2019.03.06

比江島慎、自分自身が過去に語った約束を果たし世界への扉を開く

三遠戦でも勝負所の得点面での仕事をしっかりと果たし、勝利に貢献した比江島[写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 比江島慎栃木ブレックス)の今シーズンは、人生初の海外挑戦となったオーストラリアでの戦い、そして再び日本に帰ってきて奮闘する日々。そして何と言っても代表のエースとして活躍しなければならない重圧。いろいろなものを背負いながら、チャレンジし続けた男がついにつかみ取った世界への舞台。約1カ月半前に宇都宮で聞いた言葉の中で「自分のピークをアウェイ2連戦に持っていき、そして自分がもっと得点を取る意識を持ってプレーしたい」とあったが、そのとおり大車輪の活躍を見せてくれた。

 3月2日の三遠ネオフェニックス戦でも勝負所の得点面で仕事をしっかりと果たした比江島は試合後、“達成感”という言葉を出してワールドカップ出場を決めた感想を残してくれた。「本当にホッとしているというか嬉しいです。アウェイの地にいても結構盛りあがっているなというのが感じていました。実際に2連勝でワールドカップの出場権を勝ち取って自信を付けられましたし、日本全体がバスケットで盛りあがっているのもあったりと改めて達成感は非常に大きいですね。早く日本に帰ってきた分というのもあり、代表に向けてしっかりとピークを持っていけましたし。それは栃木でプレーさせてもらえたというお陰でもあります。メンタル的にも自分がやらなきゃという意識を持てていたので、それが全部いい方向に向いてくれたと思っています」。

 タフなシーズンを過ごしているが、彼自身はそれほど疲れを感じていない現状みたいだ。「僕はリーグ戦も栃木に移籍して10試合くらいしか出ていないので、それほど疲れとかは正直感じていないです。正直身体の方も今は非常に調子がいいので。それでも休みをもらえたので、しっかりと休めました。2、3日でしたけど身体もリフレッシュできたので、いい状態をキープできています」。

シーズン終盤戦、W杯に向けて意気込みを語った比江島 [写真]=鳴神富一

 そして栃木に戻ってきた時とは違い、もう非常に充実した毎日を送りながら今はシーズンを過ごしている。「全然違って毎日の生活にも慣れているので、もう大丈夫です。試合に出られているというのもあって、メンタル面では充実しているのは大きくて。さらに食事の部分とかもやはり身体をいい方向に持っていけるのはありますし。ストレスはない感じですね。チームとしては自分自身は途中から加入した中で、そろそろ喜多川(修平)選手や田臥(勇太)選手などケガ人も戻ってくると思うので、しっかりチームとして全体的にどうアジャストしていくかというのが最大のキーポイントになるかなと。そこがしっかりと噛み合ってくれば、絶対にチャンピオンになれるだけの選手もそろうし、チームとしての力もあると思います。リーグ全体でも2位、東地区でも2位という位置で1試合1試合気が抜けないですし、チームとしての連携を確かめ合いながら大事に戦っていきたいです。自分としても、チームでプレーしながら個人としてもっともっとレベルを上げていかないとワールドカップもすぐにやって来ると考えています」とシーズン終盤戦、そしてその先にある世界での舞台に向けて意気込みもあわせて語ってくれた。

 インタビューが終わった後、「急に言われて準備ができていなくて、とっさに出たのがアレでした。まさかあんなに全国放送とかで流れるとは思っていなかったので、とても恥ずかしくて……」と、カタール戦後のロッカールームでの“勝利の舞”についても明かしてくれた比江島。彼の時より見せてくれるお茶目なところも憎めない素敵な部分であるのは間違いないし、バスケを知らない人にも比江島慎という名前を知ってもらえたという部分があるかもしれない。

 彼自身がリラックスしていい状態をキープし続けた時に王者奪還、そして日本バスケの世界との差がますます縮まっていくであろう。チームでも代表でも大車輪の活躍を求められる彼に、これからも期待し続けたい。

写真・文=鳴神富一