2019.05.17

川崎ブレイブサンダースの佐藤賢次新HC最初のミッションは『伝統と変革』を同時実行。退任の北卓也氏はGMに就任

川崎ブレイブサンダースは新体制を発表(写真左から元沢社長、北新GM、佐藤新HC)[写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 5月17日、川崎日航ホテルにて川崎ブレイブサンダースの記者会見が行われ、北卓也ヘッドコーチ退任とクラブ初のゼネラルマネージャー職への就任、そして佐藤賢次ヘッドコーチ就任が発表された。

 会見冒頭に元沢伸夫代表取締役社長から「来シーズン、クラブ創設70周年を迎える上で大きな変革をする必要性を感じました。そこで、北さんと話をして、その難しいミッションを受諾してくれるだろうと、歴史を受け止めながら『自ら考えて動く力、伝える力、変革させる熱意』が備わっている佐藤さんにオファーして受諾してもらいました。常勝軍団を改めて作ってくれることを期待しています」とあいさつ。

 そして、「さらにチームを変革する上でGMが必要だと感じ、北さんに何度も強く就任を依頼して、最終的に快諾してもらいました。今度はこの役職で日本一になってほしいと思っていて、ビジネスは私が現場は北さんがというタッグで最強のチームを作っていきます」と期待を込めた。

 東芝時代から長い時間、選手やコーチとして活躍をして来シーズンからGMとしてチームに携わる北は「3シーズン優勝できなくてファンの皆さんには申し訳なく、責任を感じています。東芝ブレイブサンダースに入って選手、コーチと合計24年間おりました。それはとても幸せなことで、関係のあったすべての人に感謝申しあげたいです。ありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。

「選手とHCで優勝できたことが一番の思い出です。加えてHCになって“北卓也タオル”ができて、ホームはもちろんアウェーのファンまで購入してくれたのがうれしかったし、励みになりました。来シーズンからGMとしてチームを支えていきます。総監督として求められるのはマネジメントスキルだと感じています。(元沢)社長からは既にミッションを与えられているので、それを達成できるようにしたい」とコメントした。

「選手とHCで優勝できたことが一番の思い出」と語った北新GM [写真]=成神富一

 そして北GMからHCのバトンを受け継ぐ、こちらも東芝時代から17年、チーム一筋の佐藤賢次は「歴史と伝統のあるチームを率いていくことに対して、とても光栄に思っています。日本有数の名プレーヤーであり、コーチであり、そしてメディアにもファンにも愛される北さんからHCを引き継ぐのは本当に大きなことだと思っています。しっかりと全うできるようにチームを作り上げていきたいです」と語った。

「チーム作りはこれからですが、『伝統と変革』を同時にどうやっていくのかというのが最初の仕事です。でも、隣に北GMという超強力な相談相手がいるので今までと同じようにと言ったら変ですが、今までのように困った時は相談しながら進めていきたいです。チームとしてのミッション、そしてBリーグとしてのミッションを達成できるように頑張ります」と意欲を前面に出していた。

 4月13日、ホームで新潟アルビレックスBBに中地区優勝を目の前で決められ、その日の深夜に翌日のゲームの準備した後、元沢社長にメールにて辞意を送った北GM。その辞意を「決断すると絶対に曲げない侍のような人だとわかっていたので、受け止めました」とその意思を尊重した元沢社長。その二人から絶対的な信頼を経て、新たな歴史を作る佐藤HC。

『伝統と変革』を同時に行うのが最初のミッションと佐藤賢次新HC [写真]=成神富一

「佐藤という名字は多いので、“賢次さん”と呼んでください」と笑顔で語った佐藤HC。理想のヘッドコーチ像はないと語りながらも「ブラッド・スティーブンス(ボストン・セルティックスHC)のように穏やかで論理的なコーチングをしていきたい」と最後に話した。

『伝統と変革』、来シーズン記念すべきチーム創設70周年を迎える川崎。新たな信頼関係が築かれた中、悲願のリーグチャンピオンに向けて今日からまた走り出す。

文・写真=鳴神富一

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