2018.09.24

琉球が広州との激闘を制してテリフィック12初優勝!

琉球が広州を85-76で破り、テリフィック12初優勝[写真]=アジアリーグ
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

岸本が値千金の3ポイントで勝利を導いた

6本の3ポイントを含む21得点をあげた岸本がMVPを獲得[写真]=アジアリーグ


 9月23日、最終日を迎えたテリフィック12、決勝戦にコマを進めたのは準決勝で名古屋ダイヤモンドドルフィンズを破った琉球ゴールデンキングスと、同じくソウル三星サンダースを破った広州ロングライオンズが対戦した。

 琉球のスタート5は並里成ジェフ・エアーズ岸本隆一ジョシュ・スコット古川孝敏。ティップオフ直後、ペースをつかんだのは琉球だった。並里のジャンプショット、エアーズの3ポイント、さらにスコットがダンクを決め9-4とリードを奪う。対する広州はカイル・フォッグの1対1からゲームをコントロールしようとするが、琉球の須田侑太郎と並里が交互にマッチアップして流れを作らせなかった。

 しかし、広州はフォッグの3ポイントや、そのフォッグのスティールから速攻へのアシストが決まり、流れを引き寄せようとする。琉球の佐々宜央ヘッドコーチはすかさずタイムアウトを請求して流れを切ろうとした。それでもフォッグは強引とも思えるドライブでタフショットを決め、さらにはもらったフリースローを沈めて、このクォーターだけで11得点をゲット。琉球に迫った。

並里はスピードの乗ったドライブからシュートやアシストを決めて、ファンタジスタぶりを披露した[写真]=アジアリーグ


 第3クォーターに入ってもフォッグの猛威は収まらない。フォッグはこのクォーターだけで10得点をあげるが、要所で須田、並里、橋本竜馬が要所を抑え、リードを保ったまま最終クォーターへ入っていく。広州は2-3のゾーンディフェンスを仕掛け、琉球の得点を止めることに成功。そしてついに同点に追いついた。広州はマリース・スペイツをゴール下に配し高さを前面に押し出してきた。

 しかし、ここで琉球は踏ん張った。同点とされた直後、岸本がこの試合5本目の3ポイントをヒット。さらにスコットがフリースローを得てそれを2本決め、リードを広げることに成功する。疲れからはフォッグのドライブもスピードが落ち、シュートを決めきれなくなっていった。

 残り時間が2分を切り、フォッグは最後の力を振り絞ってリングにアタックした。琉球はそれを尻目に、岸本の3ポイントとスコットのゴール下で加点。そのまま広州を振り切り、85-76でゲームセット。琉球がテリフィック12はもちろんのこと、初めて国際大会を制した。

40点取られても勝因はフォッグへのディフェンス

フォッグのマッチアップには須田をはじめ、並里や橋本が担当。その厳しいマークにさすがのフォッグも最後はスタミナを消耗させていた[写真]=アジアリーグ


 表彰式の後、記者会見に臨んだ佐々HCは、「厳しいゲームになるのはわかっていた。フォッグ、スペイツへの守りをチームで集中してやり遂げたこと」を勝因を真っ先にあげた。「スペイツは9点に抑えることができた。確かにフォッグには40得点を取られたが、それよりも3ポイントの確率を20%台に抑え、フィールドゴールも50%を切らせられたが重要」とディフェンスの出来に言及。「どんなにディフェンスを頑張っても、0点に抑えるのは無理なこと。重要なのはやられ方で、狙い通りの守りがチームとしてできた」と、この優勝をチームによる勝利と強調した。

 MVPを獲得した3ポイント6本を含む21得点をあげてMVPに輝いた岸本は試合中に起きた裏話を披露。「第4クォーターで相手がゾーンディフェンスを敷いてきた時、自分がポイントガードをしていたのに、うまくゲームコントロールできなかった。次のオフェンスで決めた3ポイントは何とかそのミスを挽回しようと思って打ったもの。もっとしっかりと準備しなければいけない」と反省の弁を口にした。

 さらにそのシュートも佐々コーチによると、指示したポイントから打ったものではなかったという。「でもそれでいい。選手がコートで感じてプレーを選択するのが大切なこと。問題ではない」と、佐々HCは手放しに喜んだ。「ただし優勝したとはいえ、まだ完璧ではない。見つかった課題を修正して、開幕に臨みたい」(佐々HC)。

 今大会を通して、強固なチームディフェンスを見せてくれた琉球。並里、スコットなどの新戦力が入ったことによるケミストリの構築も進んでいる。3シーズン目のBリーグ、これまで以上に琉球から目を離せなくないそうだ。

文=入江美紀雄

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