2022.05.13

【CSMVPが振り返る頂上決戦】田中大貴(アルバルク東京)「ルカHCの“徹底具合”の凄まじさを感じた」

2017-18シーズンのCS MVPに選出された田中に当時を振り返ってもらった[写真]=B.LEAGUE
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Bリーグ王者を決める戦い「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2021-22」が13日に幕を開ける。熱を帯びたレギュラーシーズン以上に激しい戦いが予想される中、バスケットボールキングでは歴代のチャンピオンシップMVPへのインタビューを実施。2017-18シーズンのMVPに輝いた田中大貴アルバルク東京)に話を聞いた。

取材・文=峯嵜俊太郎

決戦直前に負傷…「このタイミングか、という思いはあった」

激闘となったQF三河戦にて左足を負傷。FINALを前に満足に練習できない状況に[写真]=B.LEAGUE

ーー2017-18シーズンはルカ・パヴィチェヴィッチHCが新指揮官に就任。コート内外においてどのような役割の変化がありましたか?
田中 そうですね。やはりヘッドコーチが変わるといろいろなことが大きく変わりますが、当時はそこまで特別に何かを意識しているわけではなくて、ルカHCのやりたいことを必死に学んで、うまくやれるようにということを考えてやっていました。

ーー何人かのベテラン選手が移籍し、小島元基選手や安藤誓哉選手、馬場雄大選手と若手のメンバーも増えたシーズンでした。チームをけん引する責任感もより大きくなっていったかと思います。
田中 責任感はもちろん持っていました。いつまでも若手のような立場でいるのはどうかとも思っていましたし、当時一緒に戦っていたベテランの選手たちがいなくなったこともあって、その思いは強くなっていきました。

ーーそして東地区2位の立場で迎えたCSでは、クォーターファイナルの京都ハンナリーズ戦、セミファイナルのシーホース三河戦をともに2連勝で突破。しかしながらもいずれも接戦で、特に三河戦はどちらもオーバータイムにもつれ込んだ試合でした。
田中 京都との試合もそうですけど、タフな試合ばかりだったという印象です。その中でもやはりアウェーの三河戦は、自分たちとしても大きな山場だと思っていました。その試合をうまく勝ったことで、チームが勢いに乗ったところはあったと思います。

ーー田中選手個人としては三河との第2戦で左足を痛めてしまい、練習ができない中でファイナルを迎えることとなりました。
田中 試合中に足を滑らせて痛めました。プレー中はあまり気にならなかったんですけど、終わって新幹線で帰る時にはだんだん痛みが出てきて、正直これ大丈夫なのかなという不安があったのはすごく覚えています。翌日の検査で軽い肉離れと診断され、そこからすぐにチームが動いてくれて、いわゆる酸素カプセルみたいものに入ったりもしました。とはいえ、ファイナルまでは本当にほぼ練習できませんでした。

ーーご自身にとってプロ初タイトルがかかる状況で、ほぼ練習できずに試合を迎えることになったと。
田中 「このタイミングか」という思いはありました。ただ、シーズン最後の1試合でしたし、その後にゆっくりと休めばいいとも思っていたので、本当にすべてを出し尽くすつもりで臨みました。

ファイナルでも初志貫徹「僕たちがずっと追求してきたのは…」

FINALでは負傷の影響を感じさせない抜群のパフォーマンスを披露した[写真]=B.LEAGUE

ーーファイナルを戦うのは、NBL時代の2014-15シーズン以来だったかと思います。ルーキーだった当時と比較して、メンタルの部分で変化はありましたか?
田中 当時はまだ若くて、その試合の重みを分かっているつもりではいたんですけど、本当に分かってはいなかったと思います。そうした舞台で負けてしまうとすごくショックが大きいですし、チームとしてもそこからなかなかファイナルまで辿り着けない時間を過ごすことになりました。その時期に改めて、ファイナルに行くことの大変さ、優勝することの大変さを実感したので、やはり何としてでもこのチャンスをつかみたいという思いがあったことを覚えています。

