2021.07.22

3x3バスケットボールを日本郵政が応援する“心温まる”理由とは⁉

3x3の魅力を語った日本郵政株式会社広報部グループリーダー池辺恭平さん[写真]=兼子愼一郎
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 八村塁(ワシントン・ウィザーズ)、渡邊雄太(トロント・ラプターズ)ら海外組を擁し、史上最強とも言われる5人制バスケットボール男子日本代表、メダル獲得の期待がかかる5人制女子日本代表。そして今夏、この5人制だけでなくオリンピックの正式種目として採用されたのが3x3バスケットボール(3x3/スリーエックススリー)だ。

 その3x3において日本バスケットボール協会の3x3オフィシャルパートナー(郵便・宅配・物品輸送カテゴリー)として競技を支えるのが日本郵政株式会社。日本郵政グループの持株会社であり、全国に約2万4千の郵便局を持つ地域に密着した存在感と企業としての高い知名度を持っている。

 日本郵政のスポーツに対するスタンスは、スポーツを活用した社名や商品の認知向上や購入促進を目的とするスポンサー企業とは一線を画す。3x3以外に支援する競技に目を向けると、パラリンピック特有の競技ゴールボールや車いすテニスなど、国内ではまだ認知度が低く、まずは知ってもらうという段階の競技が多い。もちろん、経営理念に”地域のお客さまを支援し、お客さまの幸せを目指します”とある通り、生活に寄りそうことを重視する日本郵政が、生活の一部でもあるスポーツを支援すること自体は理念に沿った施策であることは間違いない。ただし、その中でも、発展途上の競技への支援を意識的に行っているのは、前述の約2万4千の郵便局という強大なネットワークを活用し、サポートする競技を成長させるための役割を買って出ていることにある。

 国内有数の知名度を誇る日本郵政が、3x3への支援にどのように貢献し、新たな競技に並走しながらどんな変化を感じているのか、日本郵政株式会社広報部グループリーダー池辺恭平さんにお話をうかがった。

取材=村上成
写真=兼子愼一郎
取材協力=日本郵政株式会社

選手との距離が大きな魅力。3x3を支援する理由とは

――日本郵政は、3x3に対して競技としてまだサポートの少ない時期から並走していることもあり、日本バスケットボール協会や選手たちも感謝しているのではないかと思います。
池辺 そうですね。選手や関係者の方からは、サポートに関して、感謝の言葉いただくことが多いですし、担当者としてモチベーションが上がります。3x3は、選手とファンの距離が近く、日本代表選手が目の前にいて気さくに話してくれますし、成熟しきったプロスポーツとは違ったサポートの魅力を感じます。試合会場に行くと顔見知りの選手も増え、選手からお声かけいただいたりもします。そういった選手との距離感もたまらないですね。今はまだ競技人口も少ないですし、発展途上の競技だと思いますが、その分大きな可能性を秘めた競技だと思うので、しっかりとサポートしていきたいです。

――とても近い人が世界に挑戦する姿を応援できるのはモチベーションにつながりますね。さて、改めて3x3などのまだ知名度の低いスポーツへの支援を行う理由をお聞きできますでしょうか?
池辺 日本郵政は、企業名自体は知られていますし、150年の歴史もあります。そのため、企業ロゴをただ露出することや企業名を連呼することにはあまり意味がないと考えています。3x3のファンの皆さんや関係者の方々と一緒に競技の魅力や熱量を伝えていくことで、「日本郵政は、いつも3x3をサポートしているよね」と思っていただけたら。ただお金を出して終わりのスポンサーではなく、競技を一緒に育てるパートナーという立場で、3x3の裾野を広げる活動を選手や関係者の方々と一緒に取り組んできたつもりです。

――3x3を広めるために様々な企画やイベントを考えていたと思いますが、コロナ禍で思うようにならないことも多かったと思います。
池辺 3x3のようにまだ知名度が低い競技の魅力をお伝えするにあたり、実際に観ていただく、体験いただくというのが大切だと思うので、複数の地域で3x3の体験会など実施し、実際に競技に触れていただく機会を作りたかったというのが本音です。新型コロナウイルスの感染拡大という環境変化があったので、そんな環境の中でも別の方法で競技の魅力を伝えられないかと考えました。選手自身に競技の魅力を語ってもらったMovieや、(https://youtu.be/TR4b0CJ_Xps

まだ3x3を知らない方に興味を持っていただくようなMovieを、(https://youtu.be/gSj5NcHArNk

制作していましたので、それらのコンテンツを活用し、魅力を伝えられるよう工夫しました。
 
 また、日本郵政グループには全国に約2万4000の郵便局を中心としたネットワークがあり、そこでは日々約40万人の社員が働いています。その社員や家族に競技の名前だけでも知っていただければ、数としては100万人程度となりますので、それだけでも競技の裾野を広げる一助にはなるのではないかと考えています。

伝承される選手たちの想いと3x3の未来

――3x3に並走してきたからこそ、今後の期待、目指して欲しい姿などはあるのでしょうか?
池辺 3x3は少ない人数でもプレーでき、場所を選ばないという意味で、地方の大きな課題となっている過疎化、少子高齢化の課題解決の一助になると思います。また、その他にもバスケットボールは好きだけれど部活に馴染めなかったような児童、学生ら、「でも、やっぱりバスケは好き」という人たちの受け皿にもなれるのではないかと考えています。将来的には、3x3の魅力が日本全国、世界的にも広まり、「このショッピングモールでも3x3やっているね」と生活の一部になればいいなと思います。

――素晴らしい光景ですね。
池辺 競技に想いを持った方々の願いが叶い、3x3熱がますます高まっていくと嬉しいです。

 3x3の魅力をもっと知ってもらいたい、実力を世界に示したい、と考えている選手や関係者の日々の頑張りが報われ、3x3が日本に根付く。それが一番望ましいことだと思っています。3x3を盛り上げよう、根付かせようと頑張っている人たちの熱い想いをより多くの人に知ってもらいたいですし、パートナー企業として、一緒に3x3の未来を作ることができれば嬉しいです。

 ファンの方々・選手・関係者、そしてパートナー企業が一丸となって競技の未来を作っていけたらと思います。

 オリンピックメンバーに選ばれなかった選手も含め、ストリートから3x3を背負ってきた方々の想いは、必ずや2024年、2028年、そしてその先につながると思います。そういった選手たちの背中を見た子どもたちが「3x3かっこいいな」と思い、3x3を始め、この先のオリンピックでもメダルを獲ってくれたら、そんなに嬉しいことはありません。その契機になりえるこのタイミングにサポートできたことを誇りに感じています。

3x3が日本や世界により広まり、「生活の一部になれば」と池辺恭平さん[写真]=兼子愼一郎

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