2020.09.24

中村剛大の一声入魂②開幕直前〜思い出の試合ベスト3〜 バスケのある日常に感謝

2016シーズン最終戦 直後の放送席(筆者右)
北海道新聞・道新スポーツとバスケットボールキングのコラボ企画。レバンガ北海道の協力も得て、北海道のバスケ情報をお届けします。

 2020年3月27日。新型コロナウイルスの影響で突然のシーズン終了。私たちの日常からバスケが消えました。あれから半年。医療従事者を始め、Bリーグやクラブ、選手、スタッフなど、色々な人たちの努力が実を結び、シーズン開幕にたどり着こうとしています。

 今季、レバンガ北海道はクラブ創設10年目。チームの象徴だった折茂武彦選手が引退し、クラブ史上初の地元札幌出身である宮永雄太氏がHCに就任しました。

 チームスローガンは「This is us.」まさに新しいクラブのカルチャーを作り上げてほしいところです。

 今回は、シーズン開幕にあたり、チームの歴史を振り返ってみることにしました。Bリーグの誕生から4年間、レバンガの試合を実況した中から、特に思い出深い試合を、舞台裏と共にランキング形式で紹介します。

■3位 2018年12月30日 Bリーグ3シーズン目 
○北海道78 vs 76 A東京

 前年王者・A東京を迎えての年内最終戦。前半はA東京リードで折り返すも、3Qで逆転に成功。そこからはシーソーゲーム。第4Q残り8.1秒。A東京・カークがフリースローを2本沈めて76-76の同点。レバンガのラストオフェンス。

 PG松島が一気にボールをプッシュをして、ドブラスへパス。ポストプレイで得点を挙げブザービーター勝利! ブザービーターで決着する試合を実況できる事自体が貴重です。さらに、単なる1勝ではない勝利でした。

 この年は、主力のケガが相次ぎ、ブラジルから招聘したネトHCが12月に解任され、内海HCに代わって間もない試合。チームが苦しむ姿を間近で見てきただけに…この勝利は特別に嬉しかったです。選手も同じ思いでした。試合終了直後には、喜びを爆発させたドブラスが、120キロの巨体を揺らしでんぐり返しを披露。しかも続けて側転まで(笑

 お茶目で彼の愛される一面が、多くのブースターに知られた試合でもありました。

 「キョウ、ユキ!」ドブちゃんの決め台詞をもう一度聞きたいなあ。

■2位 2016年10月9日 Bリーグ元年
○北海道76 vs 70秋田(ホーム開幕戦)

 Bリーグが誕生したこの年、初めてのバスケ実況として、歴史的なホーム開幕戦を実況しました。当時、私はアナウンサーとして6年目。プロ野球やマラソンなど、大きな舞台は何度か経験していたものの、初めて喋る競技ということもあり、大きなプレッシャーを感じていました。

 歴史的な試合の見所や意義を伝えなければいけないのに、当時の自分の力量ではそれが満足にできませんでした。あの時の悔しさを忘れないために、いまでもこの試合のVTRを見返す事があります。そして、衝撃を覚えた6105人の超満員のレバンガブースターのガンバレレバンガ ! の声援。あの光景は今でも脳裏にはっきりと焼き付いています。

 ファンではなく、ブースターの応援とはどういうものかを教わりバスケに魅了されるきっかけになった試合でした。

■1位 2017年5月7日 シーズン最終戦
●北海道74 vs 76千葉

 Bリーグ開幕からこの日まで千葉に7連敗中だったレバンガ。試合は第4Q残り12.4秒で74-74の同点。レバンガが最後のタイムアウトを要求。

 そして、タイムアウト明け。千葉・富樫選手が残り3.2秒で決勝のフローターシュートを決めきり勝負あり。日本を代表するスター選手のスーパープレイに本当に痺れました。でも、それ以上に驚いた事がありました。それは試合終了時のこと。多嶋選手が泣いたのです。

 いつもクールで、ポーカーフェイスのキャプテンが大勢の前で、人目をはばからず、顔を真っ赤にして大粒の涙を流している-。この試合はネット配信だけではなく、UHBの地上波でも放送があったため、試合後に多嶋選手が放送席に来てくれて心境を語ってくれました。

「これだけ沢山のファンが応援してくれたし、どうしても勝ちたかった。」

 涙を堪え、言葉を絞り出して話す姿が印象的でした。当時、多嶋選手はキャプテン一年目。言葉で引っ張るよりも、背中で引っ張るタイプ。しかも折茂さんや桜井さんという大ベテランがいた中で任されたキャプテンの重責。

 試行錯誤しながら彼なりにキャプテンとしてのあり方を探し、チームをまとめていた年でした。彼の色々な苦労を見てきましたし、取材やプライベートでも話を聞いていただけに、彼の涙には胸を打たれました。4年間で約60試合を実況してきましたが、この試合を超える出来事は、今のところは思い当たりません。

 さて、いよいよ待ちに待ったシーズンが始まります。これほど楽しみなシーズンはありません。新型コロナにより、バスケを見られることが当たり前ではない世界になりました。もしかしたら…シーズンが始まっても全試合を行えない可能性もあります。先のことは誰にもわかりません。それでも、バスケが見られることに感謝し、勇気、感動、そして、日々の活力をくれる熱いプレーを見せてくれることをチームに期待しています。

■関連リンク
<スポーツアナウンサー中村剛大の一声入魂>①試合中継の裏側は… レバンガ北海道のホームゲームを担当
https://basketballking.jp/news/japan/b1/20200402/222420.html