2023.03.03

若き戦力が加わってパワーアップした琉球がインサイドで主導権を握り、EASL初戦に勝利

琉球のダーラムが13得点16リバウンドと躍動 [写真]=EASL
1981年、北海道生まれ。「BOOST the GAME」というWEBメディアを運営しながら、スポーツジャーナリストとしてBリーグを中心に各メディアに執筆や解説を行いながら活動中。「日本のバスケの声をリアルに伝える」がモットー。

 3月2日、日環アリーナ栃木で開催されている、EASL Champions Week(東アジアスーパーリーグ チャンピオンウィーク)の宇都宮ラウンド2日目に琉球ゴールデンキングスが登場。PBA(フィリピン)のサンミゲルビアメンと対戦し96-68と大勝した。各チーム1試合を終えた形だが、グループA首位に立つ形となった。

 琉球は第1クォーター序盤、Bリーグと違うレギュレーションやレフェリーのコールに戸惑いを見せた部分はあったが、インサイドを中心に攻め立てる。ガード陣も果敢にリングへアタックしていき、リズムを取り戻した。終盤にはこの日が琉球かつ日本でのデビューとなったカール・タマヨがルーズボールを拾って、一気にファストブレイクで初得点を決めると、ベンチは大盛り上がりを見せる。24−17と7点リードで迎えた第2クォーターでは、相手のゾーンディフェンスで少しペースが崩れるも、動じずに自分たちのゲームプランを確実に遂行して相手との点差を広げていった。

 琉球の桶谷大ヘッドコーチが試合後に語った「レギュラーシーズン中から掲げている、細かい部分を丁寧に、そして大事に戦っていく」ことを選手たちが確実に遂行。あっという間に点差は20点を超えて前半を49-28で終了。サンミゲルは第2クォーター終盤に外国籍のビッグマンがファールトラブルに陥ったこともあり、難しい状況となった。

 後半に入ってサンミゲルのCJペレスのアグレッシブなプレーで反撃されるも、琉球はスムーズなボールムーブメントで相手ディフェンスに的を絞らせず、ゲームの主導権を譲らない。このままゲームは進んでいき、99−66のスコアで琉球の勝利。チームリバウンド数が相手の33本に対して大幅に上回る53本を獲得、セカンドチャンスポイントも17得点と強みを活かした上、チームでのアシストも25本と琉球の良さが存分に表現された一戦となった。

「ゲームの出だしにファーストパンチをしっかり浴びせられて、終始主導権を握ってゲームを進められました」と桶谷HCがコメント。

 さらに「相手のビッグマンに対して、僕らのビッグマンがハードワークして活躍をし、攻守両面でアドバンテージを取れたのは大きかったです。本当にシーズン中から掲げている1つのポゼッションを集中して大切に戦って、やるべきことを遂行した結果、チームとして本当にいいバスケットが展開できた」と非常に満足した表情でゲームを振り返った。

 そのインサイドで活躍を見せたのが13得点16リバウンドのアレン・ダーラムと、20得点16リバウンドのジャック・クーリーの両外国籍選手。試合後の会見に登場したクーリーは「非常にいいゲームでした。相手がいいチームだったので、試合中は集中してプレーしないといけない中で、いいプレーを展開できた。Bリーグを代表して戦っているという意識があって、今回出場しているチームの選手たちは素晴らしいアスリートばかりなので、非常に楽しく戦っています」と笑顔でコメント。

「非常に楽しく戦っています」とクリーが笑顔でコメント [写真]=EASL


 両外国籍選手に加えてコート上で短い時間ながら奮起してインサイドでチームに貢献したのが若きインサイドプレーヤーだ。先ほど名前をあげたタマヨと、大ケガからの復帰で、2月の日本代表戦でも躍動した渡邉飛勇。「2人ともチームにとって非常に必要な選手だとコート上で証明しました。今回は外国籍選手が2人しか登録できない中、短い時間でやるべきことを遂行し、チームに貢献くれた。2人とも出場時間は7、8分だったが、その中でクーリーとダーラムが休めたのは非常に大きかったです」と、桶谷HCも2人のプレーぶりに満足感を見せる。

アジア枠で新加入のタマヨはすでに琉球に順応している模様 [写真]=EASL


 そのタマヨは「選手としてより経験を積み、自分のレベルを向上させたい」と琉球にやってきた。沖縄に関してもフィリピンに気候が似ているから過ごしやすくていい場所と、すでに順応している様子だ。

「コーチやチームメートが自分自身を順応させようと手助けしてくれて非常に感謝しています。恵まれた環境の中で毎日過ごすことができていて、この中でプレーできるのは光栄ですし、自分が選択した道は正しいと感じています」

 さらに「今日はチームメートが自分を信頼してオープンを作り、シュートを打たせてくれました。それを決めきれなかったのは残念ですし、より努力をして練習を積み重ねて、決め切れるようにしたい。それでも日本でのデビューをできたことには満足しています。ここからもっと良くなって、チームを助けられる存在になりたい」と日本でのデビュー戦を振り返った。

代表戦から好調を維持する渡邉 [写真]=EASL


 若きポテンシャルのあるインサイドの選手たちが戦線に加わり、よりパワーアップした琉球。次戦は3月4日、いよいよホームアリーナの沖縄アリーナに戻り、P.LEAGUE+(チャイニーズ・タイペイ)の台北富邦ブレーブスを迎え撃つ。ファイナル進出に向けて、次もいつものように変わらず戦い、勝利をつかみ取るだけだ。

取材・文=鳴神富一

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