2023.01.30

【Bライブ・マンスリーレポート】シーズンの半分が終了…B1全体トップを走る千葉J好調の要因

1月29日現在、16連勝を達成。B1全体でトップに立つ千葉J [写真]=B.LEAGUE
2000年より、バスケットボール専門で取材活動中

Bリーグ開幕とともに本格的にスタートした『B.LEAGUE #LIVE 2022(Bライブ)』はリーグ公認のファンタジー(空想)スポーツゲーム。実在のB1・B2の選手が残すスタッツがそのまま反映されるので、Bリーグを現実と空想の両方で楽しめるということで注目をさらに集めている。このBライブをさらに面白くするにはリーグの状況を確認することも大切。バスケットボールキングでは毎月リーグの状況を勝敗にスタッツの要素を加えてお伝えしていく。Bライブ攻略の参考になれば幸甚だ。

文=吉川哲彦

スタッツに顕著に表れる千葉Jの強さ

 1月18日に開催されたB1第18節で、2試合が延期になったサンロッカーズ渋谷群馬クレインサンダーズを除く22クラブが、レギュラーシーズン60試合のちょうど半分を消化した。オールスターも終わり、ここからは、チャンピオンシップ進出とB2降格回避に向けた争いがさらに熾烈を極めることになる。

 この時点でリーグ全体のトップを走っているのは、一昨シーズンの覇者である千葉ジェッツだ。これまでの実績はもはや言及の必要もないが、昨シーズン終了後にヘッドコーチ以下スタッフが大量に退団。新たにジョン・パトリックHCを迎え、様変わりしたスタッフ陣で再スタートを切ることとなった。コーチが代われば戦略も変わるため、これまでのような快進撃が引き続き見られるかどうかという点は多くの人が注目していただろう。

 その千葉Jがなぜここまで好調なのか、その要因はスタッツからもある程度読み解くことができる。特徴的なのは、3ポイントシュートの多さだ。元来それを武器の一つにしている富樫勇樹の存在が大きいことは言うまでもなく、昨シーズンはそこにクリストファー・スミスという爆発力のあるシューターが加わった。

 パトリックHCの戦略で今シーズンはチーム全体の試投数が増加し、1試合平均33.1本。これは、リーグで2番目に多い島根スサノオマジックを4本以上上回る数字だ。それを33.2パーセントの確率で決めており、成功数もリーグトップ。対戦相手は、1試合に約11本の3ポイントシュートを被弾することを覚悟しなければならないというわけだ。

 そして、今シーズンは原修太の得点力アップが目につく。3ポイントシュートに関しては、昨シーズンまでもキャリア通算で36.4パーセントという十分に高い成功率を誇っていたが、1試合平均試投数は最も多かった一昨シーズンでも2.5本止まり。それが、今シーズンは第18節までの時点で4.5本と2倍近くまで増えている。成功率はわずかに下がっているものの、突破力のある原が長距離砲でも相手に脅威を与えていることは、千葉Jにとっては非常に心強い。原はもともと、ディフェンス力を最も高く評価されて台頭してきた選手。地元出身ということもあり、今の千葉Jには不可欠な存在だ。

オフェンスでの成長が際立つ千葉Jの原 [写真]=B.LEAGUE


 千葉Jは1試合平均フリースロー試投数19.6本と同オフェンスリバウンド13.6本もリーグ最多、ターンオーバー10.8個はリーグで2番目に少ない数字だ。昨シーズンまで見られなかった、高い位置から積極的にプレッシャーをかけるディフェンスが注目されているが、千葉Jの強さはオフェンス面のスタッツにもよく表れている。

チームを引っ張る2人のルーキー

 その千葉Jでは、残念なことに大倉颯太二上耀のルーキー2人が大ケガを負い、戦列を離れてしまった。しかし、リーグ全体を見渡すと、既にチームで主力の一角を担っているルーキーの姿が光る。今回はその中から2人を紹介したい。

 昨シーズンも特別指定選手としてプレーし、仙台89ERSのB1昇格に大きく貢献した岡田泰希は、今シーズンも開幕戦の15得点を皮切りに、開幕5試合で3度の2ケタ得点をマーク。シーズン中盤に出場時間を減らし、得点力も下がったものの、第15節には自己最多に並ぶ21得点を挙げてからは、再び存在感を誇示し始めている。

 第18節までの30試合全てに出場し、1試合平均出場時間は15分を超え、同得点は4.7点。B1残留に向けてギアを上げていきたい仙台にとって、岡田の力はここからさらに必要になってくるはずだ。

 もう1人は、横浜ビー・コルセアーズの躍進に一役買っているキング開。モンスタースタッツを連発する河村勇輝の陰に隠れてはいるが、第6節に初めてスターター起用されると、そこから3試合連続で2ケタ得点をマークし、第18節までに出場した29試合中19試合でスターターを務めるなど、完全にチームの信頼を勝ち取っている。1試合平均得点は6.4点だが、その数字は試合を重ねるごとに少しずつ伸びているところ。レギュラーシーズンが終わる頃には2ケタに迫っていてもおかしくなく、チーム初のCS進出も現実のものとなっているかもしれない。

ルーキーの活躍が目立つシーズン(左:横浜BCキング、右:仙台の岡田)

A東京は選手層の厚さと安藤周人の覚醒で千葉Jを追う

 冒頭に述べた通り、折り返し地点でのリーグトップは千葉Jだが、同じ東地区でその千葉Jに離されることなく追走しているのがアルバルク東京。過去に連覇を経験しているだけあって地力は間違いなくあり、デイニアス・アドマイティス新ヘッドコーチが就任してもその強さは変わるどころか、むしろ盤石なものになっている印象だ。

