2022.05.11

【与那嶺翼が琉球優勝のカギを語る】「ファーストパンチとXファクターの存在」

5年連続で西地区優勝を果たした琉球ゴールデンキングス[写真]=B.LEAGUE
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 5月12日から戦いの火蓋が切って落とされる「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2021-22」。2位以下を大きく引き離し5度目の西地区制覇を果たした琉球ゴールデンキングスは、チーム史上初となるファイナル制覇へ向けて戦うことになる。CSでは名だたる強敵が待ち受けているが、優勝するためには何が必要なのか。琉球のホームゲームで解説を務める与那嶺翼氏に話を聞いた。

インタビュー・文=岡本亮
取材日=2022年4月11日

――琉球ゴールデンキングスのここまでの戦いぶりについて印象を教えてください。
与那嶺 ケガ人が多く出てフルメンバーで戦えていない中で、この成績は素晴らしいと思います。チームとして戦えているところ、目の前の戦いにフォーカスしているところが今の結果につながっているのではないでしょうか。

――琉球は今シーズン一度も連敗がありませんが、大崩れすることなく戦えている要因は?
与那嶺 一番はチームでバスケットしていることですね。桶谷大ヘッドコーチは『自己犠牲』というのを常々口にしていますが、それが選手にも浸透している。第4クォーターで劣勢な状況でも自分たちがやるべきこと、各選手の役割が明確になっているので今の位置に立っているのかなと。

――昨シーズンと今シーズンを比較して、戦い方にどのような変化を感じていますか。
与那嶺 オフェンスに関して言うと、ボールシェアやボールムーブメントが顕著に変わりました。琉球のスタイルである堅守速攻はそのままに、選手全員がボールをタッチして気持ち良くプレーできています。特にシューター陣はボールにふれることでシュートの感覚をつかむので、そういう意味でもいい形でボールムーブメントできていると思います。

――今シーズンから琉球に加わった新戦力の評価を教えてください。
与那嶺 アレン・ダーラム選手は、リバウンドを取ってからプッシュする力やチームが行き詰まった時に状況を打破する力を持っています。個でしっかりとインパクトを残しており、チームにいいスパイスを与えていると思います。

 コー・フリッピン選手は、昨シーズンCSで見せた好パフォーマンスを思い出させるような活躍を披露しています。たまに練習を見学させてもらう機会があるのですが、フリッピン選手は闘争心がとにかくすごくて練習でも全面に出している。周りの選手に良い影響を与えていますし、そのおかげでチームも活性化しています。フリッピン選手の闘争心は琉球にとって大きな財産だと思いますよ。

――今シーズン最も成長した選手を挙げてください。
与那嶺 非常に難しい質問ですが、一人挙げるとすれば岸本隆一選手ですね。Bリーグ元年から壁にぶちあたりながら、病に罹りながらもいろいろな壁を乗り越えてきました。今シーズンは勝負どころでのシュートや流れを一変させるようなシュートはもちろんのこと、ボールハンドラーとしても大活躍しているので、非常に成長を感じています。

与那嶺氏は最も成長した選手に岸本隆一を挙げた[写真]=B.LEAGUE


――数字の面で言うと今村佳太選手が大きな飛躍を見せており、日本代表にも選出されました。
与那嶺 今村選手は、高いレベルで安定してプレーできているのが数字に表れています。自分で得点するのは自他ともに認める部分もあると思いますが、一番成長したと感じるのがスクリーンの使い方。味方のスクリーンを使った後にパスフェイクやロブパスを出したりというのが成長したと思いますし、ケガで離脱中の田代直希選手や昨シーズンまで琉球に在籍した石崎巧さんから上手に継承しましたね。

『ファーストパンチ』と『Xファクターの存在』が必要

――シーズン終盤ということもあり選手には疲労が溜まっていると思いますが、疲労度はどのように見てとれますか。
与那嶺 他クラブと比較するとタイムシェアできていると思いますが、社会情勢や週3日の試合開催を踏まえると少なからず疲労はあると思います。コンディション調整やケガは今後もつきまとうことになると思いますが、勝ち上がっていくうえで最も大事な要素にもなる。各選手ギリギリのラインでやっていると思いますよ。

――琉球のBリーグでの最高成績はセミファイナル進出。チームとしてもう一段階上に行くために必要なことは?
与那嶺 二つあると思っていて、一つ目は『ファーストパンチ』。2月に行われた千葉ジェッツとの天皇杯準決勝では、相手に先手を取られてしまいました。ただでさえエネルギーがいるのに、追いかけるとなると更なるエネルギーが必要になります。ですので、いかに相手のファーストパンチを抑えるか、もっと言えばどうやって自分たちの流れに持ってくるか。そのために、桶谷HCは誰をスターティング5に起用するか模索しているところだと思います。

 二つ目は『Xファクターの存在』。昨シーズンのCSでの活躍を踏まえると、フリッピン選手がそういう存在になるのかなと思っています。短期決戦ではいかにチームへインパクトを与えるかが重要になりますからね。

――Bリーグ制覇へ向けて懸念材料を挙げるとすれば?
与那嶺 ずっと課題に挙がっている遂行力、やり切れない部分があるのは私自身観ていてもどかしさを感じています。一つひとつやり切ること、相手がやりたいことをさせないこと、それが今の段階でできていないのは桶谷HCとしても頭を悩ませる部分なのかなと。遂行力を上げるのは必須ですし、オフェンス・ディフェンスともにどれだけミスを減らせるかがカギになってくると思います。

――Bリーグ制覇へのキーマンは?
与那嶺 フリッピン選手ですね。ここで攻めないだろうというところで攻めたり、早く戻ってディフェンスするところをスティールしたり、オフェンスリバウンドに飛び込んだり、そういうのが魅力的な選手なので名前を挙げました。期待していますよ!

フリッピンは持ち前の闘争心でチームを優勝へ導けるか[写真]=B.LEAGUE

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