2020.10.19

アルバルク東京で2季目の開幕を迎えた須田侑太郎「自分のやるべきことはわかっています」

攻防でチームの勝利に貢献する須田侑太郎にインタビュー [写真]=アルバルク東京
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

アルバルク東京に移籍して2シーズン目、須田侑太郎が昨シーズン以上に攻防で存在感を示している。持ち味であるディフェンスだけでなく、今シーズンはオフェンスでもチームの勝利に貢献。その理由はどこにあるのか? じっくり話を聞くことができた。

取材・文=入江美紀雄
写真・取材協力=アルバルク東京

B1初挑戦の広島との対戦にも準備は怠らない

アウェイでの広島は須田侑太郎の活躍もあり2連勝 [写真]=アルバルク東京


――先週末の広島戦を振り返ってください。特に2試合目、4本の3ポイントを含む18得点の活躍でした。
須田
 コンディションもシュートタッチもその日は良くて。特に意識はしてなかったのですが、いつも通りディフェンスからリズムをつかもうと試合に臨んで、最初の1本が入って気持ちが乗って、そのまま続けて入ったのかなと思います。

――広島はBリーグになってから初の対戦でした。
須田
 非常に手強い相手です。B2で勝ってB1に上がってきたモチベーションの高いチームですし、タレントもいます。外国籍選手もいい選手がそろっているので、難しい試合になるのは試合前から分かっていました。さらに広島さんのホームの開幕戦というのも難しい試合になる要因の1つで、それをしっかり覚悟して試合に向けて1週間準備をしました。簡単にはいかないと警戒していましたね。

――自身のマッチアップについては?
須田
 (アイザイア)マーフィー選手、田中成也選手、朝山(正悟)選手とのマッチアップでした。それぞれ特徴ある選手なので、それを踏まえながらディフェンスした感じですね。

――初のマッチアップとなったマーフィー選手はいかがでしたか?
須田
 非常に運動能力が高くてアスレチックな選手です。映像を見ていたので、ランニングプレーに持っていかれると厄介な選手だなと注意していました。それでも2日目はガンガンアタックしてきて。ドライブで切れ込んでレイアップシュートまで持っていくので、仮に外れてもそれをインサイド陣にオフェンスリバウンドを取られて、セカンドチャンスでポイントを奪われる場面もいくつかあって。今後経験を積んでいたら厄介な選手になると思いました。

――確かにいろんなタイプがいて厄介ですね。
須田
 スラッシャータイプのマーフィー選手がいて、シュータータイプの朝山選手、田中選手もいて、ハンドオフやスクリーンなどを使ってバリエーションのあるオフェンスを組み立ててきて、さらに朝山選手はやっぱり経験があるので、タイミングなど細かいところも駆け引きしてきました。なかなか手強い相手でしたけど、負けずにアグレッシブにディフェンスできたと思います。

これまで経験したことのない環境の中で迎えた開幕

オフの過ごし方がうまくできたこともありコンディションは良好 [写真]=アルバルク東京


――アルバルク東京で2シーズン目を迎えました。
須田
 いろんなイレギュラーなことが多い中でのオフでした。2週間も活動ができなかったり、準備の段階でうまく物事が運ばないこともありました。ただそれをカバーする、それがあってもしっかり戦える準備を日々してきてましたし、練習の量も質もそうですが、去年と変わらずの準備ができたと思います。特別にチームとしても焦る雰囲気などもなくて、逆に自信を持って準備できました。2週間遅れたのは否めないのですが、それに代わる実績と自信を胸に秘めて開幕戦の川崎との試合を迎えられたと思います。より自信が増していって、自分たちの戦い方を見つけて試合をした感じです。

――2年目だから助かった部分もありますか?
須田
 これが1年目だったらまだ順応できなかったかもしれませんね。アルバルクはチームプレーの中で決まりごとが多いですし、去年もそれらを全部徹底できたかと言われたら、そうではないので。確かにこれが1年目だったらしんどかったなと思います。

――外出自粛中の際は自宅でトレーニングをしていたのですか?
須田
 していましたね。できる範囲で器材を集めて家でトレーニングしたり、あとは生活リズムもいつもより早めに寝起きするサイクルに変えるなど、睡眠へのアプローチを試みました。外も走りたかったので、通常の人が活動する時間を避けて、朝方、それも日が昇る前に走りに行ったり、いろんなことを試しました。色々ストレスのある生活でしたけど、睡眠や栄養へのアプローチがうまくできたので新しい発見や気づきはありましたね。

――逆に時間がなければトライすることもできないですね。
須田
 本当にそうだと思います。意図的にポジティブにやろうとしたというよりは、コロナ禍の中、どうやったらスムーズにできるかなと考えているうちにたどり着いたので、今思えばそこは重要だったのかなと。先ほどもコンディションが良かったと言いましたが、コンディションを保つためにも、できることをいくつか発見できました。今思えば自分にしっかりアプローチできた、いい時間を過ごせたからだと思います。

