2020.05.23

師弟ともに再出発 折茂「1万得点、マツがいたから」/松島「いつまでもアシスト」

今季最終戦となったアウェー川崎戦の折茂¬=川崎とどろきアリーナ、2020年3月15日(北海道新聞写真部・伊丹恒撮影)
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 今季限りで引退し6月末で選手契約を終え、クラブ運営に専念するバスケットボールBリーグ1部(B1)レバンガ北海道折茂武彦(50)。「どんなにコート上で駆け引きしても、パスをくれる味方選手(パサー)がいないと点は取れない」と言う名シューターの現役人生を振り返ると、傍らには常に信頼するポイントガードがいた。指導者を目指して同じタイミングで引退を決めた松島良豪(28)は、折茂の認めた最後のパサーだった。

■最初はきにも留めず

 折茂にとってのパサーといえば、トヨタ自動車(現A東京)では棟方公寿氏(53)=女子Wリーグ東京羽田ヘッドコーチ=、日本代表では佐古賢一氏(49)=男子日本代表アシスタントコーチ=という名選手たち。レラカムイ北海道時代は桜井良太(37)が担ったこともある。

 もっとも松島は、最初から折茂に認められていたわけではない。2015年にレバンガに入団したプロ2年目の松島を、折茂は気にも留めていなかった。一方の松島は当時から指導者になる夢を描き、「現役の間に素晴らしい選手の意見を聞きたい」と折茂に話し掛けた。これをきっかけに2人の師弟関係が始まった。

 聞かれれば答えるが、自分からは進んで教えないのが折茂流だ。臆せず質問を浴びせる松島に好感を持ち、試合中の時間の使い方やパスを出すタイミングなどを丁寧に説いた。「何も持っていないからこそ献身的なプレーができる。そんな選手になれると思った」と折茂。2人は温泉で親子のように肩を並べ、次の試合のプランを練った。

■「0.5秒」のズレも許されず

 折茂が求めるパスのタイミングは「0.5秒遅れたら(シュートが)入らない」(松島)ほどに微妙だ。そこを見極めてシュートを演出する松島は、18年には1試合18アシストのB1記録をマーク。アドバイスを次々と形にして成長する姿に、折茂は「自分色に染めた」とまなじりを下げる。

 折茂の国内トップリーグ通算9千得点、1万得点ともにアシストは松島だ。19年1月に1万得点を達成した際は、相手のマークを振りきって切り込んだ折茂にパスを出した。松島は「折茂さんは膝を痛めていて、体勢を崩して打っていた」と明かす。それでも得点する折茂の「すごみ」を見せつけた一撃だった。

■引退試合 豪華メンバーで

 折茂は「無理だろうと思っていた1万得点を実現できたのは、マツ(松島)がいたから。いい選手になった」と話す。まな弟子が若くして引退することに寂しさを感じつつ、「彼が決めた道。応援したい」。師匠からのエールに、松島は「指導者になっても、折茂さんに相談することはたくさんあると思う」と応える。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、開催時期が決まらない折茂の引退試合。実現すれば、かつての選手仲間ら豪華メンバーが集まる見通しだ。「いつまでも折茂さんをアシストしたい。ハーフタイムショーにでも出られれば」と松島。経営者、指導者と道は分かれても、レバンガでつながった師弟は息を合わせて走り続ける。(石川仁美)

今季最終戦となったアウェー川崎戦の松島=川崎とどろきアリーナ、2020年3月15日(北海道新聞写真部・伊丹恒撮影)