今季の対戦成績は宇都宮の3勝1敗、A東京はエース不在の穴をどう埋めるか/天皇杯準決勝PV

[写真]=B.LEAGUE

■第96回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会セミファイナル
アルバルク東京vs宇都宮ブレックス(@さいたまスーパーアリーナ)

 昨年11月末の1次ラウンドから3カ月余りが経ち、第96回天皇杯全日本バスケットボール選手権は3月12日、13日にようやくファイナルラウンドを迎える。12日の準決勝第1試合は、いずれもBリーグ制覇の経験を持つアルバルク東京宇都宮ブレックスが激突。しかしながら、宇都宮は第83回の初出場以降優勝の経験がなく、A東京はBリーグ発足後の4回に限れば決勝進出すら果たしていない。どちらも今大会の優勝への思いは強いはずだ。

 今シーズンのA東京は故障者の続出など様々なアクシデントに見舞われ、例年よりも厳しいシーズンを送っている。一時は“借金生活”転落の危機も迎えたが、その中でも地力を発揮する試合が徐々に増えてきており、その象徴が1月13日に行われた3次ラウンド。前回覇者であり、直前までのリーグ戦12試合で11勝1敗と勢いづいていたサンロッカーズ渋谷を相手に、ラスト1分のシーソーゲームを田中大貴のブザービーターで制してみせた。その後アレックス・カークに続いて田中も戦列を離れるなどまたも困難に直面しているものの、3月3日の富山グラウジーズ戦では今シーズン最多の114得点。好感触をつかんでいることは間違いない。

 一方の宇都宮は、今シーズンをここまで最も順調に過ごしているチームと言っていい。比江島慎が2度にわたって戦列を離れたが、その影響を感じさせることなく東地区首位を快走。1試合平均失点がリーグ最少と今シーズンもディフェンスの堅さは健在で、数少ない新戦力のジョシュ・スコットLJ・ピークも攻守において期待通りの働きを披露している。3次ラウンドはオフェンスの爆発力を持つ大阪エヴェッサを前半27点に抑え、危なげなく勝利。リーグ戦直近の11試合も10勝1敗と、その強さは盤石だ。

 リーグ戦で4度の対戦はすでに終えており、最初の3試合を宇都宮が取っているが、1月27日の最後の対戦ではA東京が24点差をつける圧勝だった。宇都宮はまず、この試合のイメージを引きずらないことが重要だ。対するA東京は、この試合で計33得点を挙げた田中とカークの不在をどう埋めるか。その意味では、デション・トーマスが本領を発揮し始めているのは心強く、小酒部泰暉も故障明けとは思えない躍動感が光る。そして、インサイドに強みがある宇都宮に対抗する上で、竹内譲次が存在感を取り戻しつつあるのも好材料だ。リーグ戦4試合はいずれもリバウンドで上回ったほうが勝利。今回もリバウンドへの意識が問われる。

 文=吉川哲彦

■ロスター
・A東京(ヘッドコーチ:ルカ・パヴィチェヴィッチ)
デション・トーマス
小島元基
安藤誓哉
ケビン・ジョーンズ
吉井裕鷹 ※特別指定
ザック・バランスキー
須田侑太郎
菊地祥平
竹内譲次
平岩玄
田中大貴
津山尚大
アレックス・カーク
小酒部泰暉 ※特別指定

・宇都宮(ヘッドコーチ:安齋竜三)
田臥勇太
ジェフ・ギブス
LJ・ピーク
比江島慎
テーブス海
遠藤祐亮
竹内公輔
荒谷裕秀 ※特別指定
渡邉裕規
鵤誠司
ライアン・ロシター
喜多川修平
ジョシュ・スコット
星川堅信 ※特別指定

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