2019.04.05

エンターテイメントのエキスパート、JBLがBリーグとスポンサー契約を結んだわけ

ハーマンインターナショナルのトム・メッツガー社長にBリーグとの関りについてお話をうかがった [写真]=兼子慎一郎
バスケットボールキング編集部。取材歴は20年を数え、これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、今年も氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

今年の2月、Bリーグがハーマンインターナショナル株式会社が展開するオーディオ機器ブランド「JBL」と「B.LEAGUEサポーティングカンパニー」として契約を結んだことが発表された。JBLと言えば70年以上もの歴史の中で、音楽アーティストやオーディオ愛好家らに愛されてきたことでも知られている世界的なブランドでもある。今回、ハーマンインターナショナルのトム・メッツガー社長にお話をおうかがいする機会を得た。同社がなぜBリーグをサポートすることを決めたのか、メッツガー社長に聞いていく。

インタビュー・文=入江美紀雄
写真=兼子慎一郎

JBLのテクノロジーとノウハウをBリーグの成長に寄与したい

富山での代表戦を観戦して、「Bリーグと組めば若い世代へのアプローチができるはず」と確信したというメッツガー社長 [写真]=兼子慎一郎

――なぜBリーグのスポンサーになったのか教えてください。
TM
 私は30年近くハーマンインターナショナルで働いていますが、2年前、来日した時に目指したのが「我々のブランドであるJBLの価値をもっと上げること」でした。そのためには旧来のお客様だけでなく、若い方たちにももっと知ってもらいたいと思っていました。元々JBLのPA(音響)システムはスポーツとの親和性が高く、一時はNBA全体のスポンサーをしていたこともありますが、現在はゴールデンステイト・ウォリアーズをはじめとするチームと契約をして、ホームアリーナの演出の手助けをしています。その成功があるので、スポーツシーンを通じて若い方にアピールしたいという思いがあったわけです。

 そんな折、昨年の11月に富山で行われたFIBAワールドカップのアジア予選、日本代表対カザフスタン代表を見る機会を得たのです。実際に現地で感じたのは、若い人たちを含めてファンの方がとてもエキサイトしていて、しかも演出やゲーム内容もエキサイティングだったことです。富山の試合に出ていたのはBリーグの選手でしたから、「Bリーグと組めば若い世代へのアプローチができるはず」と確信を得て、Bリーグのアプローチにこたえることになったわけです。

――Bリーグに関しての印象はいかがですか?
TM
 もちろんアメリカに住んでいる時もバスケットボールの試合はよく見たのですが、日本のBリーグもNBAに負けないくらいエキサイティングです。そして富山で感じたように演出も試合内容も素晴らしいと言えるでしょう。Bリーグは新しいことにチャレンジをしていくリーグだとうかがっていますが、まさにそうで、Bリーグが何かにトライしようとする姿勢をリスペクトしています。

――アメリカでは実際どのようにサポートをされているのですか?
TM
 アメリカの10大競技場などほとんどでJBLのPAシステムが使われています。そういう意味でハーフタイム時の音楽でだったりアナウンスなど、競技場で使われる“音”のすべてがJBLのPAシステムを通して人々に届いてると言えます。いまやタイムアウトやハーフタイムなどに行われるエンターテイメントもゲームの一部であり、JBLがその競技をサポートしているわけです。それと同じようにBリーグと一緒にできたらいいなということですね。特に日本のバスケットボールの試合は若い観客の方が多くて、その分エキサイティングに見えます。スタジアムにあるスピーカーはプロ用で、日本国内でも若い方を中心に非常に人気のあるBluetoothのワイアレススピーカーとは規格等が違いますが、JBLサウンドという部分では同じですので、Bリーグをサポートすることは非常に意味のあるものだと言えます。

――どのようにJBLの技術を投入していきますか?
TM
 バスケットボールの会場をイメージしてください。決してクラシックのコンサートホールのように静かではありません。演出用の音楽もかかっていますし、ファンの皆さんの声援もあり、だいたい地下鉄のホームと同じぐらい、100デジベルの音の大きさだと言われています。そんな環境の中、JBLのデジタルプロセッシングのテクノロジーを使えばMCの声がクリアに聞こえるのです。ファンの歓声も聞こえるし、アナウンスも聞こえる。このようなことも実現可能です。会場のPAシステムはコンサートの会場と同じものを使いますが、ただ単にスピーカーを置けばいいわけではありません。コンサートなのか、それともスポーツの開催なのか、会場の特性を考慮しますし、デジタルプロセッシングも入れて、例えば先に遠くに飛んでしまう高音を手前の人にも聞こえるようなチューニングを施します。JBLのテクノロジーとノウハウを使えば、それと同じようなことをBリーグのアリーナでもできるわけです。

――最後にBリーグへのリクエストはありますか?
TM
 リクエストではないのですが、Bリーグがもっと盛り上がり、成長していくとうれしいです。Bリーグがこれからさらに盛り上がっていく過程を、JBLがサポートさせていただければと思います。アメリカでは以前から行われていたエンターテイメントとスポーツの融合が、ここ4、5年の間に日本でも促進されました。ただもっと活発になるともイメージできます。そこにJBLが光明を見出しているわけですし、若い方たちを含めて多くのバスケットボールのファンを盛り上げる手助けをしていきます。

「Bリーグとともに一緒に成長していきたい」とメッツガー社長は期待を寄せる [写真]=兼子慎一郎

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