2020.06.11

アルバルク東京の正中岳城が引退会見「すべてをやり切りました」

アルバルク東京の正中岳城が引退会見を開いた[写真]=B.LEAGUE
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 先日現役引退を表明したアルバルク東京正中岳城が11日、オンラインで引退会見を開いた。

 会見はA東京の林邦彦社長、正中からの挨拶の後、質疑応答が行われた。その冒頭、引退を決めた時期を問われ、「5月14日にチームのマネジメントスタッフやコーチと面談する機会があり、そこで『自分自身すべてをやりきった、ここでできることはもう何もないと感じています』と話し、現役を引退すると伝えました」と回答。チームメートへは直接顔を合わせる機会があった選手から伝えたそうで、最初に報告したのは同じ年の菊地祥平竹内譲次だったという。

「『本当にお疲れ様』という言葉と、『もう少しここで頑張るから』という力強いメッセージをもらいました。恵まれた同期の近くで、彼らの存在を感じながらやれたことで、僕自身まだまだやらないといけないと思えました」

13年間の現役生活を社員選手としてプレー

現役生活で最も記憶に残っているできごとの一つに、Bリーグ初優勝を挙げた[写真]=B.LEAGUE

 正中は2007年にトヨタ自動車アルバルクへ入団し、JBLで6シーズン、NBLで3シーズン、Bリーグで4シーズンと計13シーズンプレー。トヨタ自動車からアルバルク東京へ出向し、バスケットボールを業務とする社員選手としてプレーし続けたが、「社員選手だからといって、(自身の心の中で)アマチュアの選手としてプレーしていたわけではない」と断言。「アルバルク東京というプロフェッショナルなバスケットボールチームの一員として、(プロ契約の選手と)同じユニフォームを着て、同じフロアに立っていましたし、1日1日、一戦一戦勝ち負けに向き合いながらの毎日でした」と振り返った。

 さまざまな契約形態があるなかで、プロ契約ではなく、社員選手という道を選んだのは、岡田優介の存在が大きかったという。
「社員選手を選んだのは会社的なことを学べるというのもありましたが、同期として一緒に進んだ岡田優介の存在が大きかった。彼は公認会計士の資格を取るためにプロとしてバスケットをしつつ、セカンドキャリアを考えていました。僕もどのようにプレーするのかを考えた時に、社員としてチャレンジしてみようと。(岡田という)自分とは違うチャレンジをする人間がいたから、社員選手という道を選びました」

 13年間第一線で現役を続け、そのうち10年間をキャプテンとしてプレーした正中。長く続けられた要因は「1日1日を大切にすること、1シーズンをかけがえのないものとして取り組むこと」だったという。
「いつ終わってもおかしくない世界なので、できることをその日のうちにやりきるという思いを持っていましたし、チームが求めることを果たそうという思いでやっていたので。ケガなく体調を整えて、常に試合に出られるような準備をしてきたからここまでやれたのかな、と」。

 チームのために、という思いを持って過ごしたという13年間の現役生活。その中で最も記憶に残っていることを問われると、「はじめて経験したことは強烈に記憶に残っています。13年前、ルーキーシーズンにパナソニックアリーナで初めてプレーした1分弱、はじめて日本一になった天皇杯、Bリーグの開幕戦、はじめてBリーグチャンピオンになった時…。印象として強烈に残っています」と答えた。

「バスケットボールにはこれからも関わっていきたい」

引退会見でアルバルク東京、バスケットボールに対して様々な思いを吐露した[提供]=アルバルク東京

 10年間キャプテンとしてA東京をけん引し、2017-18、2018-19シーズンとチームをBリーグ連覇へ導いた正中。持ち前のリーダーシップで常勝軍団を率いたが、現チームでその役割を引き継ぐ選手は誰になるのか。ブースターにとっても気になる部分ではあるが、正中は力強く答えた。

「10年間キャプテンを務めましたが、いろんなリーダーがチームを引っ張ってくれました。その時々でしっかりとしたリーダーが導いてくれたので、大きく崩れることなくやってこられましたし、今のチームにもたくさんのリーダーがいます。誰でもやれるし、逆に言うと誰もがやっていかないといけません。いろんな経験を持っている選手がいるので、彼らがいい方向へチームを導いてくれると思います。全く問題ないし、新しいアルバルクを見るのがすごく楽しみです」

 7月1日付でトヨタ自動車へ復職し、バスケットボールの現場から離れることになるが、いずれ現場に戻りたいという思いを明確に持っているようだ。
「僕が望んだからといってそれが始まるわけではありませんが、まず望むことが第一歩だと思うので。関わりたいという思いがあれば、いろんなカテゴリーや関わり方があるので、自分が望むものは何かをしっかり考えながら進んでいきたいです。どんなカテゴリーでもいいからバスケットをしたいし、教えたいし、関わりたい。あらゆる可能性を信じて、バスケットという競技を見つめながらやっていきたいですね」

 会見の終盤、後を託すことになるA東京のチームメートへメッセージを求められ、「まだまだやらないといけないことがたくさんあるし、スポーツ界やバスケット界は厳しい状況にあるので、戦績を残すことはもちろん、あらゆることに取り組み、新たな価値やチームの成長を見据えながら取り組んでほしいですね」と期待を寄せた。

 13年間、常に勝利を求められるチームでプレーし続け、数々の栄光をチームへもたらした正中岳城。豊富な経験をもとに様々なステージで活躍する未来に期待したい。

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