2022.10.13

滋賀レイクスのテーブス海、「チームを勝たせる」の宣言どおりホーム開幕戦で大活躍

テーブスは新潟とのホーム開幕節2試合で48得点14リバウンド21アシストを記録 [写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 特別指定選手としてBリーグの舞台でのプレーをスタートさせてから3シーズン目の昨シーズン、宇都宮ブレックスで悲願のBリーグチャンピオンに輝いた司令塔は、新たなキャリアを選択した。チーム創設15年にリブランディングを実施し、クラブの色を一新した滋賀レイクスへの移籍。その選択をしたのがテーブス海だ。日本バスケットボール界の中でもビッグサイズのポイントガードであり、鋭いドライブからのスコアリングや華麗なパスでアリーナを魅了する期待の選手だ。

 アウェイでの開幕節で群馬クレインサンダーズに連敗し、ホームアリーナのウカルちゃんアリーナに帰ってきた第2節は新潟アルビレックスBBを迎え撃った。10月8日に行われた初戦のオーバータイム、そして翌日のダブルオーバータイムと、壮絶な戦いをチーム全体で勝ち切り、連勝を収めたチームは勝ち星を五分に戻した。テーブス自身は初戦で25得点7リバウンド6アシスト、第2戦で23得点7リバウンド15アシストを記録し、大車輪の活躍で滋賀のファン・ブースターに「滋賀にテーブスあり」という強烈な印象を残した。

 チームを率いるルイス・ギルヘッドコーチはテーブスに対して、ポテンシャルの高さを評価してリクルートしたことを明かした上で、ホーム開幕戦後、今後に対する期待を口にした。

「彼のアスレティックな部分とスキルは素晴らしい。その上でゲーム展開や一つひとつプレーを読み取って、いい状況判断をしてゲームメークができるようになってほしいと思っています。シュートに関しては、この夏にすごくハードに練習してきました。その上で今日の活躍はうれしいです。今までは相手チームが彼に対してアンダーで守ってきたけど、それは難しいということを示してくれたし、他のチームへのメッセージを発信してくれましたね」

滋賀を率いるルイス・ギルHC [写真]=鳴神富一

 オフシーズンに強化してきたシュート力でチームの勝利をもたらしたテーブスだが、得点に関して問われると「今日は本当にシュートが当たっただけで、それだけですね……」と控えめにコメントを残した。言葉は控えめではあったものの、開幕節の悔しさをバネに2日連続で20得点オーバーを記録した要因として、チーム内で積極的にシュートを打たせてもらっている中で自分自身の自信につながっていると話した。

 すでにチームの中心として活躍を見せているテーブスではあるが、シーズン開幕を控えたプレシーズンゲーム後に滋賀のバスケットスタイルに対して「『自分自身の持ち味をどんどん出してほしい』とチームスタッフが言ってくれているので、間違いなく楽しくプレーできている」と率直な感想を述べた。彼がアメリカでの大学時代に過ごしていた際はボールを持った瞬間、素早く相手コートにボールを運び、イージーに次々と得点を取っていくスタイルが特徴的だった。そのスタイルが滋賀の地で再び花開こうとしている。

「間違いなく楽しい」

 その言葉の裏付けとして、プレシーズン中にHC代行としてチームを指揮した保田尭之アシスタントコーチは「僕たちは今年、よりスピードアップしていきます。その中でチームがパワーアップするために必要な補強を敢行しました。テーブスには1日も早くリーダーになって、チャンピオンとしての経験やメンタリティを出して、一緒に成長してほしいです。今シーズンは彼の力を100パーセント出せるチームだと自負しているし、彼がしっかりフィットできるものだと思っています」と話した。チームと選手が進みたい方向性が合致している。だからこそ、バスケットが楽しいとなっているに違いない。

次々と得点を重ねたが「シュートが当たっただけ」と控えめだった [写真]=鳴神富一

「今シーズンはブレックスや日本代表などで学んできたことを出していきながら、若い選手が集まってきているチームで、自分自身の知識を共有できたらなと思います。意気込みとしてはやっぱりチームを勝たせるために、選手としてもチームとしても、どんどん成長していきたいです。それが一番大切かなと思います」と、今シーズンの意気込みをプレシーズンゲーム時に話した。

 クラブ創設15年目と節目のシーズンに、滋賀が描こうとしている絵の完成には、テーブスの活躍が不可欠である。この夏、スペイン代表ACとして「ユーロバスケット2022」でチャンピオンに輝いたルイスHCとともに、慣れ親しんだ関西の地で進化を続けるはずだ。その先に悲願のチャンピオンシップ進出が待っている。

司令塔としてチームを高みに導けるか [写真]=鳴神富一

文・写真=鳴神富一

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