2019.10.02

新天地で輝きを取り戻したベテランの柏木真介「昨シーズン以上の成績を」

新潟での2シーズン目を迎える柏木
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45勝15敗の成績で中地区優勝を飾り、「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2018-19」にも出場した新潟アルビレックスBB。チーム初のチャンピオンシップは王者アルバルク東京と接戦を演じたものの、クォーターファイナルで姿を消した。

チームの躍進を支えたのは司令塔の五十嵐圭、リーグ得点王のダバンテ・ガードナー(現シーホース三河)の2人だが、柏木真介の存在も忘れてはならない。歴史ある三河でキャリアを積み、2017-18シーズン終了後に名古屋ダイヤモンドドルフィンズから新潟へ。移籍1年目ながら主軸としての地位を確立し、60試合中55試合の出場で1試合平均7.8得点3リバウンド3.1アシストの活躍を見せた。Bリーグ4年目の開幕を前に、元日本代表ポイントガードに昨シーズンの振り返りや今シーズンの意気込み、「FIBAバスケットボールワールドカップ2019」などについて語ってもらった。

インタビュー=酒井伸
写真=Bリーグ

大変でしたけど、やりがいの方が大きかった

――まずは移籍1年目の昨シーズンを振り返ってください。
柏木 移籍1年目で中地区優勝、チャンピオンシップ出場を果たし、いい経験ができたシーズンでした。個人としても、ベテランという立場でありながらプレータイムをもらい、今までとは違う役割を与えられ、充実したシーズンを送ることができたと感じます。

――2017-18シーズンと比べてプレータイムが大幅にアップし、1試合平均約28分の出場でした。
柏木 最初はキツくて苦労しました。体力面はもちろん、ゲーム勘の部分でも最初はズレがあって。試合をこなしていくうちに体力もゲーム感も取り戻すことができました。

――体のケアなどで気をつけていることはありますか?
柏木 新潟に来てから何か変わったというより、年齢を重ねるごとにケアに当てる時間が増えましたし、食事に関しても気を使うようになったかなと。疲労回復やコンディション維持のために、今まで以上に念入りに取り組んできました。

――プレータイムが伸びることは事前に言われていたんですか?
柏木 三河や名古屋Dでは、ベテランはサポート役というイメージがありました。逆に新潟は発展途上のチームなので20分近く出すと言われていましたが、ふたを開けてみれば30分近くもあって。大変でしたけど、やりがいの方が大きかったです。

――スタッツ面では1試合平均7.8得点3.1アシストを記録しました。
柏木 数字はそこまで意識していませんが、昨シーズンのスタッツは今シーズンに向けた一つの目安になるかなと。久しぶりに多くのプレータイムをもらって、試合に出させてもらっているわけですから。

――ベテランとして取り組んだことは何ですか?
柏木 いろいろなことをしましたよ。チームのバランスや足りない部分に対してしっかりとアドバイスしていました。だからといって1から10まですべて教えるわけではなく、しっかりやらせた上で足りないことを教えたり、気づいたときにアドバイスしたり。

――新潟のファン、ブースターの印象はいかがですか?
柏木 ファンは一番ビックリしたことかな。敵として新潟に来た時に圧倒され、すごいなと思っていましたが、味方になって後押ししてくれることは本当に心強いです。加入当初は味方なのに圧倒されちゃって(笑)。今では僕に力を与えてくれる大きな存在です。

チームの中心的存在となった [写真]=B.LEAGUE

「選手一人ひとりがしっかりと自分の仕事をこなす必要があります」

――今シーズンのチームについて教えてください。
柏木 昨シーズンの中心だったガードナー選手が三河に移籍したので、今シーズンはすべての選手が起点にならなければいけません。そのためには選手一人ひとりがしっかりと自分の仕事をこなす必要があります。あとはハーフコートバスケットだけでなく、テンポを上げた走るバスケットも意識しています。オフェンスではスピードアップしたバスケを展開しつつ、ディフェンスでは昨シーズンからより強度を上げなければいけません。メンバーが変わってうまくいかないこともありますが、我慢しながら試合、練習を通じて一つずつ解決していければと思います。

