2021.10.15

レバンガが目指す「北海道発、世界へ」 デジタル、新規事業で前へ

北海道新聞・道新スポーツとバスケットボールキングのコラボ企画。レバンガ北海道の協力も得て、北海道のバスケ情報をお届けします。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2019~20年、20~21年と2シーズンにわたって経営に大きな打撃を受けたレバンガ北海道。損失金額は2億円以上に上った。逆風下、クラブが成長する手段の1つとして力を入れはじめたのが「デジタル戦略」だ。コロナ禍でも着実に成長し、ファンに愛され、バスケットボールの価値を高める-。26年にはBリーグの新リーグ構想が控える中、レバンガが始めた「北海道発、世界へ」の取り組みを探った。

■メイドインジャパンのスタッツシステム
「デジタルを事業の柱にするというより、手段の1つ。いくつも手段をそろえている方が売上を高める確度が上がると思っている」。横田陽最高経営責任者(CEO)はこう語る。

 20年にファンとクラブの交流を深める会員制オンラインサロンを開設。昨シーズン途中からは需要に合わせて価格を変え、チケットを適性価格で販売するダイナミックプライシング導入を決めた。アリーナの空席を減らし、収益を上げることが目的だ。

 さらに今季、アリーナ中央に設置するセンタービジョン(大型映像装置)とスタッツ(選手成績)を一括で操作できるシステム開発に乗り出す。レバンガがアリーナで流す映像制作を請け負っているSITE4D(東京)が構築し、Bリーグにとどまらず海外への提供を目指し、「アリーナDXパートナー」を始動させる。海外製のシステムが多数を占める中、メイドインジャパンでアリーナスポーツに最適なシステム開発を目指す。

北海きたえーるで行われたセンタービジョンのテスト風景

■15の映像装置で高める一体感
 始まりは、レバンガが既存の映像システムでは、試合を盛り上げるという点で物足りなさを感じていたことだった。プロ野球などスポーツ分野の映像で培ったノウハウのあるSITE4Dに相談をするうちに、「使い勝手が悪いなら、作っちゃいましょうと話がまとまった」(横田CEO)。

 ドームなど大型スタジアムだけではなく、アリーナスポーツの映像展開に関心を持っていたSITE4Dの「期待に応えたい」との思いもが重なり、システム開発が動き出した。

 従来のように選手の得点数を表示するだけではなく、会場の雰囲気を盛り上げる様なスタッツを示し、センタービジョンや客席のリボン状の映像装置など15の画面とも連動させることで、会場の一体感を高める。

■新分野への事業参入
 SITE4Dの隈元章次代表取締役は「バスケ専用の、Bリーグ向けシステムを作るのは初めてなので非常に興奮している。他のクラブにとっても参考になるようなシステムを北海道から提供したい」と思い入れは強い。将来的には、会場のコンコースにもビジョンを設置し、「席を離れたとしても感動が続くようにしたい」と構想を練っている。

レバンガと新システムの開発に取り組む、SITE4Dの隈元章次代表取締役

 観客の様子を捉えてアリーナに流すカメラなど、既存機器も利用してコストを抑え、映像による広告収入の増加を狙う。経済産業省が行うコロナの影響を受けた企業の新分野への事業転換を支援する「事業再構築補助金」も利活用。中小企業が対象で、費用の一部を補助する制度で、1万7050件の応募から5150件が選ばれた第1回公募で採用された。

■コロナ禍、その反動と逆風
 コロナ禍もあってレバンガの経営は厳しい。19~20年シーズンは、Bリーグオールスターが北海きたえーるで開催、折茂武彦代表の選手引退を控えた「スペシャルな1年だった」(横田CEO)。その反動に加え、新型コロナの影響でリーグが打ち切りになりホームでの9試合が未開催になった痛手は大きかった。成績も昨季は14勝45敗で東地区最下位の10位と苦しい状況が続く

 20~21年シーズンのリーグは開幕したものの、感染対策のため観客数は半分に制限。興行収入の減少もあり、チーム人件費総額は削減せざるを得なかった。決算は5期連続の黒字は達成したものの、売上高は前年比98.4%と減収増益だった。

 経営多角化はこうした困難を乗り越えるための手段でもある。デジタル分野以外にも、フードビジネス事業部門を立ち上げ、若鶏の半身揚げの「小樽なると屋」を展開するエフビーシーホールディングス(北海道小樽市)とフランチャイズ契約を締結した。デジタル関連事業のほか、アリーナでも販売できる食、選手のブランディングを生かせるeスポーツ-など、今までの経験やノウハウが活用できる事業を展開することがクラブの成功につながるとの見立てだ。

■バスケあふれる日常の実現へドライブ
 今季は「より勝てるチーム」(横田CEO)を目指し、全体予算に占める選手人件費の割合を昨年より上げた。26年にはBリーグの新リーグ構想が導入され、降格、昇格を廃止、ライセンス基準を満たしたクラブが参入できるシステムになる。

 実は現在のレバンガの収益とアリーナの規模ではB1が要求する基準に満たない。もちろん「新アリーナ構想」を進めている。

新システム導入へ期待を口にする、レバンガ北海道の横田陽CEO

 横田CEOは「実現は中長期で考えている。自分たちでアリーナを運営して、それによって新たな収益を確保したり、観戦する方に満足してもらえたりする方法を自分たちで考えられることは、クラブ運営にプラスになる。ゼロからつくるのか、改修モデルなのか、要件を満たすために、いろいろな方法を探っていく」という。

 レバンガが理想に掲げる“バスケットボールがあふれている社会”の実現へ。北海道からドライブを仕掛ける。

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