ーーそうして迎えた2017-18シーズンのファイナル。会場の横浜アリーナには12000人を超えるファン・ブースターが集結しました。
田中 もともと緊張するタイプなので、前日練習で人が入る前の会場の雰囲気を見て、当時はすごく緊張していました。ただ、試合が始まってしまえば吹っ切れて、「もう、やるだけだ」という気持ちになりました。

ーー負傷明けという状況でしたが、試合が始まれば鋭いドライブからチーム初得点をマークされています。
田中 1週間しっかり休んでから前日の練習に少し参加して、思っていたより大丈夫そうだという感覚はありました。「これならいける」と。そこで気持ちの余裕ができたのは大きくて、試合が始まればケガのことは正直何も気にならなかったです。

ーー試合はA東京がじりじりと千葉を引き離していくような展開となりました。有利に試合を運べたポイントはどこにあるのでしょうか?
田中 やはり、自分たちが今までやってきたことを大舞台でどれだけ出せるかというところがCSやファイナルで勝つカギになると思います。もちろん普段とは違う状況ですし、気持ちが高揚していつもはやれることがやれなかったり、逆にいつもはできないビッグプレーが出たりすることもあると思うんですけど、僕たちがずっと追求してきたのはそういうところではない。追求してきたのは、自分たちが本当にやってきたことを、どれだけコントロールして出せるかというところ。普段からの練習やレギュラーシーズンの試合で、厳しくそこを求められてきたからこそ、ファイナルで自分たちのパフォーマンスが出せたのだと思います。試合を終えた時、改めてルカHCのそうした“徹底具合”の凄まじさを感じました。

大舞台で“普段通り”を出すため…大事なのは「それまでの過程と気持ちの強さ」

大観衆が集まる舞台で“普段通り”を出すためのポイントは?[写真]=B.LEAGUE

ーー試合は85-60で決着し、A東京が初優勝を果たしました。田中選手は15得点5アシストでチャンピオンシップMVPを受賞しましたが、当時の率直な心境は?
田中 自分にとっては初めての優勝だったので、素直にうれしかったです。MVPに関してもうれしかったですが、アレックス(カーク)がすごくいい働きをしていたので、個人的には彼がMVPでも良かったと思っていました。

ーーその後、A東京は翌シーズンもファイナルに進出し、リーグ2連覇を果たします。その経験を踏まえて、大舞台で普段通りのプレーを出すためにはどのようなことが大事だと思いますか?
田中 先ほど言った通り、そうした舞台では誰もが「ああしなければいけない」「こうしなければいけない」といつもとは違うことをいろいろ考えると思います。けれどそうではなくて、今まで自分たちが積み上げてきたことが、最後の舞台にも出ると思うので、いかにそれまでの過程をちゃんと大事にしてきたかが重要だと思います。それを信じて、あとは自分の持っている力を出すだけです。もちろん調子の良し悪しはあると思いますが、そこは各々のメンタル的な強さでカバーできます。今思うと、当時は(安藤)誓哉や(馬場)雄大といった気持ちが強い、大舞台に強い選手がそろっていたと思います。

ーーそれでは最後に、今シーズンのCSにかける意気込みをお願いします。
田中 ここからは優勝したいという思いが強い方がどんどん上に行く舞台ですし、やはりタフなチームが生き残っていくと思います。自分たちは日頃からそういうトレーニングをしていますし、生き残るだけの力はあると思うので、チーム全員で強い気持ちを持って臨みたいです。

ーー優勝当時のチームには強い気持ちを持った選手がそろっていたとおっしゃいましたが、今シーズンのチームについてはいかがですか?
田中 自分たちもチームとして昨シーズンの結果に対する悔しさがありますし、新しく入ったライアン(ロシター)も昨年のファイナルで負けた悔しさを忘れていないはずです。そうしたチームの思い、個人としての思いをすべて結集して、CSの戦いにぶつけられればいい戦いができるのではないかと思っています。

今シーズンはキャプテンとしてチームをけん引。3度目の優勝を目指し、CSに臨む[写真]=B.LEAGUE

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