「もっと攻めればよかった…」、敗戦を糧に再起誓う川井麻衣「もう一度自分の色を取り戻す」

皇后杯ファイナルラウンドでは迷いからミスが目立った川井[写真]=伊藤 大允

 日立ハイテククーガーズと延長戦にまで及んだ「第95回天皇杯・第86回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」準々決勝を制し、6年ぶりの皇后杯ベスト4進出を決めた三菱電機コアラーズ。しかし、デンソーアイリスと対戦した1月11日の準決勝では、第1クォーターで13点差をつけられてしまい最終スコア61-75で敗れた。

 三菱電機は立ち上がりからゾーンディフェンスを敷き、いずれも180センチオーバーの髙田真希、赤穂さくら、赤穂ひまわりを全員で守りにいった。しかし、中を警戒するあまりアウトサイドシュートのチェックが遅れ、最初の10分間だけで計6本の3ポイントを浴びてしまった。

 第2クォーター以降は互角に持ちこんだものの、司令塔を務める川井麻衣が両チーム最多となる8つのターンオーバーを犯すなどで最後まで追いつくことができず。その川井は先発として約38分間の出場で4得点6アシスト。ディフェンスでは7スティールを記録したが、自身のスタッフはターンオーバーの数が最も多い数字となってしまった。

「シンプルにチームのリズムが噛み合わなかったのは自分のせい」

 試合後のミックスゾーンで、川井は涙を流した。

 川井は自らアグレッシブに攻めるプレーを得意とするポイントガードだが、古賀京子ヘッドコーチの考えもあり、今シーズンはよりゲームメイクを意識しするようになったという。しかし、現時点では自分の思いとチームスタイルが合致しきれていないと、胸の内を明かす。

「もっと積極的に攻めたいですけど、チームのやりたいバスケットだったりアシストと得点のバランスが難しいです。意識して練習はしていますけど、逆にパスばかりになってしまったり、思いきりの良さが出せなくて……。あまりチームをいい方向に持っていけていないです」

昨年は日本代表候補にも初選出された[写真]=伊藤 大允

 10日の準々決勝のスタッツを見ても、川井は6つのミスを犯している。その原因は「攻めたいと思う自分」と「周りを活かしたい自分」が頭の中で交錯することで中途半端なプレーになってしまうと本人も認める。この日のデンソー戦を終えた直後も川井は後悔した。「もっと攻めればよかった……」と。

「準備できていない自分がコートに立っていてはダメ」。

 敗戦後、終始自分を責め続けた23歳は、昨年のWリーグではチームを史上初の準優勝へ導いた立役者であり、その勢いで日本代表候補にも初選出された。今後もさらなる期待が高まる選手の1人だ。

 このままじゃ終われない——。

 川井は2月から再開されるリーグ戦での復活を誓い、今大会を後にした。

「ゲームコントロールはある程度できているので、もう一度自分の色である“攻めるガード”を取り戻したい。チームのこともありますけど、まずは自分のバスケットを見直して頑張っていきたいです」

文=小沼克年

モバイルバージョンを終了