2022.10.21

河村勇輝と齋藤拓実、Bリーグ屈指の司令塔がプロの舞台で初対決

横浜BCvs名古屋Dの試合で河村と齋藤がマッチアップ [写真]=鳴神富一
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 Bリーグ屈指のコート上でのコンダクターの2人が、横浜の地で今シーズンのレギュラーシーズンで唯一の直接対決を果たした。今シーズンの開幕から得点とアシストの項目でダブルダブルを連発し、輝きを放っている横浜ビー・コルセアーズ河村勇輝。一方、その横浜の地にやってきたのが10月1日のシーホース三河戦でBリーグ最多アシスト数タイの18アシストを記録した、名古屋ダイヤモンドドルフィンズ齋藤拓実

 コンダクターとは、日本語で「指揮官」を意味する。

 現時点で平均アシスト数が1位の河村と2位の齋藤、類まれなゲームコントロールでチームをけん引する、コート上の指揮官の直接対決。対戦前からBリーグ公式SNSでも取り上げられ、注目されるマッチアップとなった。対戦結果は1勝1敗、互いに持ち味を出した形で勝敗が決する形となった。

 10月15日での第1戦では河村がファウルトラブルに見舞われる中、齋藤が3ポイントシュートを5本すべて沈めるなどチームトップの20得点を記録。試合後の河村が「完敗でした」と言わしめるほど、ゲーム展開を完璧に読み取ったプレーでチームをけん引した。翌16日は河村がコート上で躍動し、22得点12アシストで今シーズン4度目のダブルダブルを達成して、リベンジを果たした。

河村は2試合連続で12アシストを記録 [写真]=鳴神富一

 日本代表合宿では同じ時間を過ごした2人だったが、互いにプロとしてマッチアップするのはこれが初。その初対戦となったGAME1の終了後、改めて互いの印象を聞いてみると、リスペクトを込めたコメントが返ってきた。

「(河村が特別指定選手で三遠ネオフェニックスでプレーした)高校3年生の時に初めて対戦してから、これまでマッチアップしてきた中で一番大変だったのは齋藤選手でした。それ以来の対戦で試合前から素晴らしい選手だと感じていましたし、自分が気を抜いたらやられてしまう相手です。今日は完敗でしたね、もう弁解の余地はないですし、齋藤選手の日でした。今日の結果は認めざるを得ないので、明日は絶対にやり返してチームに勝利をもたらしたい」との言葉どおり、河村は翌日にリベンジを果たした。

 一方の齋藤は「このオフに彼と代表合宿をともにして、彼のすごさが改めてわかりました。昨シーズンは対戦がなく、個人として久々のマッチアップの中で、彼のクリエイト能力は非常に高い。そこは1人では止められない部分もあって、チームディフェンスで対処しないといけないということに関しては、まだまだちょっと修正しないといけないなと感じました。今日は自分の調子が良かったけど、スタイルとしては全選手がボールを触ることでバランスよくオフェンスが展開される。それはやっている方も楽しいですし、見ている人も楽しんでもらえると感じています」とコメントした。

 ここまで高いパフォーマンスを発揮している2人に対して、指揮官も信頼を置く。

 河村に関してはスタッツにも現れているように、何か急激な変化と成長を遂げている感じがあるが、その点に関して青木勇人ヘッドコーチは「彼から一番感じたのは、このチームで勝つという覚悟です。今シーズンはこの夏の代表経験から、自分がこのチームを引っ張るんだという覚悟を感じます」と話す。その言葉に対して河村は「今シーズン、初めて正式にコミットしてプロバスケット選手になって、覚悟を持って毎試合過ごしたい。その気持ちの表れだと思います」と力強くコメントした。

 齋藤に関してはショーン・デニスHCが、もう少し日本代表でいいチャンスがなかったのが疑問という前置きに続いて、全幅の信頼を置いているようなコメントを残した。

「リーグの中ではトップ3に入るベストなポイントガードだと信じています。大事な時に得点して、アシストして、ディフェンスでも周囲の声以上にうまい。今シーズンはリーダーシップという面で彼にチャレンジをさせていて、チームキャプテンとしてコート内外でチームを引っ張っていて、それがうまくいっています」

齋藤は第1戦で20得点7アシスト、第2戦で11得点6アシストを記録 [写真]=鳴神富一

 デニスHCが与えたリーダーシップという部分に関して齋藤は「キャプテンとしてオフコートでも考えることが増え、選手はもちろん、コーチとよりコミュニケーションを取らないといけない。目標の優勝するためには戦術やスキル以外でもチームカルチャーの部分がかなり重要。そういう意味で自分が常にチームの中心な存在でありたい」と話した。

 今シーズン、次に2人が直接対戦できる可能性があるとすれば「チャンピオンシップ」という頂点を決める舞台。コート上のコンダクターがこれからどのように今シーズンを過ごしていくのか、そして再びコート上で合間見えるのか、注目していきたい。

文・写真=鳴神富一

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