2020.01.28

京都ハンナリーズに新たな風を吹き込む寺嶋良「期待に応えたい欲が出てきた」

12月末に京都と選手契約を結んだ寺嶋[写真]=B.LEAGUE
国内外のバスケ情報をお届け!

 昨年の12月26日にチームと選手契約を結んだ寺嶋良が、京都ハンナリーズに新たな風を吹かせている。

 寺島は洛南高校出身で、現在東海大学4年のポイントガード。179センチと小柄な部類に入るが、今シーズンは東海大のキャプテンを務め、スピードとリーダーシップを兼ね備える選手だ。

 寺島が加入する以前、京都は開幕6連勝でスタートダッシュに成功したものの、11月に入ると泥沼の13連敗と苦しんでいた。しかし、寺嶋に加え大庭岳輝の大学生ルーキーの入団を気にチームは浮上のきっかけを作り、その後は7連勝。1月25日のB1第19節第2戦では川崎ブレイブサンダースに大敗したが、成績を15勝17敗まで戻した。

 第1戦で川崎との競り合いを制した試合後、浜口炎ヘッドコーチは復調の要因をジュリアン・マブンガデイヴィッド・サイモンのケガが治ったことに加え、こう話した。

「ポイントガードのボール運びで厳しい時期がありましたけど、良が入ったことによって相手の状況を見ながら選手を使えるようになりました。(中村)太地はサイズのあるポイントガードですが、(寺嶋は)スピードがあるし、前からしっかり当たってくるチームには縦に抜けるので、より自分たちのオフェンスが作れるようになりましたね」

 川崎戦では「憧れの選手でもある」という藤井祐眞とマッチアップした寺嶋。第1戦では「ディフェンスの圧に嫌がってしまった」と、勝負どころでオフェンスファウルを取られてファウルアウトになった。しかし、オフェンスでは随所にチームを勢いづかせる活躍を見せて計12得点をマークし、この日の勝利に貢献してみせた。

スピードが持ち味の寺嶋だが、ゲームコントロールも難なくこなす[写真]=B.LEAGUE

 寺嶋は指揮官の信頼を勝ち取り、ベンチスタートながら年明け以降の全試合で20分以上のプレータイムを得ている。「最後、点数が離れた時に出してもらえたらいいな。点数も2点取れればいいかな、くらいの気持ちでした」と、入団当時の気持ちを正直に打ち明けたが、プレータイムが増えることで「その期待に応えなきゃという欲が出てきた」

「昔から“欲”は常に持ってる方で、『10点取ったら12点、12点取ったら14点』となります。これからもガードとしてコントロールしながら、欲を出していきたいです」

 寺嶋は東海大でも主にベンチスタートで流れを変える役目を担っていた。その経験がBリーグの舞台でも力を発揮できる理由の1つになっているようだ。

「最初ベンチから見ていると、どういったプレーをしたら自分たちにいい流れがくるか、などの状況がわかります。アタックが足りてないと思ったら切り込みますし、コントロールしなきゃいけないと思ったらコントロールするようにしています。そういうのは東海大で学べました」

 東海大は毎年多くの卒業生をBリーグへ送り込んでいる名門。今シーズン終了後も、寺嶋を含む卒業予定の選手や在学中の選手計6名がプロの世界へ足を踏み入れた。当然、他の大学からもプロ契約を目指す選手たちが各チームに加入しているが、「後輩や同期には負けれないという気持ちが強い」と寺嶋が意識するのはやはり“元チームメート”だという。

これからも“切り込み隊長”として京都をけん引してほしい[写真]=B.LEAGUE

 開幕時から京都でプレーする同世代の中村、「洛南高校の大先輩」(寺嶋)に当たる村上直らにコート内外で助けられながら、高校時代を過ごした「第2の故郷」で躍動する22歳は、これからも京都の勝利のために邁進する。

「不安はすごくありますけど、コートに入ったら絶対に負けないという気持ちでやっています。炎さんもそこを評価してくれていると思うので」

文=小沼克年

BASKETBALLKING VIDEO