2022.12.31

街中でスラムダンクが観れる? 元信州ブレイブウォリアーズの武井弘明が考える「地域創生とスポーツ」

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 2020年東京オリンピックで正式種目に採用され、注目度が一気に高まった3人制バスケットボール「3x3」。2021年に長野県松本市を拠点にする3x3チーム「信州松本ダイナブラックス」が設立された。2022年には3x3トップリーグである『3x3 S LEAGUE』に参入。同年9月には国宝松本城で初のプロスポーツ大会を開催し、多くの人が観戦に足を運んだ。

 勢いに乗っているチームの選手兼GMを務めているのが、武井弘明氏だ。長野県のバスケ好きなら知らない人はいないのではないだろうか。B1所属の信州ブレイブウォリアーズでも活躍していた彼がなぜ3x3のジェネラルマネージャー(GM)になったのか? これまでの経緯や今後の展望について語ってもらった。

――信州松本ダイナブラックスを設立される前は、信州ブレイブウォリアーズで活躍されました。当時のことを振り返っていただけますか。
 選手として、「プロとは何か」という考え方の主軸を信州で作れたことが一番大きかったかなと思います。選手は成績を残してブースターを沸かせることが主軸にありますが、SNS発信やプライベートでもプロとしての意識を持ち続ける必要があると感じていました。オフシーズンの慈善活動なども求められていると思います。また、B1チームで活動するなかで選手という立場にとどまらず、チームの経営的な面などに関してもプロとしてあるべき姿などを自分なりに考えることができた時間でした。

――武井さんは長野県のご出身ですが、地元でプロアスリートとして活躍する上での思いをお聞かせください。
 地元が好きなので、長野県に恩返しをしたい気持ちがあります。長野は可能性がすごくある地域と思う反面、スポーツが地域によってはなじめていないケースもあります。山や川のレジャーが既にある中で、プラスアルファとして楽しめるエンターテイメントがあればいいなと思っていました。その一つとして、スポーツを根付かせていきたいですね。

――信州ブレイブウォリアーズとの契約満了から、信州ダイナブラックスを設立した経緯について教えてください。
 昔から長野県で何か活動していきたいとは考えていました。長野にはサッカーの松本山雅FCやAC長野パルセイロ、バレーボールのVC長野トライデンツなど多くの素晴らしいスポーツチームがありますが、スタジアムや体育館の中でないと開催できないというところに僕自身がもどかしさのようなものを感じていました。「近いから観にいくよ」、「何かイベントがあったら行く」という声もいただきましたが、僕が想像していた「応援しに来てくれる」というイメージとかけ離れているという印象でしたね。

「長野に住む人たちの生活テリトリーに自分たちが入り込むことはできないか」と考え始めたときに、3x3が街中でいきなり始まって、買い物ついでに観にいけたらいいなと思ったんです。3x3が生活圏で行われることが、スポーツとの出会いになると思ったことがきっかけです。

 現オーナーの山崎孝一郎と出会って、松本を一緒に盛り上げようと活動を始めることになりました。そこから2、3カ月で会社の設立、トライアウトで選手を集めることになったんです。すぐに次のシーズンに入ったので、怒涛の数カ月でチームが立ち上がりましたね。

――B1と3x3を両方経験した武井さんから見て、どこに3x3の良さと課題を感じますか。
 地元の松本で3対3を街中で行う団体がいて、子どもや社会人の選手がプレーをして盛り上がっていたんですね。僕自身も、信州ブレイブウォリアーズにいる頃から一緒にやりたいと思っていました。

 3x3は街中で試合を行うので、多くの人が観に来ます。これはバスケットボールをする人たちはあまり味わえない経験なんです。この環境は特別なもので、選手としてはモチベーションになると思います。

 一方で、プロチームの数は多いものの、先ほど話した「プロとは何か」を考えて運営しているところは一握りだと思います。あくまでも僕の主観ではありますが、Bリーグではプレーだけではなく、それ以外の企画を運営できているところが多くあります。3x3では、選手、チームだけではなく会社もしっかりとした形を作らなければいけない段階のところも多く、課題があるなと感じています。

 どのように地域のために向き合っているかを表現しなければ、ファンの人たちや地域の人には認めてもらえないと思います。ファンの人が一つひとつのチームについてこなければ、所属しているリーグも盛り上がりません。松本山雅FCを筆頭に作られた「スポーツを応援する文化」は見習えますし、信州ブレイブウォリアーズはB1で活躍しています。参考になることはたくさんあるはずなので、3x3も独自路線を開拓しながら追いつけ追い越せの姿勢を持っていきたいですね。

――3x3で長野を盛り上げるために行っている活動などはありますか。
 各地域での試合やイベントは定期的に開催しています。「信州松本ダイナブラックス」というチームをまずは多くの人たちに知ってもらいたいですね。

 また、3x3で長野を盛り上げていくためには、いろんな人たちと協力していく必要があると感じて、2022年12月に「FiNANCiE」というアプリでトークンを発行し、ファンコミュニティを立ち上げました。こちらは2023年1月末までクラウドファンディングも行っていて、一緒にチームを創り上げてくれる初期サポーターを募集中です。ぜひたくさんの方に参加していただきたいです。

――武井さんが信州松本ダイナブラックスでこれから実現したい夢や目標を教えてください。
「FiNANCiE」のコミュニティの中で行っていくプロジェクトの最終目標でもある「長野県77市町村でイベントや試合を行う」ことで、多くの人たちにチームと3x3を知ってもらいたいです。徐々にでもいいので、そのプロジェクトを成し遂げていきたいですね。

 長野県を見ると3x3は盛り上がっていないものの、バスケット熱はやはり上向きだと思います。バスケットボールは街中でできますし、僕たちもプレーを見せられます。皆さんの生活圏内で「ダムダム」とボールの音を響かせることが当たり前になったらうれしいです。

 休日のイベントとして3x3が記憶に残ればとてもうれしいし、街を盛り上げられる可能性があると思います。信州松本ダイナブラックスはまだ立ち上がって数カ月のチームで、皆さんと一緒に作っていくチームです。運営においても皆さんの協力が必要不可欠なので、応援とご協力をお願いします。

■ファンディング詳細
初回ファンディング期間:2022年12月5日(月)14:00~2023年1月31日(火)21:00
ファンディングページ:https://financie.jp/users/shinshu_3x3/cards

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