Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチを体調不良で欠く中、HC代行として指揮と執った水野宏太トップアシスタントコーチはこの一戦を受け、ルカHCの気持ちを代弁するように会見で語った。
「僕たちは今シーズン、いろいろと難しい状況が自分たちに降りかかってきた中で、崩れることなくリーグの終盤戦までチャンピオンシップを目指し、その先に行くことを命題としてやってきました。その中でこのような形でCSへ進めないことに僕たちも満足はしていません」
ここで言及した「難しい状況」とは、シーズン開幕前や終盤戦に新型コロナウイルス感染症の陽性判定者が出たこと。またコロナ禍による外国籍選手の合流遅れやケガ人をたびたび抱えるなど、チーム作りとコンディショニングに苦慮し、前進と後退を余儀なくされた過去があるからだろう。
そしてキャプテンの安藤誓哉も「CSに行けなくなってしまったことが確定して、悔しい気持ちはあります。なんて言うんでしょうか……」とし、言葉を絞り出すようにこう続けた。
「A東京が今までやってきたバスケが、HCがいない苦しい状況の中、(ルカHCが)いないからこそ今までやったきたことをどれだけ(試合で)出せるかチャレンジしました。前半の出だし(第1クォーター12-28)がそんなに良くない状況の中で、自分たちでディフェンスのタフネスさを出し、カムバックできたことは良かったと思います。ただ、後半はどうしても千葉さんの強い走りから少し流れを作られてしまった。今の正直な気持ちです」
一方で、偶然にもA東京のCS進出を阻んだのは千葉だった。過去2度のCSファイナルで敗れていた相手である。今シーズンは千葉もコロナ禍の影響を受け、お互い例年以上にCS争いが激しい東地区を戦う間柄でもあった。難しい状況の中で、切磋琢磨するライバルが、ポストシーズンを逃したことについて富樫勇樹も感じることがあった。
「正直、CSにA東京がいないことは驚きましたし、ちょっと寂しい気持ちもあります。去年の中止になったシーズン、その前の2シーズンは(CS)ファイナルでA東京に負けて優勝を逃していました。そこを越えて優勝したい気持ちは千葉ジェッツとしてはありましたので、対戦できないことは残念です」
ただ率直な気持ちとともに悲願のリーグ初制覇へぶれることはない。「(コロナ禍で)厳しい中ですけど、チームとしてはひとつの目標に向かってこのまま臨みたいと思います」と、改めて決意を述べている。
もちろん、A東京もこれで終戦ではない。水野トップACが「自分たちがずっと積み上げてきたものを、もう一度しっかりやることでシーズンを最後まで戦うことできるように明日(5月2日)準備していきたい」と話せば、安藤も残り試合に力を込めた。
「チームとして積み上げてきたことをできるだけ多く出せるかが、次に進むために非常に大事だと思います。それが今まで応援してくれた人たちのためにできる唯一のことだと思っています」
今日を含めてラスト3戦。「強度の高いディフェンスでアグレッシブにタフにプレーする」、「相手のディフェンスを読みながらスマートにプレーをする」というルカHCの掲げるA東京のスタンダードを、もう一度、体現できるか。彼らの意地を見せてほしい。