2019.05.14

B2初昇格を決めた越谷アルファーズの青野和人HC、来季も「可能な限り今のメンバーでいきたい」

B2昇格を決め、胴上げされる浅井英明代表[写真]=B.LEAGUE
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

 両者にとって運命の分かれ道となる「B2・B3入替戦 2018-19」。昨季この舞台で圧勝してB2昇格を果たした東京八王子ビートレインズだが、今季は不運も重なりB2全体最下位。B3からの挑戦を受ける側に回って再びこの舞台に立つこととなった。そして挑戦する側は、B3総合2位ながら入替戦出場の資格を得た越谷アルファーズ。プロクラブ化初年度に千載一遇のチャンスが巡ってきた格好だ。過去2シーズンB2で熱戦を展開してきたこの顔合わせ、今回も火花散る戦いが期待された。

 そのポイントと見られていたのは試合間隔の差だ。八王子が約3週間試合から遠ざかっていたのに対し、越谷は前週までリーグ戦を戦っていた。準備やコンディション面では八王子、試合勘では越谷に有利に働く状況の中、越谷の青野和人ヘッドコーチは八王子の試合勘不足を突く狙いで、立ちあがりからエンジン全開で飛ばす作戦に打って出た。

 その目論見どおり、第1クォーターは越谷が八王子を圧倒する。先制3ポイントを決めた鮫島宗一郎を筆頭にディフェンスで脚を動かし、相手のターンオーバーを誘って速攻を連発。最初の5分弱で14-0というビッグランを見せた。八王子も徐々にアレクサンダー・ジョーンズがゴール下を支配し始めるが、鳴海亮のブザービーター3ポイントで30得点に乗せた越谷が14点リードを奪って第1クォーター終了。その後第2、第3クォーターは引き続きジョーンズの奮闘が光る八王子がクォーター毎の得点ではリードするが、越谷も飯田鴻朗のスティールからのワンマン速攻やカイル・リチャードソンのオフェンスリバウンド、長谷川武の見事なパスさばきで相手に勢いを与えない。

ジョシュ・ペッパーズもリチャードソンとともに試合序盤から得点を伸ばした[写真]=B.LEAGUE

 そして、越谷が常に10点前後のリードを維持したまま第4クォーターに突入。ラストスパートをかけたのは、バイウィークがなかった上に試合序盤から相手を凌駕する運動量で疲れが出てくるはずの越谷だった。八王子が最後の望みをかけてタイムアウトを取った残り1分50秒から、ジョシュ・ペッパーズの2本の速攻などで11点リードをさらに広げ、最後は86-64と22点差をつける圧巻の試合運びでB2昇格を決めた。

 ファーストステージを制しながら、その後は浮き沈みもあった越谷。青野HCの言葉を借りれば「木っ端みじん」になりそうなところまでいったこともあったというが、それでも「入替戦開催が決まってから、そこに照準を合わせてみんなの表情が変わってきたし、西片(翼)キャプテンが本当に良いつなぎ役をやってくれて、選手1人ひとりを支えてくれた」と青野HCは述懐する。

 八王子が1シーズンでB3に舞い戻る現実を考えると、決してB2は甘い世界ではない。その八王子を含め、過去B3からB2に昇格した3クラブがすべてその後、降格の憂き目にあっている点を踏まえて来シーズンの組織作りについて問うと、青野HCは「実はその質問を待っていたんです」と切りだした。

「過去に降格したチームは昇格の際にメンバーを大きく入れ替えて、せっかく昇格する力があったのに一から作り直した。それが失敗か成功かはわかりませんが、個人的にはここまでかみ合ってきたものを壊したくない。もちろんエージェント等との話し合いが必要ですが、可能な限り今のメンバーでいきたいと思っています」

越谷の青野HC体制は、来季も継続となりそうだ[写真]=B.LEAGUE

 この青野HCの言葉は、越谷がシーズンをとおして成熟度を高め、団結力を身につけていったという自信の表れだ。青野HCが言うように、フロントの方針等でメンバーの入れ替わりも想定されるが、今シーズン様々な過程を経てチームを作りあげた経験は必ず活かされるだろう。堅固な土台を築き、B2昇格という結果も残した越谷の新たな舞台での飛躍に、今から期待が膨らむ。

文=吉川哲彦