2020.10.12

信州の猛攻に耐え抜いた宇都宮…殊勲の遠藤祐亮は「ヘアスタイルについては、そっとしておいてください(笑)」

「自分たちのしなければいけないことをやり切った」と遠藤祐亮は勝因を語った [写真]=B.LEAGUE
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

初のB1で戦う信州の抵抗にあった2連戦

 10月11日、ブレックスアリーナ宇都宮で行われた宇都宮ブレックス信州ブレイブウォリアーズの第2戦は、前日とは全く違う試合展開となった。

 前日大敗した信州が序盤から攻防に渡ってエナジー全開で立ち向かい、第4クォーターの序盤までリードを奪う展開に。信州は司令塔の西山達哉がアリーナ全体を静まり返らせるスコアを次々と決めていけば、1人だけの外国籍選手であるジョシュ・ホーキンソンもインサイドで躍動。強豪の宇都宮から記念すべきB1初勝利を掴み取るかに思えた。

 しかし、ハードに戦った代償はいきなりやってくる。コート上の全員が肩で息をするほど疲れ切った信州に対して、我慢し続けた宇都宮が牙をむいた。その口火を切ったのが、ディフェンス職人として評価が高い遠藤祐亮。第4クォーター残り7分21秒、新加入したLJ・ピークのパスから冷静に3ポイントシュートを沈めて、長く続いたビハインドの状況を打破し、逆転に導く。そこからチームはリズムに乗り、さらに優位に立つ相手のインサイドを突いてライアン・ロシターが次々とスコアを重ねると点差は一気に広まっていく。最終的には84-74のスコアで宇都宮が苦しみながらも勝利を収めて、開幕4連勝を飾った。

宇都宮の安齋竜三HCはかつて一緒にチームを指揮した信州の勝久マイケルHCの指導力を警戒していた [写真]=B.LEAGUE


 試合後、指揮を執る安齋竜三ヘッドコーチは苦しんだ中でも勝ち切れたことに安堵の表情を浮かべながら会見場に。会見で語られた安齋HCの言葉のには、以前一緒に宇都宮の地で戦った対戦相手の勝久マイケルHCへのリスペクトも忘れなかった。

「信州さんはメンバーが少ない中で、先週も第2戦にしっかりとアジャストして、やるべきことをやりきるので警戒はしていました。その中でマイク(勝久ヘッドコーチの愛称)の戦術が素晴らしかったのもそうですし、そこでプレーする選手の遂行力は高かった。(宇都宮は)ずっとビハインドで我慢するしかない中で、最後の最後で逆転できて……持ち味である相手に圧を掛けるディフェンスを後半少しずつ選手が実行してくれました。それが最後に効いたと思っています。本当に苦しい試合の中で、勝ち切れて良かったです」

 この試合、チーム最多となる約30分間コートに立ち続けたのが、先ほど挙げた遠藤である。高確率のシュートで14得点、更には6アシストと活躍を見せた。もちろん安齋ヘッドコーチからの信頼も厚い。

「遠藤とはもうずっと一緒にやってきている信頼というのがあって、こういう苦しい試合展開を何度も経験してきました。ディフェンスはもちろんですが、今日はオフェンスでも劣勢の場面でリングに何度もアタックしていた。それはメンタルが崩れないという彼の良さから出ていて、比江島(慎)がこの日は出られない中でチームを自身が牽引するという気持ちも見えていましたね」

殊勲の遠藤祐亮は今後の5連戦にフォーカス

 遠藤本人は「相手のゲームへのアジャストに対して、自分たちも相手に対応できていたら前半からもっとしっかりプレーできました。だけど、我慢し続けて最後に逆転して勝ち切るのがブレックススタイルだし、最後まで諦めずにプレーするのが自分たちのやりたいこと。今日は第3クォーターまで悪かったけど、最後に巻き返せたのは良かったと思います」とゲームを振り返った。

 そして、安齋ヘッドコーチが語った評価をそのまま伝えると少し笑顔を見せながらチームメートへの感謝を口にする。「プレーへの自信は数年前からあって、その中で思い描くようなプレーはできてきました。やはり信頼できる仲間がいて、お互いに言い合ってサポートし合いながらプレーできているのが自分のパフォーマンスにもつながっているので、チームメートのお陰ですね」。

 苦しい試合を勝ち切った宇都宮。次節からは千葉ジェッツアルバルク東京サンロッカーズ渋谷と東地区の強豪5連戦が待っている。ある意味、シーズン序盤の山場となるだろう。

「この試合を勝ち切れたのは今後に向けてかなり大きいです。プレシーズンからこういう我慢して勝ち切るという展開がなかなかなかった。来週の千葉戦では僕らが10点以上ビハインドになる時も出てくるだろうし、その時に自分たちが何を崩さずに保つか、今日経験できたのは良かったです。遠藤に限らず、(鵤)誠司やナベ(渡邉裕規)も含めて、チーム全体がディフェンスで自分たちの強みをもっと出さないといけない」と安齋ヘッドコーチは反省も忘れない。

 一方の遠藤は「これまでの4試合と変わらずに自分たちのすべきことを遂行しつつ、勝ち切るメンタルを兼ね備えて、明日から気持ち新たにまずは千葉戦に向けて集中したいです。40分間気持ちを切らさずにプレーすること、チーム全体で継続していきたい」と語った。

アシストでも勝利に貢献した遠藤。「明日から気持ち新たにまずは千葉戦に向けて集中したい」[写真]=B.LEAGUE


 最後に今シーズンから始めた新たなド派手な髪型について聞くと、「とりあえずやりたい髪型をしているだけなので、そっとしておいてください(笑)」と遠藤らしく恥ずかしそうな表情を浮かべながら会見場を去った。

 宇都宮は信州との対戦で得たものを糧に、ここから始まる強豪との5連戦へ歩を進める。まずは今週末、千葉の本拠地、船橋に乗り込む。

文=鳴神富一