 A東京の強さの一端は、その選手層の厚さにある。絶対的存在の田中大貴を欠くなど、フルメンバーがなかなかそろわない状況でありながら、第18節の時点で24勝6敗と8割の勝率を誇る。シーズン途中で補強に動いてもいるとはいえ、誰かが抜けた穴を埋めるだけの力があるということだ。

 第18節までの直近の1カ月の個人成績を見ると、安藤周人の得点力がチームを押し上げていることがよくわかる。開幕当初はベンチスタートが多かったものの、田中の戦線離脱に加え、得点が安定していったことでスターターに定着。第17節には3ポイントシュート9本を含む31得点の大爆発を見せた。直近の9試合に限れば、1試合平均で15.2得点。これは、リーグの日本人選手の中では19.2得点の岡田侑大信州ブレイブウォリアーズ)と17.8得点の安藤誓哉(島根)、16.6得点の河村(横浜BC)に次ぐ数字だ。この間のチーム成績は8勝1敗。唯一敗れた試合で安藤は無得点に封じられており、その他の試合は全て2ケタ得点。安藤の得点力がチームの勝敗にも直結していることを示す、興味深いデータとなっている。

A東京の安藤がエースの欠場をカバー [写真]=B.LEAGUE


 田中は先日手術を終えたばかりで、復帰時期は不透明。復帰したとしても、完全復活には時間を要するだろう。それまではもちろんのこと、その先にある4シーズンぶりのリーグ制覇も、安藤の働きにかかっていると言っても過言ではない。

最も飛躍的な成長を遂げた青森

 今回も最後に、B2から1つトピックを挙げておきたい。B1よりも一足早くレギュラーシーズンの半分が過ぎ、B1昇格への挑戦権を得るプレーオフに向けて上位争いが本格化。その中で、青森ワッツは第17節を終えた時点で14勝17敗。東地区3位争いを演じ、プレーオフを狙える位置につけている。一昨シーズンが7勝51敗、昨シーズンが5勝47敗だったことを考えると、今シーズンのB2で最も飛躍的な成長を遂げたチームと言うことができる。

 これは、オフの積極的な補強策が実った形だ。一昨シーズンに越谷アルファーズをプレーオフ3位に導いた高原純平HCを迎えたほか、2シーズン連続でB1のブロック王に輝いたアレックス・デイビスを筆頭にB1経験者を複数獲得。彼らの働きがチームを押し上げていることは間違いない。

 特にその活躍が光るのが、マックス・ヒサタケ會田圭佑だ。ヒサタケは昨シーズンの開幕後にサンロッカーズ渋谷に加わり、シーズン終盤に差しかかる頃には三遠ネオフェニックスに移籍。高い身体能力から生まれるダンクは魅力的だったが、まだ粗削りな部分が多かったのも確かだ。

青森をけん引するマックス(左)と會田 [写真]=B.LEAGUE


 しかし、青森に加わった今シーズンは、昨シーズンの1試合平均6.4得点から13.6得点に倍増し、リバウンドも同5.7本から9.6本まで伸ばしている。昨シーズンは試投数が8本しかなかった3ポイントシュートは既に58本打ち、18本成功で31.0パーセントと決して悪くない。リバウンドでリーグ7位にランクインしているほか、スティールは同3位、ブロックは同5位。攻守両面でデイビスと遜色ない貢献度を示していることは、チームにとってプラス以外の何物でもない。

 B1で3シーズンを過ごして青森に復帰した會田に関しては、そのB1での経験が確実に活きている。シーホース三河でプレーした2019-20シーズンは1試合平均6.9分の出場にとどまったが、その後の2シーズンは京都ハンナリーズで出場時間が増加。計10試合でスターターを務めるなど、成長して戻ってきた。

 第17節までは1試合平均9.0得点を挙げているが、直近の1カ月に限ると12.0得点にアップし、その期間の3ポイントシュート成功率は54.3パーセント。第16節には23得点を挙げた試合もあり、試合を重ねるごとに貢献度が上がっている印象がある。また、ターンオーバーが少ない点も、ポイントガードとして高く評価できる。
地力を増した青森がどのような戦いぶりを披露するか、そしてプレーオフの枠をめぐる争いがどのように展開していくのか、大いに注目したい。

夢のチームを作って戦う『B.LEAGUE#LIVE2022』でBリーグをもっと楽しもう

 Bリーグ2022-23シーズンの開幕とともにスタートしたリーグ公認ファンタジースポーツゲーム『B.LEAGUE#LIVE2022』は、実在のB1・B2選手からドラフトしてチームを編成しプレーヤー同士で対戦するシミュレーションゲームだ。

 プレーヤー同士の勝敗は、選手の実際のスタッツ=活躍に応じたポイントで争い、複数人だけでなく1人でも楽しめる豊富なコンテンツが用意されている。すでに多くのBリーグファンがプレーヤーを楽しんでおり、他のユーザーと交流するツールとしても活用されるなど、上々の反響を得ているということだ。

 このゲームの最も面白いところは、日本代表クラスの選手や個人タイトル争いの常連だけでチームを編成できない点。勝敗を競う上ではスタッツが何よりも重要となるが、実際のプロスポーツの世界で過去の実績によって選手の年俸に差が生じるのと同様に、これまでに高いスタッツを残してきた選手とそうでない選手を同じ条件で獲得することはできない。サラリーキャップ(選手総年俸額に上限を設ける制度)のようなシステムがあるこのゲームでは、未知数ながら将来性のある若い選手や、移籍などで出場機会増加が見込まれる選手などを見極め、チームに加える必要があるのだ。

 本記事で紹介した第3節までの各選手の活躍度を参考に今後の展開を予想し、GM気分が味わえるこのゲームをより楽しんでみてはどうだろうか。

BASKETBALLKING VIDEO