――元々早寝早起き派ですか?
須田
 基本的には早寝早起きですね。ですが、今までしたことのない時間に寝たりして、それに自分の体はどういう反応するんだろうなと思ってやり始めました。

――何時くらいに寝て?
須田
 最初は人がいないときにトレーニングをしたかったので20時に寝て起きるのは3時か4時。これでとても体調が良くなりました。すると今度は夜中起きるようになってしまったので、じゃあもう少し遅く寝ようかなと調整しながらやっていくと、体調だけでなく頭もすっきりするようになるという発見がありました。この生活リズムだと午前中が長いので一日を有意義に使えます。体感的には夕方なのにまだ12時や13時だったりして、一日を充実させることができました。

――しかし、試合のあるシーズン中だとそういうわけにはいかないですね?
須田
 いかないです。なので実用的ではないので、ギリギリの時間を見極めて、自分の体の反応を試しながらやっていいます。だからコンディションは本当にいいですね。

強度の強いプレーを練習からしなければ試合には出られない

アルバルク東京はスタンダードを高いレベルに引き上げることを目指しているという [写真]=アルバルク東京


――今シーズン、ここまでの須田選手をプレーから持ち味であるディフェンスを徹底しようという意思が伝わってくるように感じます。
須田
 昨シーズンも自分の役割はディフェンスでした。ただ、個人的にはいいディフェンスができず、「武器はディフェンスです」と言っている割には、たいしたことができてなかったと思っています。それはアルバルクに入ってまた新たなディフェンスのシステムに対応するのに時間がかかってしまって、考えすぎて悪循環に入ってしまったからです。今年はシステムやルカ(パヴィチェヴィッチ)コーチの求めていることが理解できてるつもりなので、去年よりはディフェンスに余裕も出て。考えなくても体が動くくらいまでは落とし込めているので、より激しさを出す自分のディフェンスの持ち味を出せるようになってきました。今シーズンは落ち着いて、なおかつアグレッシブにディフェンスができてるかなと思います。自分のやるべきことはわかっています。

――その流れをうまくオフェンスにもつなげられているのですね?
須田
 そうですね。自分はディフェンスからリズムを作っていく選手だと思っているので。ディフェンスにフォーカスしてゲームに入って、その中でシュートが1本入ると乗っていけます。

――激しいディフェンスをするがゆえにファールをどうマネージメントするかも大切だと思います。
須田
 激しさを持ってディフェンスをするのでファウルは覚悟の上です。リスクを持って臨まないと強度が落ちてしまうので、ファウルは4つまで使えるという意識を持っています。最初の1、2個目はアグレッシブにいってジャッジへのアジャストというか、笛の加減を調整します。相手に走られて簡単にシュートを決められるぐらいなら自分がファウルして止めて、流れを相手に渡さない。バスケは流れのつかみ合いのゲームだと思うので、より今シーズンは意識しています。アルバルクは選手層が厚いですし、自分が退場しても選手はいます。流れを40分間渡さずに勝つ試合をするために、4つのファウルを使うという意識は去年よりあります。

――ルカHCはインテンシティの低いプレーには厳しいですからね。
須田
 気の抜けたプレーをしていたら試合に出れなくなりますから(笑)。ましてやちょっとでもそういうところを見せたら代わりはいるので、危機感を持ってプレーしています。ただ個人の成績よりもチームが勝つことが一番ですから、仮に自分が退場して、活躍しなくてもそれは問題ありません。

――3連覇を目指すシーズンです。
須田
 外国籍選手の登録などのレギュレーションが変わったり、各チームがオフに補強したりと、ますます簡単には優勝できなくなっていると言えるかもしれません。また、(A東京が属する東地区は)優勝候補がたくさんいますし、2地区制になったことでチャンピオンシップに出るのにもハードルが上がっています。それだけに、今までアルバルクが築き上げてきたことに磨きをかけることを意識しています。スタンダードを高いレベルで行うアルバルクのバスケをすることが大事ですね。強度を落とさず40分間試合を支配できるようにプレーする。一つのプレーで流れを完全に持っていかれて負けることもありますから、緊張感の強い試合が続く中で1分1秒集中力を切らさずに、インテンシティを高くやりきることが大切です。各チームの力が均衡する中、取りこぼせない、負けられない試合が続きますが、それをやり切って初めて優勝できるのではないでしょうか。

――最後にファンの皆さんへメッセージをお願いします。
須田
 ホームゲームでの開幕戦は人数制限がありましたが、それでもコートに入ったら昨シーズンと同じような雰囲気がありました。やっぱりやる気が出てきましたし、モチベーションも高くなって、改めてファンの皆さんの力を感じられたと言えます。優勝を目指していく過程でファンの皆さんの力が絶対に必要です。チーム、選手にとって苦しい時にこそパワーになるので、会場に来た時はできる範囲で後押ししてほしいです。アリーナに来られない方も画面越しでもパワーは伝わっているので、引き続き後押ししてほしいです。よろしくお願いします。

取材日=10月14日

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