2021.01.06

思い出の“船アリ”で同級生マッチアップ。千葉・原修太と琉球・田代直希が紡ぐ想いとは?

千葉の原修太(右)と琉球の田代直希が思い出の船アリでマッチアップ [写真]=B.LEAGUE
1986年生まれ。バスケットボールのライターとして3x3が得意領域。国内外のトレンドを追い、競技の歴史を紡いでいます。5人制もbjリーグ時代から、Bリーグに至るまでカバー。また毎年の楽しみは代々木のALLDAYに行くこと。

 2016年9月に開幕したBリーグも今シーズンで5シーズン目を迎えた。新型コロナウイルス感染症の影響により、大声での応援禁止や、前後左右を1席ずつ空けた座席配置など制約はあるものの、新たな観戦様式の下、各地の試合は賑わいを見せる。

 先日発表された琉球ゴールデンキングスの新本拠地『沖縄アリーナ』のように、今、全国各地でスポーツを見る側の視点に立った、アリーナ建設やその構想が活発になっている。しかし一方で、本拠地を担う多くの場所は、スポーツをやる側の視点に立った町の体育館であることが多い。ただ、そこはチームを越えてしのぎを削るBリーガーたちをつなぐ接点であり、今の姿に至るキャリアの出発点となっていることがある。

 2021年最初の公式戦、第16節(1月2日、3日)の千葉ジェッツvs琉球ゴールデンキングスは、Bリーグファンにはお馴染みの船橋アリーナ(以下船アリ)で開催された。ここは千葉の原修太と、琉球の田代直希をつなぐ場所である。ともに1993年生まれ。千葉県の出身で、ミニバス時代から別々のチームでお互いを知る間柄だ。その後それぞれ中学校へ進み、そして原は習志野市立習志野高校、田代は東海大学付属浦安高校とカテゴリーは上がってもなお、船アリで何度も対戦をしてきたという。加えて田代からは「遊びで来たこともあります。小学生のときにドッチボール大会に参加したこともあるんですよね」ということも教えてくれた。

 かくして月日がたち、2人とも立派なプロバスケットボール選手になった。コートに立てば目前の試合、マッチアップの相手に全集中することは言うまでもないが、小学校から高校までずっと使っていた体育館で対戦することに、いつもと違った感情を抱くようだ。

 田代は「すごい思い出深い(体育館)です。サブアリーナでも試合をしました。(ここでプレーすることは)不思議ですし、同時にワクワクします。嬉しい気持ちですね」と明かした。そして「(原は)同級生で、小学生のときから対戦していました。でも(試合で)1回も勝てなかったんですよ。当時からあのガタイだったので反則でした(笑)」というエピソードまで飛び出した。

ともに強豪チームの主力として切磋琢磨する間柄 [写真]=B.LEAGUE


 また原も田代と船アリで戦うことについて、次のように語ってくれた。

「小学校からここの体育館で何回も対決をしていて、もう15年以上前から田代とは戦っています。(今回は)マッチアップする機会がそんなに無かったので残念ですけど、ちょっと(マークに)ついたときは、『嬉しい』という気持ちと、『止めてやるぞ』という気持ちの両方がありました」

 リーグ初年度にルーキーだった2人も、現在ではチームの生え抜きとして大きく成長した。原はジェッツの主力メンバーとして攻防に欠かせない存在となり、田代も2シーズン連続でのキャプテンとなり、キングスを勝利に導く役割を担っている。

 小さい頃から切磋琢磨した選手たちがプロとして飛躍し、再び地元の体育館で対戦する姿を披露する。これを見ることができることも、今のBリーグならでは面白さだ。

文=大橋裕之

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