2020.09.22

【 #B飛躍の5年目へ 】秋田ノーザンハピネッツ・前田顕蔵HC「今シーズンは日本人選手に腹をくくってもらう」

秋田ノーザンハピネッツを率いる前田顕蔵HC[写真]=B.LEAGUE
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

 10月2日から開幕するBリーグ。B1に所属するクラブは昨シーズンの18から2つ増えて20となり、それにともなって東西2地区制へと変更となった。また、ベンチ入りできる外国籍選手が2選手から3選手になるというルール変更が行われたため、開幕5年目を迎えるBリーグでの戦い方は、大きく変化すると想定される。そこで、バスケットボールキングでは、B1全20チームのヘッドコーチにインタビューを行い、今シーズンの戦い方や目標などを聞いた。

 第11回は、激しいディフェンスを特長とする秋田ノーザンハピネッツの前田顕蔵ヘッドコーチ。昨シーズン、就任1年目ながら強豪クラブに対して堂々たる戦いぶりを披露した前田HCは、今シーズンどのようなチームを築いて勝利をつかみとるのか。

インタビュー・文=吉川哲彦
取材日=2020年8月30日

――まずは就任1年目となった昨シーズンを振り返ってください。
前田 前HCのスタイルを継承しつつ、自分の色をどうつけようかと臨んだのですが、手応えがある部分とまだまだな部分を経験したシーズンでした。戦術的な幅を持たせたいというのがあったのですが、若い選手が多かったので試合によって波が出てしまいました。

――成長した実感はありますか?
前田 成長したと思いますし、まだまだできるとも思います。中止になる前の最後の試合で「戦える」という自信をみんな持ったと思いますし、残り試合の相手が強豪ばかりで、それを経験したかったなという気持ちが大きいですね。

――今シーズンに関して、どういった狙いで補強に取り組みましたか?
前田 今シーズンは新型コロナウイルス感染症の影響でクラブの収入が減り、チーム人件費の予算が昨シーズンよりも減ってしまいましたが、クラブとも話をして、補強をするよりは今のメンバーで積み上げようという方針です。個人が成長しないといけないので、昨シーズンとの比較がすごくわかりやすい1年になると思います。

――新加入のアレックス・デイビス選手にはどんなことを期待されていますか?
前田 まずはディフェンスが最優先。オフェンス面では良い1ピースになってほしい。昨シーズンのスコアラーが抜けて、またスコアラーの選手を獲ろうかとなった時に、「いや、ここは日本人選手に腹をくくらせたほうが良い」と思ったんです。彼は自分の役割を理解しているし、チームプレーヤーのメンタリティーを持った選手だと思っています。

――「日本人選手に腹をくくらせる」という点で、特に期待している選手はいますか?
前田 得点を取ってほしいというよりはプレーメークをしてほしい、起点になってほしいというのがあって、そういう意味では昨シーズン入ってきた古川孝敏選手や伊藤駿選手、細谷将司選手には期待していますし、あとは……全員に期待していますね(笑)。若い選手はこれからすごく伸びると思っています。

本気で一番を狙う姿勢でいきたい

――外国籍選手が3人ベンチ入りできるルールになったことはどう受け止めていますか?
前田 今シーズンは帰化枠を失い、アジア枠も使っていない中で他のチームには帰化選手がいる。その影響は出ると思います。ただ、ペリメーターの選手が入ってリーグのレベルが上がると思うので、ディフェンスでどう対抗するかという点はすごく楽しみです。

――前田HCがチーム作りで一番大切にしているのはどういったことですか?
前田 自分自身がなるべく飾らないようにしないといけないということですね。選手が自分を表現できることがチーム全体で良い関係性を作ることにつながり、居心地が良くなる。私自身が私らしくいることで、選手や他のスタッフもそうなっていくと思っています。

――それでは、今シーズンの目標をお聞かせください。
前田 昨シーズンはCS進出を掲げて、強豪チームに勝つというチャレンジをしたんですが、今シーズンはそれでは勝てないと思いました。1試合の重みや1つのミスに対する責任感という部分で、強豪チームと意識の差があってはいけない。どのチームも倒せることは昨シーズン分かったので、成長するシーズンではありますが、本気で一番を狙う姿勢でいきたいと思います。

――最後にブースターへのメッセージをお願いします。
前田 秋田はブースターさんがいてチームの全ピースが揃うと思っています。ブースターの皆さんとのつながりは失いたくないですし、戦力だと思っています。ぜひ今シーズンもリーグで一番激しい応援をお願いします!

「チーム全員に期待している」と話す前田HC[写真]=B.LEAGUE

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