2020.02.19

八村や同世代の特別指定選手の活躍に悔しさ、台頭を誓う納見悠仁は「島根の中心選手」を目指す

島根で特別指定選手としてプレーする納見[写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 日本バスケ界の歴史を現在進行形で塗り替えている八村塁(ワシントン・ウィザーズ)。その八村と高校時代にコンビを組んでいたのが納見悠仁だ。彼が青山学院大学を経て、特別指定選手として加入したのが島根スサノオマジック。高校と大学の両方でキャプテンを務めたコンボガードは、プロの舞台で新たなキャリアを積む中で自身の立ち位置に悔しい思いを抱きながらも、前を向いて歩みを進めている。

 2019年12月22日に加入が発表され、29日には島根での初出場を果たした納見。しかし、チーム状況の大きな変化に伴い、現在は勝負所ではなかなか出場機会が得ることができていない状況にある。

 2月16日に行われた川崎ブレイブサンダース戦では、点差が開いた第3クォーター残り1分30秒のタイミングで登場。マッチアップしたのが同学年の増田啓介だったこともあり、彼に負けたくないという気持ちからか激しいディフェンスを行なっていたのが印象的だった。その激しさが逆にファールにつながってしまい、本人もフラストレーションを表現する場面もあった。そんな納見のプレーに対して、チームを率いる河合竜児アソシエイトコーチは一定の評価をしつつも、さらなる期待感を口にした。

「ディフェンスに関してはすごくハッスルしてくれていますが、今はそれがファールにつながっていて非常にもったいないですね。高いレベルのディフェンスは、激しくいってもファールにならない。今の状態でいかにファールせずに頑張れるかが大事かなと思っています」

 本人も「レフェリーのコールに対してアジャストメントができていなかったので、そういう部分も経験を積んで、うまくアジャストできるようになれればと思います」と自身の課題を認識をしている様子だった。

[写真]=鳴神富一

悔しさとともに募らせるコートへの想い

 一方、オフェンスでは負けん気の強さで相手ディフェンスに挑みながらも、まだまだ彼の武器であるアウトサイドシュートなどをコートで表現しきれているとは言えない。河合コーチも「まだ若干、気を使いながらプレーしている」と感じているようで、もっと自分らしくプレーしてほしいと続けた。

「彼には周りに合わせるのではなくて、もっと得意なところを表現してほしいなと。満遍なくプレーしようとするのではなく、大胆に、思い描いているようなプレーをしてくれたらと感じています。そうしたら僕らも彼にいろいろな細かいアドバイスができて、周りも彼のプレーを理解して合わせやすくなると思いますね。彼の同世代が特別指定選手として活躍を見せている中で、焦りを感じているかもしれません。けれど、そこで焦らずに彼の得意な土俵で勝負してほしいと考えています」

 それに対して、納見本人は焦りというよりも悔しさという言葉を使いつつ、自信を付けてコートに立ちたいという思いを吐露した。

「チーム状況もありますけど、自分の中で何かスイッチが入るような場面でコートに立つことが、今まではなかなかありませんでした。そういうタイミングで出場できれば、自分に自信を持ってプレーできるのではと考えています。そのためにも、バイウィークでしっかりと練習を積んでアピールして、長い時間コートに立てるようにうまくやっていきたいです。同世代の活躍には悔しさを感じます。自分も彼らに負けないように試合に絡めるプレーヤーになりたいです」

 その同世代の中にはもちろん、NBAで活躍する盟友の八村も含まれている。彼とは「今でもたまに連絡を取りますよ。NBAオールスターゲームはハイライト動画を少し見たくらいですけどね」と笑顔で語ってくれた納見。八村の活躍を喜ぶ一方で、戦う場所は違えど、彼に負けたくないという想いを抱いているようだった。

[写真]=鳴神富一

課題を克服し、「中心選手」を目指す

 さまざまなクラブからのオファーがある中で島根を選択したのは、試合に出て自身が得意とするプレーをコート上で表現できる可能性があると感じたからだという。

「今回の決断を自分の中で失敗ではないと思いたいです。今の状況をどう打開していくか、もっといろいろなことで努力していかないといけないですね」

 そう語った納見は、これまでプロの世界を経験する中で、手応えと課題の両方を明確に感じていた。

「ピックアンドロールからのプレーやアウトサイドシュートなど、自分の持ち味はうまく表現できている部分もあると感じています。もっとそこを活かせるように、自信を持ってプレーしていきたいですね。課題としてはディフェンス時のピックに対する外し方や、大学で経験できなかった外国籍選手とのコミュニケーションなど、そこはアジャストしていかないといけません。チームメートを見て学んでいけば、もっとディフェンスの強度も上げられてしっかり守ることができるようになると思います」

 自身の課題を明確に捉えることはできている。その課題をクリアしていけば、チームにおける存在感も増していくはずだ。

「今はこんな感じですが、スタートでコートに立てるくらいになりたいです。すべてとは言えませんが、自分自身の力をコートで発揮する自信は持っています。試合で使ってもらって、活躍して、チームの中心選手になれるように。そして、どういう形でもチームの力になりたいと感じています」

 最後は力強く今後の目標を語ってくれた納見。その信念の強さがあれば、コート上で活躍するまでには時間は掛からないだろう。チームとしてもB1残留を目指す状況下で、納見の力は必要不可欠だ。

文・写真=鳴神富一