要因は様々あるが、何と言っても今季チームに加入したベテランガード、柏木真介の存在が非常に大きい。3月3日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦はオーバータイムにもつれこむ大激戦であったが、35分間コートに立ち、チームを鼓舞し続けた。彼が加入したことで様々ないい影響がチームにもたらされていると言ってもいいだろう。どんな局面でもチームを冷静にコントロールできる力とディフェンス能力、そして精神的な柱であること。この3つが彼の素晴らしさだ。

 エースでもあるダバンテ・ガードナーは「昨シーズンよりもチャンピオンシップに行きたいという気持ちが強いので、よりゲームに集中できていると思います。我々は自分とラモント(ハミルトン)というインサイドの強さがあって、日本人は逆にアウトサイドのシュートがうまい選手がそろっているのでいいバランスじゃないかなと感じています。フロアバランスの良さが、今日のようなビハインドを背負ったゲームでも追いつける要因」とチームの好調さを分析。柏木のような選手がいるからこそ、チーム自体をうまくコントロールできている。

 もう1人、チームの核でもある五十嵐圭は、柏木の存在の大きさを今シーズンの好調さとともに語った。

「試合の中でしっかりと修正ができるところですね。ゲームの中でいい時と悪い時がありますけど、いい時はゲームをコントロールして、悪い時はディフェンスをしっかりできる。いいディフェンダーでもある真介が来たことで、しっかりとディフェンスで強度を上げてくれていて。それがチームにも浸透してきていて、いい影響を与えてくれていると思っています。僕自身も彼と一緒にプレーしているとすごく楽で、何も言わなくても阿吽の呼吸でプレーできているので。そういうコミュニケーションだったり、コンビネーションだったりはシーズン当初より良くなってきています。ここからもっともっとチームとしてもいい形でやっていきたいと思っています」

 チームにおいて存在感の大きい柏木自身は「もちろんチームの約束事をみんなが徹底してやる意識が高いことと、それに考えてプレーするようになったと思うんですよね。今まではチャンスがあったらすかさずシュートを打つとか、シンプルなことをやっていたと思うんですけど、今は勝負の駆け引きとかをチームとして学んでいる時期なのかなと。技術的な練習はどのチームもやるけど、それ以外のバスケットボール自体を勉強していることが、今シーズンの新潟が今までと違う部分なのかなと感じています」と冷静に好調さを分析した。

今季は1試合平均8.5得点を記録 [写真]=鳴神富一

 彼自身は今シーズン、過去のシーズンとは全く違う毎日を送っている。プレータイムは大幅に伸び、それによって個人のスタッツも大きく上昇した。

「コンディションはシーホース三河から移籍するタイミングからずっと良かったので。ただ、名古屋ダイヤモンドドルフィンズにいた昨シーズンはチーム自体が世代交代しているタイミングで、そのサポートをして、役割を全うしただけです。逆に今の新潟ではプレータイムがたくさんあって、プレーで役割を示さないといけない。その違いだけかなと思っています。この新潟でプレータイムが長くなった分、シーズン最初は正直きつかったですけど。プレーし続けていくと慣れてくるもので、意外ともつんです。さらに長く出してもらっていることでゲーム勘を取り戻してきています。それは新潟に来て昨シーズンと違う役割をしていることによって、今まで忘れかけていたこと、できなかったことができている感じがします」

 そして、新潟に移籍して大きな決意を持ってプレーしている。

「プレーできるのはうれしいですし、ありがたみも感じています。逆にこの立場でゲームに出るということは、若手の選手に対してもしっかりと結果などを示さないといけないです。そういういろいろな思いを持ちながらプレーしていますね。さらに言うと“バスケットを楽しんでやろう”という気持ちで新潟に来る時に決めて来ているので。そういう気持ちの中でチームの手助けを少しでもできたらいいなと。もう今はバスケットを楽しむことを第一にプレーしていますね」

 最後に残りシーズンどう過ごしたいか聞いてみた。「まずはチャンピオンシップ進出がチームの目標です。目標を達成できたらその先はいくらでもチャレンジできるので。まずはチャンピオンシップ進出を決めて、その先はあとはやるだけです。最終的な結果として優勝できたないいなと思います」

文=鳴神富一

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