2022.09.29

【注目移籍選手5選】リーグを代表する選手たちが今シーズンも飛躍できるか⁉

今季新チームに移籍した注目選手5名をピックアップ![写真]=B.LEAGUE
スポーツライター。前英字紙ジャパンタイムズスポーツ記者。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、2006年世界選手権、2019ワールドカップ等国際大会、また米NCAAトーナメントも取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。

金丸晃輔島根スサノオマジック三遠ネオフェニックス

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 シーホース三河でシーズンMVPを受賞した2020-21シーズンを経て、昨シーズンは島根へ移籍したことで大きな脚光を浴びた。だが、三河のハーフコート中心のスタイルから速いテンポの島根のスタイルへの順応に苦しむと同時に、古巣のようにオフェンスのファーストオプションでないことで自身のリズムをつかむことがなかなかできなかった。結果、1試合の平均フィールドゴール試投数は2020-21シーズンの12.6本から8.4本へと下がり、それに伴って平均得点は同シーズンの16.8得点から11.1得点へと急落。わずか1年での再移籍という、意外な結末となった。

 三遠では捲土重来を図るが、千葉ジェッツで優勝指揮官となった大野篤史ヘッドコーチとはパナソニック時代に選手とアシスタントコーチとして共闘しているおり、昨シーズンB1で19位(平均76.3点)だった脆弱なオフェンス改善のためにどれだけ金丸を生かすプレーを用意してくるかは楽しみ。ただディフェンスを重視する同HCだけに、金丸といえどもそこで不甲斐なさを見せれば容赦なくベンチに下げられるだろう。

ジュリアン・マブンガ富山グラウジーズ宇都宮ブレックス

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 リーグ屈指のオールラウンダーながらボールを持ちすぎる、といった賛否の分かれる選手の優勝チーム加入は衝撃だ。独善を許さずチームで戦うことを最大のアイデンティティとしてきたブレックスへの入団は非常に興味深い。昨シーズンはケガの影響もあって平均得点が前年の19.7得点から14.7得点となったほか、軒並みスタッツを落とした。ブレックスは個の力量が突出した選手を持たないチームでそれが数少ない弱点であったが、マブンガの加入でそれは解消されるか。

 プレシーズンゲームを見ていてもオフェンスが停滞したときにチャンスをクリエイトする場面があり、シーズンが進むにつれて味方との呼吸が合っていけば、これまで見られなかった形のブレックスが見られるかもしれない。当人も好選手の揃った新天地では自身がこれまでのように得点する必要はないと話しており、プレーメーカーとしての役割を担っていくのではないか。

テーブス海宇都宮ブレックス滋賀レイクス

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 基本的にベンチスタートで出場時間も限られた宇都宮で送った3シーズンは必ずしもバラ色のときばかりではなかったであろうが、その経験を成長を見せ始めている滋賀に注入する。体の大きさを生かして、オフェンスでは強いボールプッシュからのペネトレーションと、ディフェンスではフィジカルさを強みとするだろう。

 滋賀のスペイン人指揮官ルイス・ギルHCは激しいディフェンスからの速攻とボールシェアからのオープンシュートを強調しており、テーブスのプレースタイルがそこに合致する可能性は十分にある。一方で、3ポイントを含めた彼のシュートの精度は気がかりで、相手ディフェンスからは的が絞りやすい。ここの部分の改善がなければ、柏倉哲平キーファー・ラベナといった得点力のあるポイントガードたちとのポジション争いで苦戦をすることとなる。

ドウェイン・エバンス琉球ゴールデンキングス広島ドラゴンフライズ

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 2021-22シーズン、琉球のファイナル進出の立役者の一人で、リーグのベストファイブにも選ばれたオールラウンダーの加入は、このオフ最大の移籍の一つとなった。エバンスの良さはチームプレーを尊重する一方で、オフェンスの停滞時などに自身の個の力で相手ディフェンスをこじあけることもできること。ドライブインからのスピンムーブなど多彩なステップを使っての得点が売りで、フィニッシュ力の高さは琉球での2年間のフィールドゴール成功率56.1パーセントに表れている。

 3ポイントはさほど多く放つわけではないものの成功率は同2年で39.8パーセントとやはり高い。3ポイントの価値を加味し、得点効率の良さを示すeFG成功率は同2年で59.4パーセントで、質の高いスコアラーだということが言える。ディフェンスも激しくプレーし、スティールも多い。語学習得に熱心なところでも垣間見えるように、日本、またチームに溶け込もうという姿勢も高く、B1で初のチャンピオンシップ進出を狙う広島にとって大きな補強であることは間違いない。

宇都直輝富山グラウジーズバンビシャス奈良

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 190センチ超の大型ポイントガードは突進力を生かしたドライブとそこからの得点を武器としてきたが、昨シーズンはBリーグでは自身最小の出場時間(平均18.3分)となり、31歳という年齢による衰えもあったのか、得点(同7.1)やアシスト(同3.4)など、多くの部門で数字を落とした。

 今シーズンは初めてとなるB2で再起を図ることとなる。奈良は新規でインサイドの外国先を獲得しているが、アウトサイド陣の層は厚いとは言えず、宇都の出番はかなり増えるだろう。同チームは2021-22シーズン、平均得点で72.6点(B2 14チーム中12位)、リバウンドは36.7本(同11位)、アシストは18.1本(同13位)と苦しんでおり、宇都の加入でオフェンス力向上を見込んでいるはずだ。プレシーズンでは早速、自慢の得点力を披露。またチームにもよく溶け込んでいる様子で、リーダーシップという点でも、彼の活躍ぶりがチームの成績の鍵を握る。

文=永塚和志

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