2020.06.11
6月10日、Bリーグは同日開催された臨時会員総会により、千葉ジェッツの代表取締役会長を務める島田慎二氏が、次期チェアマンに就任することが事実上確定したことを発表した。これを受けて、島田氏は以下のようなコメントを発表。
「大河チェアマンが開幕からここまでクラブと共に、誠心誠意進めてこられた想いや施策を引き継ぎながら、難しい社会情勢の中でクラブ経営を守れるよう事業的観点、社会的観点のバランスを大切に、5年目のB.LEAGUEを発展させていきたいと思っています。
B.LEAGUEは、まだまだ5年目ですから、ベンチャーらしくアグレッシブに盛り上げていきます。
また、まだ先の見えない、何もないときから支えてくださっているパートナーの皆様、ファンの皆さまに感謝をしながら、これからスポーツ界にとっても厳しい環境が続きますが、皆さまとともにサスティナブルな成長をとげていけたらと思います」
さらに、Bリーグは同日記者会見を実施。現チェアマンである大河正明氏や、島田氏をチェアマン候補として推薦したワーキンググループの座長である野宮拓氏が、改めてこれまでの経緯を説明する中、島田氏本人も就任にあたっての想いを語った。
「4月の頭に野宮委員長から打診を受けて、お話を最初に受けた時は驚きました」と振り返った島田氏。率直に「非常に難儀な時に話が来たな」と思ったそうだが、「お受けしますと、その場で即答しました。大変だからこそ受けた方がいいと思ったのが本音です」と迷いなく返答したことを明かした。
「旅行業界にいた時はSARSにより経営苦難に陥って、何とか難局を乗り越えました。アジア通貨危機や米国テロ、リーマンショック、さまざまな苦難の中で変革を遂げながら生き抜いてきた経験。あとは千葉ジェッツに経営に携わった8年半前も非常に厳しい状況で受けて、そこから少しずつ経営改善をして今の千葉ジェッツのベースまで上げた経験があります。今回はそれと比べものにならないほど、100年に一度の苦難と言われていますけど、喜んで火中の栗を拾おうという思いで引き受けました」
島田氏は千葉ジェッツの代表として、bjリーグ、NBL、Bリーグの3つのリーグを渡り歩いてきた。その中で経営危機から成長までのさまざまなフェーズを経験したことから、「おそらく私のノウハウが、全クラブが今持っているお悩みにどこかしらお役に立てるのではないか」と話す。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、現在の経営環境は非常に厳しい状況にある。島田氏はこれを「Bリーグのみならず、スポーツ界の存続自体が危ぶまれる状況」と表現。「だからこそスポーツをとおして、Bリーグをとおしてこの危機を脱することで、日本社会に少しでも明るいメッセージを伝えていければ」と次期チェアマンとしての想いを話した。
また島田氏は「細かな方針、方向性はあらためて発表したい」と断りつつも、今後のリーグとしての考えを説明。新型コロナウイルス感染拡大後のフェーズを「Underコロナ」「withコロナ」「Afterコロナ」の3つに分けた上で、「2020-21シーズンは『withコロナ』の中で何とか乗り越えて、『Afterコロナ』に至った時にV字回復できるような状況を見据えている」と話し、さらに「『Afterコロナ』になっときに『Beforeコロナ』に戻るのではなく、『Beyondコロナ』ということで新しいスポーツ界のビジネス、社会的意義を構築していく」と語った。
「バスケット界に関わるすべてのステークホルダーとともにコロナに打ち勝って、『Beyondコロナ』といえるフェーズまで持っていけるように尽力していきたいと思っております」
その後、島田氏はチェアマンの理念としては、JBAにならって「バスケットで日本を元気にする」を掲げると発言。それを実現するために、まずは新型コロナウイルス感染拡大のの影響で各クラブが経営的に大打撃を受けている状況を踏まえて、「一つのクラブも破綻させない、ということを自身に課すミッションにしていきたい」と話し、「クラブの存続なくしてリーグの存在なし、クラブの成長なくしてリーグの発展なし、リーグの発展なくしてバスケット界の繁栄なし。まずエンドユーザーを知っているクラブを元気にして、それを我々が活用して事業として大きくする、その大きくなった事業に投資をしてバスケット界やスポーツ界の繁栄に回していく。そういった良き循環を回していきたい」と自身の考えを表明した。
「以前の良かったこと、この状況において新たな価値創造のためにやらなければいけないことを合算して、ハイブリッドでこの時期を乗り越えた後にV字回復していきたい。変化に適合して、スピード感をもって変わって、時代を先取りしながら日本を元気にするために頑張っていきたいと思います」と変化の重要性を語った島田氏。会見の最後には改めて未来を見据えた政策を実行していく旨を説明した。
「近視眼的な発想ではなく、バスケット界のために、日本社会のために何が良いのか。事業拡大だけではなくて社会的意義もしっかり見出していきます。未来にバスケットをするであろう子どもたちやこれから応援しようとするステークホルダー。目先の良い悪いではなくて、長い意味でバスケット界が繁栄するために何をすべきかという判断軸を持っていきたいと思うので、もしかしたら短期的にはあまり良い政策ではないように見えることもあるかもしれませんが、今乗り越えることと未来のバスケット界のために紡いでいくこと、バランスよくハンドリングしていこうと思います」
新たなリーダーのもと、Bリーグはどのような変化を遂げていくのか。7月1日付で正式にチェアマンに就任する島田氏の今後に注目が集まる。
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