――「B.LEAGUE EARLY CUP 2019 HOKUSHINETSU」は準優勝に終わりました。
柏木 決勝の富山グラウジーズ戦が初めてB1チームとの対戦でした。ラモント(ハミルトン)のアクシデントもあり、自分たちのやりたいことを確認できなかったかなと。その中でも収穫はあって、ゲームのテンポなど自分たちの強みを見つけることができました。ディフェンスではもう少しチームの連携が必要だと再確認できたと思います。

――新加入のニック・パーキンズ選手はどういったプレーヤーですか?
柏木 まだ22歳と若いながらもすごくいい能力を持っています。自分たちが目指すアップテンポなバスケットに向いていますが、逆にハーフコートバスケットではもっと連携を取る必要があると思います。

――チームとしては初の国際大会となる「The Terrific 12(テリフィック12)」にも出場しました。
柏木 アップテンポにやっているいい時間帯が多かったですが、アップテンポにできないときの緩急がうまくいっていなかったかなと。ディフェンスの強度も上げていかないといけませんし、オフェンスでも相手のディフェンスを見て試合中に対応していかなければいけません。

――海外チームとの対戦はいい経験になったと思います。
柏木 海外のチームはフィジカルが強かったり、サイズが大きかったり、手が長かったりして、さらにスキルも高いのでいい経験になったと思います。だからこそ結果以上に、何か得るためにもっと思いきりプレーしてほしかったなと。最後は思いきったプレーも見ることができ、スピーディーなバスケやドライブで通用していたのでいい部分と悪い部分が発見できたと思います。

――今シーズンはどんなシーズンにしたいですか?
柏木 『NEW CHALLENGE』というスローガンを掲げているように、核が抜けているので新しい挑戦になるのかなと。試合を通じてチームが成長できるようなプラスになることを得て、シーズンをとおしていいチームになって、最低限でもチャンピオンシップに出ることが目標。そして昨シーズン以上の成績を残せるようにがんばっていきたいです。

「最低限でもチャンピオンシップに出る」 [写真]=B.LEAGUE

「日本代表での熱気を短期で終わらせず今後も長く続くように」

――今オフにはワールドカップが開催されました。印象に残った選手やチームを教えてください。
柏木 アメリカやヨーロッパのチームだけでなく、僕はアルゼンチンがすごく気になって面白いチームだなと。アメリカは能力やスキルがとても高く、ディフェンスもハードです。逆にヨーロッパのチームは体の高さや強さがありながらスキルも兼ね備えていて、組織的に完成されたバスケを展開していました。アルゼンチンはツーガードが好きで、とても印象に残っています。何か難しいことをやっているわけではありませんが、スキルはもちろん状況判断能力もすごいと感じていました。

――日本代表の戦いぶりについても聞かせてください。
柏木 いいメンバーが集まって盛りあがっていたし、大会前の国際試合でも結果を残していたので期待していましたけど、やっぱり世界は甘くないなと。チームとしてヨーロッパのような組織化されたプレーをしていかなければ難しいと思います。八村(塁/ワシントン・ウィザーズ)選手、ニック(ファジーカス/川崎ブレイブサンダース)選手、渡邊(雄太/メンフィス・グリズリーズ)選手の3人を中心に、周りの選手も成長していければ世界と戦えるチームになれるはずですし、本当に期待しています。

――世界と互角に戦うためには、Bリーグでどんなことが必要だと考えていますか?
柏木 スキルやフィジカルの強化はできているので継続すべきです。ただ、強豪国と比較すると判断やゲームIQがまだまだだと感じます。Bリーグが盛りあがりを見せる中、どの国もやっているフィジカルやスキルの強化に加え、状況判断やプレーのスピードを養っていく必要があります。

――Bリーグはビッグマンの外国籍選手が大半のため、日本人のガード選手が外国籍選手とマッチアップする機会が少ないと思います。
柏木 僕がまだ若い時には外国籍のガード選手もいて、日本にいながらすごくいい経験ができました。海外に出て初めて経験するのは残念な部分ですよね。Bリーグに外国籍のガード選手が来てくれたらもっと面白くなると思いますし、今シーズンは無理でも来シーズンはそういった選手を獲得するチームが出てくることに期待したいです。

――最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
柏木 4年目に突入してリーグ全体がかなり注目を集めているので、選手としてもプレーで盛りあげることが一番ですし、ファンの皆さんに恩返しできるように一生懸命プレーしたいです。日本代表での熱気を短期で終わらせず今後も長く続くように、選手、ファン、協会など全員で日本バスケットボール界を盛りあげていきます。

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