2019.03.15

JX-ENEOS渡嘉敷来夢×宮澤夕貴 「ビッグになりたい」と口をそろえる2人のMVP(前編)

JX-ENEOSの11連覇に貢献した左からレギュラーシーズンMVPの渡嘉敷来夢とプレーオフMVPの宮澤夕貴 [写真]=兼子慎一郎
取材歴15年目でミニバス、中学、高校、大学、トップリーグに日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

JX–ENEOSサンフラワーズの優勝で幕を閉じた第20回Wリーグ。これにより、JX–ENEOSは前人未到の11連覇を達成した。その快挙に大きく貢献したのがレギュラーシーズンMVPの渡嘉敷来夢とプレーオフMVPの宮澤夕貴。
1991年生まれの渡嘉敷は、日本人として3人目となるWNBAプレーヤーで、今シーズンも安定したプレーでけん引。一方、1993年生まれの宮澤は、JX–ENEOS入団後に身に付けた3Pシュートを武器としてオールラウンドに得点を挙げた。
一緒に戦って7年目。そんな2人のMVPにシーズンのこと、互いのこと、そして今後への思いを語ってもらった。

取材・文=田島早苗
写真=兼子慎一郎(インタビュー)、伊藤一充(プレー)

「日本代表が多いからとかいろいろ言われますが、その裏では相当練習しています」(渡嘉敷)

シーズン中も妥協のない練習の積み重ねが優勝につながったと渡嘉敷は強調する [写真]=伊藤一充

――優勝から数日経ちましたが、改めて今の心境をお聞かせ下さい。
渡嘉敷 ファイナル直後は優勝した実感が強かったのですが、今は優勝したこと、11連覇を達成したことより、オフになって少しホッとしているというのと、今シーズン頑張ってくれた体や心をしっかり休めたいなという気持ちが強いですね。
宮澤 私は、今回の優勝はすごく嬉しかったです。チームの雰囲気が良かったから、なおさら「このメンバーで優勝したい」という気持ちがありました。
それと、メイさん(大﨑佑圭)とリュウさん(吉田亜沙美)がスタートから抜けて、新しくネオ(藤岡麻菜美)とジュナ(梅沢カディシャ樹奈)が入って、だからこそ負けたくなかったし、女王感を出したかった。自分自身、ステップアップしたところを見せたい、チームとしても強いんだというのを見せたかったですね。

――女王感を出したかったと。
宮澤 はい。
渡嘉敷 お、魔女!(笑)。
宮澤 それは毎回思うんですよ。「女王だな」とか、「強すぎる」と言われることが好きなので。
渡嘉敷 えー、すごい(笑)。

――渡嘉敷選手はどうですか?
渡嘉敷 そこまでは…。強すぎるとか思われるのは……、だって強いですもん(笑)。いや、でも、メンバーが良いから勝てるとか、日本代表が多いからとかいろいろ言われますが、その裏では相当練習しています。それにコミュニケーションもたくさん取るし、選手みんな、レベルの高いプレーを求めています。「これくらいでいいか」ということは絶対になく、練習中からミスをしたら、「ああしよう、こうしよう」と、全員がちゃんと考えを言う。そういう意見交換をしながらやっているから強いんだということは伝えたいです。
宮澤 確かに。JX–ENEOSは良い選手がいるから、インサイドが強いからとか言われるけど、それだけでないですね。
渡嘉敷 うちらはチーム力も強いので。
宮澤 そうだよね。特に感じるのはディフェンスのチーム力。すごく細かいです。
渡嘉敷 細かいところまでちゃんと徹底できているよね。

――当たり前のように見えるプレーも細かい徹底があっての積み重ねということですよね。
宮澤 そうなんです。ディフェンスのポジショニング一つ取っても本当に細かいです。

「自分たちのバスケットができた時はいい試合になって、できていない時に負けます」(宮澤)

