2019.04.02

「自分の行動で引っ張っていきたい」…コートに戻ってきたバーレル、チームをCSに導けるか

名古屋Dの大黒柱として活躍するジャスティン・バーレル [写真]=B.LEAGUE
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

「我々の核になる存在。人間的にも素晴らしく、彼がいるとチームがギュッと締まる」

 名古屋ダイヤモンドドルフィンズを率いる梶山信吾ヘッドコーチがこう評するのは、ジャスティン・バーレル。この大事な時期にバーレルが戦列に戻ってきたことは、チャンピオンシップ進出の行方を占う上で大きな意味を持つ。

 名古屋Dでの4シーズン目に突入したバーレルは、開幕から得点とリバウンドの両面で数字を残すなどしてチームに貢献。チームは外国籍選手3名体制を敷いていたが、開幕から2カ月の間にバーレルがベンチ登録を外れることはほとんどなく、クレイグ・ブラッキンズマーキース・カミングスのいずれかがバーレルとコンビを組むというのがチームの基本形だった。

 しかし12月は故障による欠場が続き、同月31日にはインジュアリーリストに登録。チームはヒルトン・アームストロングを獲得して万全を期し、西地区2位の座を巡って京都ハンナリーズと激しく争い続けた。

 そしてシーズンも終盤に差しかかった3月26日、ようやくバーレルがインジュアリーリストから抹消された。しかし、バーレルの復帰に伴い外国籍選手が4名となってしまうため、チームは梶山HCの肝煎りで獲得したカミングスを契約解除するという苦汁の決断を下す。必然的に、バーレルにかかる期待は大きくなった。

復帰後、3試合をこなしたバーレル [写真]=B.LEAGUE

 その復帰2節目に、京都とのレギュラーシーズン最後の直接対決という天王山が訪れる。バーレルは2戦ともベンチ登録され、第1戦は22得点11リバウンドをマークしたもののチームは敗戦。迎えた3月31日の第2戦、バーレルは立ちあがりから左右のフックシュートでチームの先制点を叩きだし、チームに火をつけた。勢いをつかんだ名古屋Dは速攻や3ポイントなど持ち味を存分に発揮し、第1クォーターで8点のリードを奪う。第2クォーターもバーレルはリバウンドとディフェンスにハッスルし、豪快なプットバックダンクも披露。この試合で19点差以上の勝利が必要だった名古屋Dに、前半で18点のリードをもたらす原動力となったことは間違いない。

 ただ、第3クォーターにはオフェンスファウルを犯した直後にディフェンスファウルを取られ、不満の意を示してテクニカルファウルまで宣告されてしまう場面があった。4ファウルとなってベンチに下がらざるを得なくなったバーレルは「ただ切り替えるだけだった。それはもう忘れて次の出番のことだけを考えた」と平常心を取り戻すことに努め、その後第4クォーター中盤にコートに戻って体を張り続けたものの、チームは最終的に19点差をつけることができなかった。その結果を受け、バーレル自身「2日連続の試合は復帰して初めてで、ディフェンスは悪くなかったと思うがオフェンスのリズムが取れなかった」と、試合を通じた自身のパフォーマンスにも満足した様子を見せなかった。

2戦計34得点21リバウンドを記録 [写真]=B.LEAGUE

 それでも、冒頭の梶山HCの言葉からもわかるように、昨季はキャプテンまで務めたバーレルの存在は不可欠。最終的な勝率で京都を上回らなければならない残り8試合、1つの黒星が命取りになる状況でバーレルもチームを導く自身の役割を自覚している。

「自分らしさを出して、オフェンスでもディフェンスでもアグレッシブにプレーすること。あとはコンディションを上げていくこと。その上で、自分の行動でチームを引っ張っていきたい。自分が正しいことをすれば他の選手も正しいことをやってくれると思う。CSに行くチャンスはまだ十分にあるので、とにかく勝ち進んでいきたい」

 そのエナジーあふれるプレーでチームメートを奮い立たせることができるか、名古屋DのCS進出のカギは帰ってきた大黒柱が握っている。

文=吉川哲彦

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