自分たちがしっかりやれれば勝てると自信があったという宮澤 [写真]=伊藤一充

――さて、今シーズンのプレーオフは、いつもと違ってセミファイナルからの出場でした。
宮澤 私的には最高でした。
渡嘉敷 自分もいい準備ができたと思います。
宮澤 毎試合30分以上のプレータイムがあると、やっぱり疲れもたまってきてしまうんですけど、(レギュラーシーズンの最終試合からセミファイナルまで1週間空いたことで)一度区切りというか、体を作り直せたことや気持ち的にも楽でした。レギュラーシーズンの1、2位に与えられたアドバンテージがあって良かったと思います。
渡嘉敷 チームのオフェンスを確認できたし、もう一度、自分たちと向き合うことができたよね。あの1週間をどう使うか大切だったと思うけど、チームを“締める”ことができたかな。
宮澤 JX–ENEOSって自分たち次第なんですよ。自分たちが崩れたら崩れる。相手どうこうではなく、自分たちがしっかりやっていればどことやっても勝てるという自信はあったので、あの1週間で悪かったところも修正もでき、すごくいい時間でした。

――ファイナルの相手は三菱電機コアラーズでした。
渡嘉敷 どこが来ても自分たちのやるべきことをやれば勝てるというシナリオが自分の中にあったので、相手は勢いがあって波に乗ったら怖いチームだとは分かっていたけれど、それを耐えられる力はあると思ってました。
宮澤 相手が向かってくるというのは分かってたけれど、そこで受けて立つのではなく、自分たちは自分たちのバスケットをやること。自分たちのバスケットを互いにやり合うような感じではいました。
渡嘉敷 オフェンス対オフェンス、ディフェンス対ディフェンスみたいなね。でも、(試合の)出だしだよね。そこは大事にしていたかな、特に今シーズンは。それに後は、レア(岡本彩也花)と、アースを信頼していたから、どこが相手でも大丈夫だと思ってた。
宮澤 さっきも言ったように、自分たちのバスケットをすれば、の話ですけど、勝てるという自信はあったかな。
渡嘉敷 でもさ、それはレギュラーシーズンを通して得たことだよね。最初は「どうしたい?」「どうするの?」みたいなのあったし。
宮澤 合わなかったよね。
渡嘉敷 でもそこから「こう動いたら、相手はこうやってくるから、その時はこうしよう」って先の話までするようになったのは良かったかな。
宮澤 JX–ENEOSはディフェンスからブレイク。相手のディフェンスがセットする前に攻めることができたらどこのチームも止められないと思うし、それが清美さん(佐藤ヘッドコーチ)のバスケット。
渡嘉敷 堅守速攻です(笑)

――ファイナルもその走りがでました。
渡嘉敷 いや~、やばかった。みんなすごい走った。
宮澤 ほんと。やっぱり自分たちのバスケットができた時はいい試合になって、できていない時に負ける。(レギュラーシーズンでの)2回の負けでそれを再確認できました。
渡嘉敷 (レギュラーシーズン最終戦の)トヨタ自動車アンテロープスに負けた試合、「ビデオ見たくない」って言ったよね、自分。
宮澤 うん。
渡嘉敷 あの試合は、ボール持ったときにディフェンスが寄って来るだろうと思ってパスを出したりとか、逃げの姿勢があったから、自分自身に腹が立って見たくなくて。まあ、ビデオは見たんだけどね。でもそういう思いがあったから次のデンソーアイリス戦(プレーオフ・セミファイナル)で積極的に攻めることができたというのはあったかな。
宮澤 ヨーロッパの試合見たって言ってたよね?
渡嘉敷 そう、ユーロリーグの試合を見てモチベーション上げた。
宮澤 (セミファイナル開催地の豊田市に)移動後の練習で、ディフェンスが2人いても強引に攻めてたから、「タクさん、なんか今日はいつもより攻めるな~」って思ったら、ユーロリーグの試合を見たってことを言っていたので、なるほどね! と。「いいぞ、いいぞ」と思った(笑)。JX-ENEOSは、選手個々が自分の役割をしっかりと果たしたら勝てるから、タクさんも攻めない、私も3Pシュート打たないと勝てない。富士通レッド―ウェーブに負けた時はタクさんのところが攻めれなかったし。
渡嘉敷 ディフェンスが寄ってはいないんだけれど、ヘルプポジションのところにいるからってことだけでパスを考えちゃったよね。

長いシーズンが終わり、リラックスした雰囲気の中、対談は行われた [写真]=兼子慎一郎

後編に続く